第三十八部【シン編】『泡沫の恋人』
春太は『シン』じゃなかった。
後は榎木夏目、萩原秋人、柊冬夜と柊雪夜。
この中の誰かが『シン』の可能性が高い。
あの『シン』が私に関わらないのは
”関わる必要がない”からじゃないかと考えた。
既に接触してるとしたら…?
最近、接点が多いのは
攻略キャラの彼くらいだから
彼らの内、誰かがアイツだと思う。
その中でも一番、怪しいのは榎木夏目だ。
榎木組の跡取り息子の彼が、
一番、前世の私に近い場所にいるから。
「…榎月夏目。」
昇降口で毎日待ち伏せしている
不良の手には赤いバラの花束が…
「これお前にやる。」
「え、要らない。荷物になる。
どうぞ持ってかえって下さい。」
「つれねぇーな。」
「あと私、恋人できたので
私のことは諦めてください。」
さり気なく言って立ち去るつもりが腕を掴まれて
その場から逃げられなくなった。
「………誰だよ、俺の知ってる奴か?」
「貴方には関係ない。」
「…楪か?」
「………はぁ?」
何故そこで若菜?
確かに私は若菜を愛してるけど
それは恋愛感情じゃなくて重い友愛だ。
「若菜は同性だけど?」
「どうだか…」
「話しはそれだけだから手、離してもらえる?」
「……あぁ、」
榎月を下駄箱の前で置いてさっさと教室に向かう。
『…また、邪魔すんのかあのオンナ』




