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第31話 天照陽光VS土蜘蛛・牛鬼


 我は、ピヨップ!


 ……ではない。気が動転していたピヨ。スザクピヨ。


 陽光に、時が来るまで天井で待機してるように言われたピヨが、何なんだピヨップ? いつもは優しい陽光の眼光がするど過ぎるピヨ。


〖ピヨ……とんでもない集中力ピヨ。今の陽光は人をほふれる目をしてるピヨ〗







◇◇◇


 俺の目の前には、二本の左腕と四本足を生やした土蜘蛛が怒りの表情を浮かべていた。


「…………レベルで上振れてるからって、油断し過ぎたね」


【クソガキ…………よくも俺様の眼球と右腕を……殺す!】


「牛の右腕……カグチの右腕……雷霆ライトニングの右腕……土蜘蛛の右二腕……「融合フュージョン」」


【てめえ……なんだ? その気持ち悪い異形の右腕は!?】


「気持ち悪い? モンスターにはそう見えるのかい? 俺には普通の右腕にしか見えないけど」


 見た目は銀色の右腕だった。

 ミノタウロス、カグチ、ライトニング、土蜘蛛の力が融合してできた不思議な力を持つ「未知の右腕」と言ったところかな。


【くそがぁ、探索者がモンスターの腕を持つなんてあり得ねだろうが!! 化け物がぁ!! ぶっ殺す!!! 〈土蜘蛛・牛鬼〉】



 土蜘蛛の身体がすごい勢いで変化していく。

 

 日本の妖怪に「牛頭ごず」という、人間の身体に牛の頭を持つ妖怪伝承があるけど。


 さっきまでの土蜘蛛は、その「牛頭」の姿に酷似していた。


 でも、今の土蜘蛛は違う。


 蜘蛛の身体を持ち、頭は牛の顔をした化け物へと変貌を遂げたんだ。昔から実家の古書の絵で見たことがある、「土蜘蛛」という妖怪そっくりな姿に。


「形態変化した? さっきとはまるで別の生き物だ」


【ダラハハハ!! クソガキ、てめえと初めてあった時は俺様のレベルが足らなかったが、今は違う。俺様はてめえよりも強えぇ。レベルが上がったことで、こんな姿にもなれるようになったんだよっ!! 〈地躍ちおどり蜘蛛〉】


 土蜘蛛は、身体を回転させて突っ込んで来る。


「六足歩行になって、移動するスピードが上がってる? なら、痺れさせて動きを止めようか。〈業雷音ごうらいおん〉」


 右腕からライトニングの技を放つ。

 以前の右腕よりも、技の発射速度と精密性が増している? 


 以前の「模倣」で得た右腕よりも、この右腕は数段性能が良いね。


 そして、右腕の異様さに気がついている土蜘蛛は俺から距離を取り始めた。


「……さて、五大厄災の「土」の土蜘蛛はどう出るかな」






【……………あのクソガキ。なぜ、さっきよりも落ち着いてやがる。俺様の目と右腕を切り刻んで余裕でもできたか?………こんな程度の傷、自己スキルで如何様にもなる。なにを狙ってやがる? 戦いが長引けば人間は疲労が溜まる。レベルアップもしたばかりで体力も魔力も回復できるわけねえ】


「冷静な分析だね? 粗野に見せていたのは演技なのかな? 土蜘蛛! 〈地ノ蜘蛛切り〉」


【右腕から声が!? 俺様の右腕が宙に浮いて……がぎゃああああ!?】


 「土蜘蛛の右二腕」の2本あるうちの1本をつかっての遠距離攻撃。鋭利にとがらせた右腕を土蜘蛛の腹部へと深く突き刺した。


「硬い。流石、レベル1400オーバー、一周目のラスボスよりも高いなんて聞いてないよ。〈火蓮華かれんが〉」


【熱い熱い……ダラハハハ!! 体内から俺様を焼き殺す気か? それなら、てめえも道連れだ。クソガキ! 〈蜘蛛ノ糸縛〉】


 土蜘蛛の尻から蜘蛛糸が放出され、俺が遠隔操作している「土蜘蛛の右二腕」を捕まえた。


 どうやら土蜘蛛は、遠隔操作していた右腕と、もう1つの右腕……俺に結合している右腕の神経が共有されていることに気がついたみたいだ。


「させないよ。〈地針地蔵〉」


【こいつ。俺の技まで使え……ぎがぎゃらぁ!?】


 右腕が山脈の剣山のように鋭い針状へと姿を変えた。そして、その鋭い地針は土蜘蛛の身体全体へと深く刺さっていく。


 一周目の経験が生きている。土蜘蛛と戦って、どんな技を使用していたか覚えておいて良かった。


「レベルアップして、俺とのレベル差を極限まで上げたまでは良かったと思うよ。ただ君の敗因は、俺の仲間まで殺そうとしたことだね。それだけは許せないかな」


【……ダラハハハ!! なにを勝った気でいやがる。俺様はまだまだスキルを使っていねえ。エキストラスキルさえな。だから、俺様はまだ負けていねえんだ】


「正規の方法ならね。でも、今は君は身動きが取れないじゃないか。だから、弱らせながら確実に仕留めさせてもらうよ。俺たちは階層に進まなくちゃいけないんだ。〈火雷地からいちノ刃〉」


【まてゴラ!? なんだ? その……異様な右腕……さっきまで、そんな腕をしていなかったはずだ……があギャああ!? 身体にあらゆる属性が入ってくる?】


「……君は危険すぎるし、レベルも俺より高いから「調伏」もできなそうだしね。俺たちの経験値として糧になってよ。土蜘蛛」


【……ダラハハハ!! なめんなや、クソガキ。俺様はこの程度で屈服はしねえ!!】


 これは……土蜘蛛の眼は、まだ死んでいない。


「思ったよりも、長い戦いになりそうだね」







◇◇◇


 ここは天照さんのエクストラスキル「異空生活」の中ですわ。


 現在、私《宵宮カノン》、アリアさん、キリンがこの中に避難してます。



「天照さんをこのまま1人で戦わせていたら、負けてしまいますわ! 急いで外へと戻りましょう」


「外側から、出れないように細工されているから無理よ。それに外にはスザクちゃんが居るから、マスター1人だけではないわ」

【キュゥゥン】


「あんな雛鳥。居ないに等しい存在ですわ!」


「……し、辛辣しんらつね。サブマスターちゃんは」

【キュ、キュゥ】


「こうなったら、物置小屋に仕舞っている「ファイアリー姉妹」と「カグチ」を無理やり起こして、一緒に戦ってもらいましょう。そうすれば、私たちで土蜘蛛の隙を作ることも可能ですわ」


「それこそ無理よ。あの3人を調伏したのはマスターってことになっているんでしょう? しかもあの娘たちの性格はわがままだから、起こしても絶対に私たちの言うことは聞かないわ。むしろ、攻撃してくるかもしれない」

【キュゥ……】


「そんな……こうしている間にも、天照さんは土蜘蛛に1人で戦っているんですよ。こんな所で待機なんてしてられませんわ」


「……サブマスターちゃん」

【キュウナァ……】


 いったいどうすればいいのでしょうか? 


 土蜘蛛の圧倒的な力を見てしまった今、私は……


「!……あら? サブマスターちゃん。……どうやら、外に出られるみたいよ」


「はい? アリアさん。なんでか? 今はそんな冗談を聞いている暇は……」


「……マスターが呼んでるの。終わったから。400階層は安全だって」


「…………はい?……あら? 白い光がいきなり!?」


 アリアさんがそう言い終える頃には、私たちは「異空生活」を出て、400階層ボスフロアへと場所を移動していました。


 天照さんの前に。


【…………てめえ………覚えてろ。今度会ったら殺……】


ドスッ!


「今度はないよ。君はここで完全に焼失するんだから……〈火具土かぐつち〉」


ドスッ!


【ぎゃぎ!?……ぎゃあああああああああ!!!】

〖ピヨピヨピヨピヨ〜! やったピヨップな! 陽光〜! 我とのコンビネーションの勝利ピヨップ〜!……ギヤップ!? なんで、土蜘蛛の顔が我にぶつかるピヨ!?〗


 土蜘蛛の首が宙に浮いたと思えば、雛鳥と顔面衝突しましたわ。


 そして、土蜘蛛の断末魔の叫びが宙で聞えた、その近くでは顔色が悪そうにしている血塗れの天照さんが立っていたのです。


「……天照さん?」


「!……あぁ、宵宮さんだ………ごめん。なんとか勝てたけど、精神的に疲弊仕切ってるんだ。……後のことは頼むね……おやすみ……」


「え? だ、大丈夫ですか? 天照さん!」

「マスター!」

【キュゥゥウゥ!!】


 天照さんは私の顔を見た瞬間。立って気絶してしまったのでした。


〖…………すごい戦いだったピヨップ。これが陽光の知識と経験での戦い。とんでもない戦いだったピヨ〗


 そして後からやって来た雛鳥はきついお仕置きをたっぷりとしてあげましたわ。


天照あまてらす陽光ようこう

レベル1538

アルティメットスキル 陽光

エクストラスキル 陽ノ神楽 天照剣術(免許皆伝) 鳴神自在 異空生活 悠久右腕 地外変動

スキル 模倣 心眼 業物 瞬動 調伏(上級)

火魔法(特級)雷魔法(特級)

土魔法(特級)闇魔法(初級)


宵宮よいみやカノン

レベル1535

アルティメットスキル 夜月

エクストラスキル 豊穣ノ知 良妻賢母 最愛慈愛 守護天使 麒麟疾走

スキル 福音 補助 天幕 結界 

水魔法(特級)風魔法(特級)

光魔法(上級)

回復魔法(特級)

守護獣・雷幻馬キリン


人魚のアリア(アリスドール)

レベル451

スキル 加護 天女 疑似水

魔法 天照と宵宮の魔法の上級者魔法まで使用可能


スザク(不死鳥フェニックスの雛鳥)

レベル9

スキル 隠密 物真似ものまね 治癒 変身


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