10話 厄災級魔法
「では、今回の作戦を発表する」
夕刻。ギルド前にて説明を受ける。発表しているのはフランツ男爵の騎士団長のドランさんだ。
金髪をオールバックにして白銀に光るやり鎧を着込んでいる。
筋肉むきむきである。フランツさんが女性だったから騎士団長も女性かと、おもったのに。残念だ。
くっ、ころせっ
とか、見たかったのに。
実際そのな状況になったら助けるけどね
この場には僕と母さんを除いて、冒険者が50名、騎士さんが50名ほどいる。あ、父さんは冒険者のまとめ役として騎士団長の横にいる。
家では筋肉バカだけど冒険者の間では結構人気者らしい
「今回の発見したゴブリンの集落には先行偵察が言っているが基本はここにいるものたちでカタをつける。
まずは組み分けを行う。冒険者の物は普段組んでいる物同士でも構わない4組に分かれてくれ」
ゾロゾロと冒険者が分かれる
「母さん、僕たちは?」
「ソラ、私たちはいいの」
「?どう言う事ですか?」
「ドランさんが今説明すると思うわよ」
「ん。分かれ終わったようだな。今分かれてもらった組で村の東西南北を囲ってもらう。君たちの役目はゴブリンが逃げ出さないようにする事だ。」
「おいおい、ドランさんよ?そいつはひどくねぇか?それで冒険者が見張ってるうちに騎士でゴブリンを倒すってか?」
赤い鎧を着た冒険者が反対している。冒険者は敵を倒して稼ぐのが仕事だ。今回は緊急時という事で参加するだけでも報酬をもらう事ができるがどうせならゴブリンをたくさん倒して報酬を、上乗せしたい。
一人で突っ込んだら死ぬがこちらは100名近くいる。まあ、そんなに危険はないだろう。と、思っているのだろう。
「いや、騎士たちは村には入らない。それに今回のはゴブリンは200匹以上が確認されている。もちろんゴブリンの上位種もいるだろう。そんな所で乱戦をしてみろ、何匹かは倒せるかも知れないが命の保証はできないぞ。囲まれて袋叩きにあうのがオチだ。」
冒険者達がザワザワする
みな、不安に思っているのだろうか
「いいか、今回は村ごと殲滅する。その為に今回衛兵長に来てもらったのだ。その意味、わかるな?」
「ま、まさか」
あ、さっきの赤鎧の冒険者が驚いている
周りの冒険者も、ホッとしているようだ。
「ん?どう言う事ですか?父さんがすごいって事?一人でゴブリン200匹殲滅?
ないない。」
母さんがクスクスしてる
騎士団長が話し続ける。
「そうだ。今回の作戦には魔術師セシリー様がさやかされる」
「「「おおーー」」」
冒険者達が歓喜を挙げている
おー。母さんがすごいのか!納得。
「今回騎士達も4組に分かれて冒険者の間に入り村を取り囲む、その中の北東に私と衛兵長、そしてセシリー様が参加して大魔術を行ってもらう。あとは運良く生き残ったゴブリンが村から逃げてくるだろうから、各方面にいる冒険者が倒していけば作戦完了だ。
くれぐれも一人で集落に近づくなよ?、セシリー様の大魔術で焼き殺されるぞ」
おう。作戦っていわなくね?
「私は魔力をほとんど使っちゃうから守ってね?」
「「「おー」」」
母さんがニコッて笑うと冒険者は歓喜あげる
ナンダコレ
さて、ただ今徒歩でゴブリン集落まで移動中です。
あの後冒険者組は飲み会に発展したので僕と母さんサッサと宿に戻ってねてしまった。
「おろろろ〜」
あ、父さんまた吐いた。
はー。さっきからずっとこの調子である。
「トム。やめてください。付き合いもあると思いますが飲み過ぎて吐くとかソラに悪影響ですよ」
あーあ、母さんが幻滅の目で父さんを見ている。
母さんが父さんの事を名前で呼ぶときは怒ってる時か、シテル時だけ。
たまに、と言うか昨日も帰ってきた父さんとシテいた。
なにをってなにをしてるのだ。
寝てるとはいえ6歳児の前でしないで欲しいものだ。
あー。沙耶は元気してるかなー?
そんな感じで、歩いて、ちょっと休憩した、また歩いて、たまに父さんが吐いて。の繰り返しで、進んでいく。
「ソラ君はフランツ男爵に勝ったと聞いている。まことなのか?」
移動中に騎士の一人に声をかけられた。
「ああ、俺はオズマ。騎士団副団長だよ。」
黙っていたのが名前がわからないからと勘違いされたらしい
「こんにちはオズマさん。勝ったと言っても僕は魔術師なので剣術で勝ったわけではないですよ。」
「そ、それはすごい。フランツ男爵は神刀【天照】で魔術を切るのだそ。むしろ魔術師からしたら相性最悪なんだが……一体どうやって勝ったんだ。」
「そ、そうなんですね。知らなかった。いや、近づいて魔術をドーンとあてて勝ちました。」
「よくわからん。魔術師が近づいたら切られるだろう。」
「んー。そこは企業秘密ってことでお願いします。」
「お、おう。そうだな。魔術師に魔術の詮索をするのはマナー違反だしな。すまんかった、忘れてくれ。」
「いえいえ、お気になさらずに」
「そう言ってくれると助かる。今度何かあったら声をかけてくれ。なるべく助けられるように動くから」
そう言ってオズマ副団長さんは隊列に戻っていった。
ゴブリン集落は元々は人間が住んでいた村りしく獣道ていどてはあるが多少歩きやすくなっている。
100名近くでの行進なので列も長くなり途中で魔物に遭遇するが早い者勝ちで発見した冒険者が瞬殺している。
今晩の晩御飯はさっき前の方の集団が倒したイノシシの魔物だ。
夕刻になってくると広い場所を見つけてそこで交代で見張りをしながら寝る。
今夜は流石に森の中ということで宴会を始める様子はなかった。
そんな感じで3日目の朝を迎えた。
「ソラ、起きなさい」
「母さんおはようございます」
んー。体が痛い。ベットで寝たい。
昨日の夜はなかなか寝付けず、自分の戦闘力について思考していた。
僕の戦闘方法は大きく分けて2つ
1つ目は自分に【身体強化】+【思考加速】を使って、剣を射出して戦う節約モード
もう一つが問題なのだが、それは【体内加速】を重複させて戦う短期決戦モードだ。
短期決戦と言ってる通り短時間しかこの戦い方はできないのだ。
なぜかと言うと、【体内加速】の消費MPが劣悪なのだ。
この前レベルが上がって多少改善はされたのだか、体内加速は加速した自身の身体時間ごとにMPを使う。現在は1秒あたりの消費MPは1000なのだが、通常の戦闘で4倍×4倍の16倍加速を使うと、(今の僕の身体能力だとそれくらい加速しないと相手の勘で対応されてしまうからだ。現にフランツさんには対応されてしまった。)この場合は周りから見た1秒ではなく、自分の1秒に体内加速2回分の2000MPを使ってしまう。つまり、周りから見たら1秒間に(2000×16秒)3万2千もMPを使ってしまうのだ。
現在の僕の最大MP約10万なので周りから見たら3秒程度しか持たない。秒殺で敵を倒さないとこっちが魔力切れでやられてしまう。
なので僕自身に求められるのは短期決戦での敵の殲滅。
16倍に加速すると周りはほとんど止まって見える。そんな世界で最大48秒間で敵を倒す必要がある。1対1なら対象に重力魔法を使って終わりだが今回は複数のゴブリンだ。ピンチの時以外はなるべく体内加速を使わないようにしないとこっちが持たない。
基本戦術は剣の射出による斬撃。敵に近づかれるようなら【身体強化】+【思考加速】による戦線の離脱。もしくは、倒せそうなら【視界内転移】による0距離へ近づいての斬り合い時の瞬間的な【体内加速】
どちらも不可能な状態なら【体内加速】×2による秒殺。
不足の事態が起きなければ問題無いはず……
ちなみに、通常の属性魔法を、つかはないのは、加速中は自分の手を離れた魔法は加速効率がなくなるので打っても意味がなく、通常時は
、今の所はファイアボール打つよりも格納してある剣を射出した方が威力も消費魔力も、少なくて済む。
今後、もっと上手い運用方法や、強力な魔法が使えれば変わってくるだろうが今の所は魔力を無駄に使ってしまう属性魔法は使用厳禁である。
森を進んで行くと少し登り道なったと感じ、少し経つと突如峡谷があった。そのの方に古民家が、いくつか見える。
「到着した。すでに冒険者と騎士は取り囲むように移動を始めている。絶対に下には降りるなよと声はかけておいたが…まぁ、その辺りは大丈夫だろう二回も警告きたんだ、あとは自己責任で…」
中には母さんの魔法を、甘く見ている冒険者があるかもしれない。
母さんが冒険者をやっていたのは僕を孕む前7年以上前だ。新人冒険者は知らないだろ。
「では、太陽が高く登り切ったらよろしく頼みます。」
「はい。わかりました。護衛任せましたよ」
あとは昼までゴブリンが集落を出てこないことを祈るのみ…
ちなみに、もしゴブリンに、連れさらわれていた人間がいたら母さんの魔法で焼かれ死ぬことになる。
エルフの街も交流村もフランツの街も連れさらわれたと言う情報はない。大丈夫だとは思うがもしいたとしたら諦めてもらうしかない。
まぁ、ゴブリンを、孕んだ女性なんておろしたとしても偏見の対象になり、一生独りで暮らすことになるだろうからここで終わりにしてあげたほうがいいのだろうけど…
とは言っても、もし人間がいたら母さんが人殺しになってしまう。
今回、母さんら事情を説明して街の教会から免罪符をもらってきたそうだ。まぁ、神様がどう思うかはわからないがそれで少しでも母さんが救われるならいいな。
あ、だから母さんは今回の作戦を、先に聞かされていたんだ。
それでこの前準備で用事があるからって僕を連れて行ってくれなかったんだ。
さてさて、時はたち昼ごろだ、遠くの集落には何名かのゴブリンがあるが古民家きら出てきているが特に動く様子はない。
僕たちは軽い昼食を食べてから村を見下ろせる位置に行く。
「では、お願いします」
ドランさんが母さんにお願いする。
「では行きます!」
その声をきき、僕は母さんの隣に立ち、父さん、ドランさんがそれぞれ数メートル離れて左右に立ち廻りを警戒する。
一緒にいる騎士達は前後に分かれて周囲にゴブリンがいないか探索し始める。
母さんが詠唱を始める。
「森の精霊よ。我に力を貸し与えたまえ………」
すると、周囲の魔力が、母さんに集まっていく。
今回母さんが使う魔法は厄災級の大魔法らしい。
人間1日の魔力では到底補えるはずはなく。まずは周囲の魔力を集める魔法を唱える。
周囲に十分な魔力が集まりだすと母さんが、厄災級魔法の詠唱を開始した。
魔力が集まっていきそれにつられて小さい魔物は離れるが、大きな魔物は様子を伺おうと集まってくる。いち早く察知したのは父さんだ。
そして、その少し後に騎士団長と騎士さん達が近づいてくる魔物の存在に気がつき剣を抜く。
「トム。こっちでおおかた片付ける。そっちに行ったら頼むぞ。坊やもよろしくな!」
ドラン騎士団長は後方の騎士と森に入って行った。
「………………赤き精霊よ土の精霊と共に空より神の一撃にて粉砕せよ。メテオ」
まじ?
厄災級とかどんな魔法かと思ったら空から隕石落ちてきてるんだけど…うわー、引くわー、しかも、母さんの杖は魔法を複製して3倍の威力にする。隕石三つも落ちてきてるよ。
( ・`ω・´)オワタ!
爆音と共にゴブリンの集落が消滅した。
峡谷という地形のお陰で、ほとんどこちらに爆風が届くことはなかった。いや、ちがうな、あの規模の隕石3つなら確実にここまで爆発に飲み込まれてもおかしくなかった。
「ふぅ、うまく衝突中に隕石を魔力に変換できた。どうソラ?母さんすごいでしょ」
「!。母さんすごいです。おととい教えたばかりの魔力への還元をあの大魔法でやるなんて!」
「母さん、ソラ。喜んでる暇はなさそうだぞ。なんかおかしい。」
ん?どういうことだろう。ゴブリンの集落は跡形もなく消滅してした。何が問題だとなのだろう。
「ドランの戻りが遅い。魔物相手に時間がかかりすぎるだ。おい、母さん動けるか?」
「な、なんとか。できればもう少し待って欲しかったけど」
「そうか。なら、ソラ。お前は母さんを守ってやれ。ドランの行った方向に行ってみるぞ」
「はい!父さん援護します」
「おう。でもあくまでソラは母さんを守るんだぞ」
そして死闘が始まる。




