世の中には、ほんとに何の応用も効かない楽器というものが存在する!
すらあっーしゅさんから微分音ネタがよく途切れずに続いてるな、って感心してしまったせみころーんさんです。どーーもおーーとてとてとてとてっとてっ。
今日はおそらくころーんさんは全く手が出せません。これはクラリネットの話だからです。きょうはBohlen–Pierce scaleの話をします。
Bohlen–Pierce scaleってのはなんぞや?これは、Heinz Bohlenほかの協力で、平均律ではない純正律の音階が必要とかいう話になりまして、一オクターブの中に12音ではなく、13音が入っている音階なんですね。
もうこれでころーんさんは「わっからぁーんーー」とかいってポテイトゥチップスをバリッバリッと豪快に昼から食ってます。さっき昼ごはん食べたばっかなのにうわらびゃごきぐ。
いたた。続けます。
それもご丁寧に「純正律ヴァージョン13音」と「平均律ヴァージョン13音」まで用意する筋金入りの音律です。耳がよいと思うかどうかなんてのは、こまけーことはいーんだよ、と言わんばかりで、完全に人工の作りものです。
で、この13音階で作曲された音楽も多数soundcloudにあり、その中のクラリネットの曲をお聞かせいたします。
Nora-Louise MüllerさんのAbgrund der BP-Vögelってのを聞いてみてください。
、、、、
なんだろうこの感じ。12平均律になれた人間にとっては、調子はずれの音が次々に出てくる。
どっかのメーカーがこの音階で作ったそうです。
なるほどー、面白い音階だなー。すごーいぱちぱちぱち。
。。
そこで問題です。
この楽器、何に使えるんやということです。
こういうとき生楽器というのは果てしなく「制作目的」を追求されてしまいます。電子楽器ならステップを変えるだけでお手軽にキーボードで作れます。でも、これ、クラリネットで作ってしまったら、、、、
どーすりゃいーんだ!ってことです。なにしろこの楽器のためのレパートリーなんてほとんどありません。今から作れったって、数は限られています。もちろん、ボストン微分音協会の人たちは熱狂的なまなざしを送っています。彼らは書けるでしょう。
ほかの人は書けないじゃないですか。
こういう、つぶしのきかない楽器というのは非常に難しい。ダメ楽器といってバカにもできない。亡くなってしまったハリー・シュパルナーイさんも、この楽器を特に応援するなんてことはなかったはずです。知ってたはずですが。
クラリネットのような生楽器をこうやってしまうと大変ですが、電子楽器では難なく出力できます。
youtubeにもこの音階で演奏したと豪語するトラックはいくつも出てきます。
これならクラリネットをサンプリングすればよかったのでは??と思ってしまったせみころーんさんですが、これをクラリネットの生でやるんや!という意欲のある人も、少々見られます。たくましい根性です。
いま、ふと気が付きましたけど、音楽って妥協の産物なんやな、ってことですよ。
「やたー!理想の音律誕生やー!」とか言ったところで、Nicola Vicentinoさんは異端扱いされ不遇の死を迎えました。熱狂的な信者はせみころーんさんを含め(横でそんな奴の信者になるなよとつぶやくころーんさん)数多いのですが、いかんせん支持者が少ないのです。
「ひどい音律だ!これでは人が育たん!」と12平均律に対してグスタフ・マーラーさんが言ったとかいう話も聞きましたが、このひどい音が、20世紀を支配していたのです。19世紀のピアノの多くは修正テンペラメントで調律されていたという話です。それも後進国ほど古い音律を使っており、その音律がネックとなってイギリスピアノ音楽は大してピアニストの主力レパートリーにならなかったのです。
19世紀、全部の調性を完全に網羅した練習曲集の作曲者は、シャルル・ヴァレンティン・アルカンさんとエドゥアル・ヴォルフさんくらいで、ショパンもリストも最終的には残していない!これもテンペラメントが影響しているという話です。好みのテンペラメントというのがどうしてもあるひとは、全調で書けませんでした。どっかの調性が生贄になってしまうのです。
ない人は難なくかけました。書いた人に軍配は上がり、バッハのWTCを必修の課題曲にしたために平均律が幅を利かしてきたのです。WTCは平均律を想定していませんが、想定していたという誤認も100年前は多くみられました。
でも
ひどい音のほうが幅を利かして今に至ります。
元には戻らないのです。
まだアジア系作曲家はBohlen–Pierce scaleの曲を誰も作ってませんが、もし作ったらどうなるでしょうか?意外にもこれはタイの楽器と合うような気がいたします。タイ楽器アンサンブルとBohlen–Pierce scaleクラリネットのためのコンチェルトなるものがあったら、結構話題になりそうですね。過去の音楽には役に立たなくとも、未来の音楽のためには貢献するのかもしれません。




