1話 禁呪書
第一話 禁呪書
この世界には、決して口にしてはならない言葉が存在する。
それは古代より伝わる禁忌の術式――
《禁呪》。
人々はその言葉を恐れ、
記録を封印し、
歴史から抹消してきた。
だが近年。
失われたはずの禁呪が、
再び世界各地で確認され始めている。
これは王立禁呪管理機構が極秘に保管している、
危険術式記録の一部である。
【禁呪:草】
効果:
植物生成・自然侵食
危険度:B
備考:
軽い感情表現で誤発動する危険あり。
過去には街道一帯が森林化した事例が確認されている。
【禁呪:炎上】
効果:
広域火属性魔法
危険度:A
備考:
群衆心理に反応し威力が増幅する特殊術式。
都市消滅級まで拡大した記録あり。
【禁呪:ROMる】
効果:
存在遮断・気配消失
危険度:A
備考:
極めて高度な隠密術。
発動中は魔力感知すら困難。
【禁呪:尊い】
効果:
対象神格化
危険度:SS
備考:
対象への異常崇拝を引き起こす精神干渉型禁呪。
術者自身への精神負荷も大きい。
【禁呪:解釈違い】
効果:
精神分裂・価値観対立
危険度:SSS
備考:
過去に宗教戦争へ発展。
現在も使用禁止。
【禁呪:推ししか勝たん】
効果:
対象絶対強化
危険度:EX
備考:
発動対象以外への認識阻害が発生。
国家単位での暴走事例あり。
【禁呪:既読無視】
効果:
精神接続遮断
危険度:A
備考:
対象との念話・契約・精神共有を強制切断する。
長期使用者は孤立傾向が強まる。
【禁呪:ナーフ】
効果:
対象弱体化
危険度:SS
備考:
対象能力そのものへ干渉する極めて危険な術式。
一部では“神の修正”とも呼ばれる。
【禁呪:エモい】
効果:
感情暴走
危険度:SS
備考:
周囲の感情を極限まで増幅させる。
大規模暴動へ発展した記録あり。
【禁呪:解釈一致】
効果:
完全精神共有
危険度:S
備考:
複数人による超高精度連携を可能とする。
軍事利用危険性あり。
――以上。
王立禁呪管理機構指定、
最重要危険術式一覧。
なお。
近年これら禁呪を、
“無詠唱”
かつ
“自然会話レベル”
で行使する人物の存在が確認されている。
報告によれば、
該当人物は黒い布を首へ巻き、
意味不明な言語を高速で詠唱。
さらに。
自らをこう名乗ったという。
《漆黒の堕天使✝︎ルシファー✝︎》
王立禁呪管理機構は現在、
対象を《世界崩壊認定危険存在》として指定。
発見次第、
速やかな封印、
または討伐を推奨する。




