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瑠那は今、入浴も歯磨きも済ませて寝ようと思っていたところだった。

そこに、現れた―――イケメン王太子殿下サマが。


「問題ないだろう?夫婦が一緒に寝て何がおかしい?」

「ありまくりだわ。私、事実上の結婚しか認めたつもりないし」

「…まだ、それを言うか」


はあ、とアルヴィアスは溜め息を吐く。


「いい加減、諦めたらどうだ。離婚は出来ないのだし」

「人間、諦めたら終わりよ。諦めないからこそ奇跡は起きるのよ」


瑠那は拳を握り締めながら言う。

そう、何事も諦めたら終わりだ。離婚は駄目だとしても、この城から抜け出すことはまだ諦めない。今現在、脱走のための計画を着々と練っている。


「大丈夫だ。お前が脱走しないように見張るだけだ。何もしないから、安心して寝ろ」

「脱走って…私、そんなに信用ないの?」

「お前の今までの行動を振り返ってみろ。信用できると言う方がおかしいだろう」


今までしたこと?まだ、授業の脱走くらいしかしてないわよ?たまに、悪戯しかけてみたりしたけど。王子は真っ赤になって怒って、結構可愛かった。


「もういいわ。私、別の部屋で寝るから」

「さっきの話、聞いていたか?俺は、脱走を防ぐためにここにいるんだ。この部屋から出すわけないだろうが」

「え~~」

「文句言うな。さっさと寝るぞ」


アルヴィアスは瑠那の手を引っ張り、寝台の方へと連れて行く。


「半径2メートル以内に近寄らないでね?」


瑠那は微笑みながら言った。


寝台の広さはかなりの広さであるから、二人が接触する心配はないだろう。

…けど、念のため。


「では、お休みなさい、王太子殿下サマ」

寝台の端っこに座り、反対の端っこにいるアルヴィアスに手を振った。


「…その腹の立つ呼び方、いい加減やめろ。アルでいい」

「え~?心を込めて呼んでるのに…」


敬意はこもっていないけど、心はたっぷり詰まっている。…おもに、怒りとか、憎しみとか、恨みとか。


「やめろ。今後一切その呼び方で呼ぶな」

「は~い」


二人ともいそいそと掛け布に潜る。


「………なあ」

「…何?」

「やっぱり、おやすみのキスくらいさせてくれないか?」


横になったまま身体の向きを変えてみると、アルがもう近距離にいた。


「もう、仕方ないわね。アルはお子ちゃまなんだから~」

「黙れ」


ちゅ……と額にキスしたのはアルヴィアスでなく瑠那だった。


「ふふっ、驚いたでしょう?」


瑠那は悪戯っ子のような笑みを浮かべて言う。

アルヴィアスは最初こそ驚いて目を見開いていたものの、突然にやりと笑う。


「そうか…お前がそのつもりなら」


アルヴィアスは、瑠那の上に覆い被さってくる。そして、瑠那の唇に口付けを落とした。


「………」

瑠那は固まったまま無反応だった。

「……どうした?」

「やっぱり、兄様にあなたを殺してもらおうかしら?」


瑠那から恐ろしい言葉が聞こえてきて、アルヴィアスは身体を離した。


「兄には何も言うなよ。あいつは妹が絡むと何をするか分からん」

「大丈夫よ。死ぬ前に止めてあげるから」

「……絶対助けろよ」


大真面目な顔で言うアルヴィアスに瑠那はぷっと吹き出した。


「じゃあ、お休み…………アル」

「ああ…お休み、ルーナ」


二人は結局密着して眠ることとなる。その事実に気付くのは、目が覚めた後である。





王子様の容姿変えました。勇者な兄と容姿がかぶるという大失態。

申し訳ありません。


王子がルーナと呼ぶ件に関して。

瑠那の兄弟は異世界と地球の名前、ふたつ持っています。

瑠那はセレイアの王族として、三つ目の名前も持っていますが。

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