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第三十九部【シン編】『泡沫に消えた紅椿』


違和感を感じたのは昼休みだった。

若菜がトイレに行ったまま戻らない。


そして、クラスに榎月がいないことも気になる…。


携帯を気にかけていると、

一つのメーセージが届いた。


『おくじよう』




「……屋上?…かな?」



念のため、新にワン切りして

携帯をマナーモードにしてから屋上に向かう。


途中、萩原秋人や柊冬夜、柊先生等が

話しかけてきた気もしたがそれどころではなかった。





…あの時と同じ喪失感を感じた。

若葉が殺されたあの日を繰り返したくない。




屋上へ続く階段を音を立てないように

静かにそして急ぎ目に上っていく。


「~~~!~~!」


「~~~~?~~。」


話し声が聞こえるけど内容はわからない…


(若菜の声と……男の声?)




「お前がいなければ『ツバキ』は

俺を、俺だけを愛してくれた。


俺に、依存してくれた。


なのに…お前が、お前の存在がいつも邪魔する。


頼むから俺からアイツを奪わないでくれ。」




『ツバキ』

その名前が聞こえたやいなや屋上のドアを蹴破る。





「………やっぱり君が『シン』だったのか








榎月 夏目。」




ユラユラと佇む、榎月夏目は普段の面影が無く

残酷で思いやりのない…『彼』そのものだった。




「久しぶり、『ツバキ』」


「私はツバキじゃない。四季 閏だ。

そこにいる若菜だって若葉じゃない。」


「そういうとこだ。

生まれ変わろうとお前は変わらない。

『ツバキ』は『ツバキ』のままだ。」


様子を見るからに若菜に

害を及ぼしていない様子で一安心した。


ただ……


「その手に持ってる物はなんだ。

銃刀法違反でしょう?ついでに校則違反。」



『シン』の手にはナイフが握られていた。



「お前の答え次第では使うかもしれないな?」


「…なに、脅迫?」


「…違う。”お願い”だ。


俺以外に依存すんな。俺だけに依存しろ。」



階段を上る音が聞こえてくる。

きっと…いや絶対に『彼』だ。


『彼』なら絶対に守ってくれる。


私の…


「絶対に嫌。

アンタのもんになるくらいなら死んだ方がマシ。」


(こう言えばコイツは

挑発にのって、若菜に気が回らない。)


(昔から単細胞なんだよ、君は。)



「お前はいつだって俺の物にならねぇのな…」



(バタンッッ




「閏さんっ!大丈夫ですか?!」



けたたましい音と共に新が現れた。




「それより若菜を…」




「もういい、



また繰り返せばいい。


お前の大切な奴を殺して


”次は”お前が自殺なんてしないように囲えばいい」




そう言って『シン』は若菜の方を向いた。



新もそれに気づいてすぐ動いたけど、

距離的に間に合わない…


身体が咄嗟に動く。



(もう二度と若葉(ワカナ)を殺させない。)


「死ね、楪」


咄嗟の所で若菜を庇う。



今度は間に合った。

でもなんでだろう…?

胸が火傷したみたいにアツイや…、





「閏っ、」


なんで泣いてんの若菜

若菜は笑った顔が一番可愛いのに、


…あれ、声が出ない



「なんで、違う、俺は悪くねぇ、違う、イヤだ、」



『シン』は、なに言ってんの?

でもなんか悲しそうな声…

反省したんなら謝ってよ。

そしたら私も許せるから。

本当は私も、

また昔みたいに…戻りたいんだよ。


あれ、なんで誰もいないの?

真っ暗でなにも見えない。

…新は?なんか無性に新の声が聞きたい。


誰かが凄く殺気を出してる。


前にもこんな風に世界の色が音が消えたな…

なんだっけ…あ、この感じ……





自殺した時に感じた眠り…、






そっか、私、死ぬのか…


最期に新の声が聞きたい。聞きたいよ新……、



『あらた、なんかしゃべってよ

こえ、きかせて……』


「うるうさん……、」



なんて情けない声……今にも泣きそうで、

…こっちまで辛くなるじゃないか、

死ぬのは怖くなかったのに、

貴方を置いて逝くのがとても怖い。

貴方を一人にしたくない。

私も一人になりたくない。


後を追ってよ新…そして来世で、また……









…………………

…………………………

…………………………………………







そこで私の意識は途切れた…。














最終話みたいになっちゃった…

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