表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わりゆく世界に紡がれる魔導と剣の物語  作者: 夏目 空桜
第四章 TSヒロイン帰郷する
68/266

TSヒロイン・二人のみち

2018/12/07~9に投稿の『前に進む勇気』『夜中』『チスマーク』の3話を結合改稿し、誤字表現を中心に改稿しました。

 何だか、モヤモヤする。

 う~ん……


 アル君が家を出てから三十分。

 どうにも、落ち着かない。


 何か、悪いこと言っちゃったかな?

 アル君を傷付けるようなこと言ってないと、良いんだけど……


 ズン!

 ゴゴゴゴ……


「おお、な、なんだあぁ!?」


 それはあまりにも突然だった。

 地鳴りとともに家が揺れ出したのだ。

 いや、家、と言うよりも地面。さらに言うなら、大気までもが揺れたのだ。

 地震か?

 だけど、塔の中なのに高層ビル的な揺れとも違う、まるで足のすぐ裏が揺れたような感覚。

 まあ、この塔は色々とオレの常識を超越しているから、何があっても不思議じゃ……

 あ!

 外にアル君出てっちゃったけど、大丈夫かな?

 焦る気持ちを噛みしめ、窓から外を覗くと、


 ズン!


 再び大気が激しく振動する。


 視界の先では塔の中とは思えない大森林に巨大な二つの竜巻が巻き起こり、太陽の如き火球が一つ爆発を起こしていた。


「何だ何だ!? 誰だよ、あそこで世界観の違うバトルしてるヤツは!!」


 一瞬エルヴァロンの再来襲かとも思ったが、アル君の記憶を頼りにするならそれは無いだろう。

 まして、ここにはアル君をさえも圧倒的に凌ぐカーズさんまで居る。

 って言うよりも、だ。

 たぶん周りの雰囲気からしてここは上層階じゃなさそうだし、この階層的にも今あんな真似出来るのはその二人しか居ない。

 じゃあ、一体何が?

 オレは慌てて外に飛び出すと――


 うん、そこには世界の違う住人が二人居た。


 アル君の指先に凶悪な魔素が集まり放たれた真っ白く馬鹿でかい火球をカーズさんはあっさりと握りつぶす。

 カーズさんが空に謎な印を切ると、そこには無数の剣が生まれ、雨のように降り注ぐ刃をアル君は紙一重でかわしていく。

 幾重にも残像を生みだしながら、カーズさんに襲いかかるアル君。

 だけど、その一つ一つに眉一つ動かさず、本体だけを冷静に射貫くカーズさんの光の魔術。


「……修行?」


 アル君を見れば、その顔は険しく額にビッシリと汗こそ掻いているがその目に憎しみの色は見えない。

 うん、荒っぽいけど、アル君はカーズさんに何か教えを受けているようだ。


 だからオレは……


 静かに窓を閉じた。

 べ、別にあの異次元な二人の間に飛び込む勇気がないとか、そんなんじゃないんだからね!

 強い絆で結ばれた師弟の間に割り込まず、ソッと見守ろうって……

 所謂【いい女】ってヤツを目指そうと思い立った(・・・・・)オレの配慮だから!


「うん、これで、さっきアル君が抱いていた悩みが解消されれば良いけど。とりあえずアル君が元気になる夕ご飯でも作ってあげよう。ん~、オレが唯一まともに作れるお好み焼きが良いかな? 具材があれば良いけど」


 …………遅いなぁ。

 お好み焼きもあとは焼くだけ何だけどなぁ。

 窓から見える月明かりならぬ地球明かりは煌々と輝き、蒼い光が地上に降り注いでいる。

 この塔は不思議だ……

 月の見える階層があったり、地球が見えたり……

 もし、この塔を作ったのがあの青い星の住人だったなら、もしかしたら地球から見えた月や遠い地球を懐かしんで両方が見えるようにこの塔を作ったんだろうか……

 ほんの少し前まではあっちの星の住人だったからか、黙って星を一人で見上げていると、そんな思いを想像し余計に込み上げてくるものがある。

……何て、似合いもしないのにちょっとセンチメンタルになってしまった。


「遅いな、アル君……」


「ただいま」


 アル君だ!

 ガバッ!! とオレは突っ伏していたテーブルから起き上がると、急いで玄関に迎えに行く。


「おかえりー、アル、く、ん……うわぁー!! どうしたのさ、その格好!?」

「や-、先生に手合わせをお願いしてさ、後半は本気でお願いしますって言ったら容赦なくボコボコにされたよ」

「容赦なくって……」


 アル君の姿はいくら自分から頼んだにしても、容赦なさ過ぎだろってぐらいズタボロだった。

 もし、こんな姿で日本を歩いていたら、間違いなく警察呼ばれて次の日には児童虐待でニュースになるレベルである。

 ただ、そんな姿なのにどこか晴れ晴れとした顔をしているのが、もう、何と言ったら良いのか……


「えっと、一応ご飯の他にお風呂も用意しておいたけど、やめとく? 傷にしみるよね?」

「うん、大丈夫。とりあえず、両方って言いたいけど、その前にリョウ……」


 ふ、ふぉおぉぉぉぉぉっ!

 グッっと引き寄せられと、突然抱きしめられた!


 オ、オレ、今気が付いたけど、この流れは、で、でで伝説のアレですか?

『おかえりなさ~い、あ・な・た♪ ご飯にする、お風呂にする、そ・れ・と・も・わ・た・し?♥』って流れだったのでございましょうか!?

 YES!

 オレはいつでもYES!!

 覚悟完了でありますぞー!


「リョウ」

「YES! アル君、なんですか!?」

「さっきは、ごめん」

「ふぇ……?」


 おおっと、オレの予想外の言葉が返ってきたぞ。

 って、そうだ、勢いで思わず発情モードになりそうだったけど、まずは解決すべき議題があった。


「えっと、オレこそアル君に何か悪い事しちゃったかなって気にしてたんだけど、さ」

「いや、違うんだ。これはボク自身の問題でね」


 そう言って、ゆっくりとソファーに腰を下ろすアル君。

 オレはその隣に、ソッと並んで座る。


 しばしの沈黙。


 振り子時計の音が、やけに遅く感じた。


「リョウ、ボクのね、最初の記憶は振り子時計の音だったんだ」

「アル君の最初の記憶?」

「うん、それは部屋の中の柱時計だった。カッコンカッコン、ゆっくりと時を奏でる柱時計。まだ手も足も動かせない、やっと光を手に入れた頃の記憶。そして、ボクに話しかけてくれた、母親の声」

「それって……」


 それはアル君がまだ生まれて間もない頃の記憶。


「いつも笑顔で話しかけてくれてさ。その人が話しかけてくれる言葉の意味を理解するのに、一週間はかからなかった……」


 分かっては居たけど、天才なんて言葉さえ霞むほどの天才児。


「そんな両親達の笑顔が消えてボクを抱き上げる事がなくなったのは、たぶん、一歳になるかならないかの頃だったと思う」


 あ……


「自分が異常だと分からなかったガキは、大人達に持て余されて捨てられるのに時間はかからなかったよ」


 バカだ、オレは……

 何でオレはそんな当たり前の事を失念していたんだろ。

 アル君の前で両親の事を話すという意味を……


「リョウ、だけど勘違いしないで。これはあくまでもボクの心の問題なんだ。キミが両親に会いたいって思うのはたぶん(・・・)、子供なら当たり前の事で、それを理解出来ないのは、明らかにボクが特異なだけ……だから」

「でも、それは」

「良いんだ。だから、聞いて欲しい。ボクの弱さを」

「アル君の、弱さ……」

「うん、正直、バカで身勝手な話なんだけど、ね。キミが一度向こうの世界に戻って両親と向き合いたいって言ったとき、ボクの中で嫉妬なのか混乱なのか、分からない感情が渦巻いた。それは、キミの両親への愛情に対してなのか、それとも、愛情を受けたキミへの嫉妬なのか、それとも、向こうに行ったらもう二度と帰って来ないんじゃないかって言う漠然とした不安だったのか……ごめん、正直、自分でも何て言えば良いのか、分からない……」


 うずくまるみたいにして頭を抱えてふさぎ込んだアル君。

 泣いている訳じゃない。

 なのに、その姿はまるで母親の姿を探して泣いている子供のようだった。


 アル君の求めているモノ、欠けているモノ……

 それを分かっていたはずなのに、オレは無神経に触れてしまった……


 気が付けばオレは、アル君を力一杯抱きしめていた。


「何で、何で自分だけの悩みみたいに言うんだよ!!」

「リョウ……」

「オレはアル君が好きだ。大好きだ! アル君の中の何かが欠けているって言うなら、オレが全部埋めるから!」


 それはアル君を、と言うよりも、自分自身を奮い起こすみたいな言葉だった。

 以前、何かで読んだ。幼い頃に愛情を受けなかった人間は大人になっても心を成熟させるのは難しいって。

 それは、満たされるべき時に満たされなかったからだろう……

 だけど、どんなに愛情が注がれても幸せを感じずに、悪い事するヤツは山ほどいるんだ!

 なら、逆に幼い頃の愛情が欠乏していたからって、今真っ直ぐに進もうって頑張ってるアル君が、大人になってからも寂しいままで居続けなきゃだめなんて不条理があってたまるか!

 アル君が抱える不安や寂しさは、オレが全部埋めてやれば良い。

 アル君の先生だって、アル君の不安や弱さを知っているから、だから、あんな風に厳しくも優しくアル君を見守ってたんだ。

 アル君の恋人であるオレが、カーズさん以下の愛情しか注げないなんて、そんなこと絶対にあってたまるか!


「アル君、愛してるよ。だから、どんなに情けないとか弱いとか思った事でも、お願いだからオレにだけは隠さないで話して……」

「リョウ、ありがとう。キミはいつもボクに勇気をくれる」

「違うよ……」

「え?」

「勇気を貰ってたのは何時だってオレだよ。日野良って人間が何時だって前に踏み出そうと思えるのは、オレの前にアル君が居てくれるからだよ。オレ一人じゃ、とっくに躓いていた」

「リョウ……」


 アル君の優しい口づけ。


「アル君、絶対にキミを一人にはしないよ……」


 オレは、オレ達は……


 その日、初めて一つになった……


 

 窓から差し込む地球の蒼い光が眩しい。

 隣で眠るアル君の髪が、降り注ぐ蒼い光を浴びて輝いている。


 サラサラの髪を撫でながら指で梳く。

 何時もなら、すぐに目を覚ますのに起きる気配が全くない。

 ま……まぁ、そりゃ、あれだけ頑張らせちゃったんだから、いくらアル君でも消耗しきってるよね。

 オレだって、その、どことは言わないけど、ちょっと痛いし。

 ま、ネットのアダルティな投稿とかで見たほど痛くなかったから、ラッキーだったのかも知れない。

 って言うか、こっちに来てから散々酷い目に合ったから、痛みに耐性が出来てるのかも。 

 何か振り返ると色々あって酷い目にも沢山合ったけど、それでも、やっぱりこっちに来て良かった。

 だって、


「ねぇ、アル君……」


 その寝顔にキスをする。


「うん? う、ん……」


 アル君が小さなうなり声とともに布団に潜り込む。

 えへへ、可愛いなぁ。

 素直に湧き上がってくる感情。


「昔、普通に彼女が欲しいとか思っていた時代がオレにもありました」


 誰にとも無く、いや、夜空に浮かぶ地球を眺めながら呟く。


「でも、今幸せだから良いも~ん❤」


 隣で寝るアル君の頬や髪を撫で回す。


「ねぇ、アル君は今どんな夢を見ているのかな? その夢にオレは出てる? もし、夢の中でもオレの事を見てくれているならさ……えへへ、アル君、夢の中でもオレに一杯甘えてね」


 よし、決めた! 明日絶対に日本に帰る。

 そして……


「リョウ……?」


 寝ぼけたみたいなアル君の呼び声。

 にゃ~♪ もう、ホントに可愛いなぁ。

 何時もはあんなに格好良いのに、寝ぼけてると歳相応の子供っぽさなんだもん。


「おはよ、アル君。でも、まだ夜中だよ。もう少し寝てたら?」

「うん、リョウも寝よう……」


 手を掴まれると、グイッと布団の中に引きずり込まれた。


「あん❤ もうアル君、どこ触ってるの?」

「おっぱい……」

「素直だね」


 メチャクチャ抱き枕にされた。



「おはよ……」


 寝ぼけ眼でアル君が寝室から出て来た。


「おはよ、もうちょっと待ってて。朝ご飯の準備終わるから」


 昨日、夕ご飯も食べないで夜戦になだれ込んでしまったから、正直かなり空腹だ。

 まぁ、別な物で満たされているから幸せなんだけどさ、ちゃんとしたご飯は健康な一日を作るためにも必要だ。


「リョウ……」

「あん❤」


 後ろからメッチャ抱きしめられた。

 別に裸エプロンじゃ無いですよ?

 でもアル君発情してる? もしかして発情しちゃってます?

 えっちぃこと覚えたお猿さん状態?


 望む所だ!

 こっちは何時でもウェルカムじゃい!!

 さあ、かかってこいアル君!


 って叫びたいけど、たぶん違うな。

 だってアル君、カッチンチンになってないもん。


「えっと、どうしたの?」

「うん、何だか昨日の事が夢みたいで。目が覚めたらリョウが何処かに居なくなってるんじゃないかって……」


 ふきゅうぅぅぅ。

 アル君がこんなに甘えてくるなんて!

 キュンキュンします。

 気が付けばてオレもアル君を抱きしめていた。


「何処にも行かないよ。ずっとアル君の隣に居るから。だから、そんなに心配そうな顔しないで」

「うん」


 ヤバイ、何ですか?

 何なんですか!?

 この可愛い生き物は!!


「アル君」

「ど、どうしたの? 目に肉食獣みたいな光が宿ってるんだけど」

「このまま朝駆け第2ラウンドと行きませんか?」


 目線が絡み合って、真っ赤になったアル君がそのまま頷こうとした瞬間、


 グキュルルル!


 盛大に鳴り響いたアル君の腹の音。


「あはは、せっかくのお誘いなのにごめん。昨日晩ご飯食べなかったから」

「そだね、せっかくご飯作ったから。しっかり食べよ。と言ってもトーストとサラダとゆで卵だけど」

「うん、十分だよ。ありがと。あ、昨日何か作っていてくれたよね? それは?」

「え? あ、お好み焼き? うん具材も種も残ってるから、すぐに作れるけど、余り物だけど食べる?」

「うん、せっかくリョウがボクのために作ってくれたんだもん。ちゃんと頂くよ。作ってくれた者への、そして奪った命への感謝。それがキミの国の頂きますの精神なんだよね?」

「うん。分かったよ。ちょっと待っててね」


 オレの故郷の精神、か。

 正直、そんな考え方をしてるヤツなんて今の日本にどんだけ居るんだろ?

 でも、ああやってアル君が言ってくれたって事は、きっとオレの両親に挨拶するって言うアル君なりの決意でもあるんだろうな。

 えへへ。

 そう考えると、嬉しくて自然と顔が綻んでしまう。


 オレ、愛されてるぅ~♪

 アル君、愛してるぅ~❤


「って、いかんいかん。また発情モードになるとこだった……ん?」

 

 台所に立ってお好み焼きの準備をしていて、ふと気が付いた鏡に映る自分。

 肌が艶々している。

 うん、それじゃ無くて……


「アル君アル君、大変だ!」

「え、どうしたの? 何かあった?」

「何かあったじゃないよ! オレ、今日は日本に行けない! ってか、カーズさんにも会えない!」

「へ? 何で? あ、昨日激しくしすぎたとか?」

「それはウェルカム! そうじゃなくて、これ!!」

「おぉう」


 オレはシャツの襟元をはだけ、うなじをアル君に見せ付ける。

 と同時に真っ赤になるアル君。

 昨日は散々隅々まで見たのに実に初々しい反応。

 可愛い♪

 って違う違う、アル君の反応を喜んでる場合じゃ無い。


「ここ見てよ」


 オレは自分の首筋に出来た赤い痕をアル君に見せる。


「えっと、虫刺され?」

「ちゃうわっ! アル刺され! もしくはアル吸いの痕! 人これをキスマークって言います!」

「あ、あー、アハハ……」

「アハハじゃないぁ~い! 男なら思わず見る場所、それ美少女のうなじー!」


 思わず『毛細血管がいっぱい詰まってるとこ、ワキー』的なノリで言ってしまったが、決してアル君の反応を楽しんでる訳じゃ無い。

 それどころじゃないのだ。


「えっと……」

「ちな、オレが男の頃はうなじとニーソが大好きでした! 負け犬属性の幼馴染みヒロインが油断した瞬間にうなじをチラ見されるシーンとか正直たまりません……って思わず暴露したけどオレの性の癖は関係ないの!」

「や、ボクからは聞いてないよ? って言うか、自分の恋人の男時代の性癖聞かされるとか、どんな罰だよ……」

「それは忘れろ! で、アル君はどんな格好にグッときますか!」

「ボクが好きなのは……って、今はそんな話じゃ無いだろ! それで、そのキスマークの事だけど」

「そう、このキスマーク! 見る人見たらあっちゅう間にナニしてたかバレます!」

「あぁ、そう言う事か。えっと、服とかで隠せば……」

「隠せない場所なの! 付けてくれて良いから、せめて隠せる場所……うみゃあぁ!?」


 頭を抱えるオレを、アル君が思いっきり抱き寄せると、そのままうなじにキスされた。


「前も言ったよね。ボクだけの女だって証明できる絆を見せ付けたいって」

「言った言った、言いました! それらしきこと言われました!」

「リョウも喜んでたじゃん」

「喜んでたような、そうだったかなぁ……って、別にね! 今じゃ無ければ良いの! これからオレの両親に会いに行くのに事後ってバレるでしょ!」

「あ~、でもほら、リョウはもう完全に女の子でボクの恋人だよって証明にも……」

「おバカァ! 何で普段クールに物事考えるくせに、何でオレとの恋仲を証明するとなるとそんなに見境無くなるのさ!」

「う~ん、それはリョウとの事だから?」

「やん、アル君てば❤ って、そうじゃなくて! アル君、オレの両親と会う前にカーズさんに会うんだよ」

「あ……」


 ことの重大さを理解して、アル君がオレを膝に載せたまま頭を抱えた。

 あの通りの人だ、全てを見透かして、たぶん絶対確実に全力でアル君をクールにいじり倒すだろう。

 そしてカーズさんを実の親のように、いや、それ以上に尊敬しているアル君だ。

 それは気恥ずかしくて耐えられないは――


「うにゃあぁぁぁ……ありゅくん?」


 アル君がメッチャ背中を吸ってくるんですが!?

 な、何、どうした?


「とりあえず面倒臭い事は後から考える」


 それは、いつも先手先手で状況判断して対策するアル君らしくは無い発言だった。

 たぶん、何か考えがあるって言うよりも、カーズさん相手だと諦めてる……って感じなんだろうな。

 そして、オレのお尻に当たる硬い感触に、オレのケモ耳が熱くなる。


「アル君、盛ってる?」

「うん……」


 メッチャ素直だった。


 結局お好み焼きを食べたのは、それから四時間後の事でした(まる)

お読みいただいている読者様、本当にありがとうございます!


コメントやランキングタグなどで応援を頂けると執筆の励みになりますので、もし面白かったと思っていただけましたなら、何卒! ポチりとよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ