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38 ガンダムを語ってみよう ④

 そこで、いきなり“鉄血のオルフェンズ”の話。


 まあ、比較とでも言いますか、“オルフェンズ”は“Gレコ”の悪い部分の反省すべき部分を対称的に行っているといっていいでしょう。


 個人的には、


「これ、ガンダムって冠を外した方が面白くなりそう」


 というのが僕の意見。しかし、ビジネスを考えればそうもいかないというのが誰にでもわかることだと思う。


 特にキャラクターたちの環境は、昭和の創作物を彷彿とさせる。


 ☆☆☆


 僕が一年半前に書いた第三部分『頭の回転が加速装置』の内容である、


《僕の観たかったガンダム》


 に少しだけ設定が似ていて(※ありふれた設定の寄せ集めなので、それほど珍しくもないが)、

“オルファン”という“孤児”を意味する言葉を副題に冠している通り、主人公たちは孤児ばかり。


 今の日本では微妙に共感しにくい設定であるものの、何故かそそられるのは、人間としての本能なのかもしれませんね。


 僕は随分前から、人間の一番の恐怖は、


「他人に認識されないこと」

 と、

「今あるものが無くなってしまうこと」


 だと書いてきました。


 無論、こんなことは先人たちが古くから言い述べてきたことでありますが、それでも僕の人生の中で主観的に、および客観的に感じて得てきた感覚であると察しています。


 第29部分で書いたエピソードは、それを示唆した内容でもあります。


 先だっての大震災によって、それを目の当たりにした方々も少なくないはずです。


 ☆☆☆


 話は逸れましたが、この“孤児”という設定は、昭和のサブカルなどの典型でもありました。


 あしたのジョー、タイガーマスクなどの原作者、梶原一騎ばりの設定ではありますが、それによって“生き抜く”というところには、多分人間としてというか、生物としての本能めいた何かが興味をそそるのかもしれません。


 ☆☆☆


 そして若い力が、古い錆びついた中高年の悪態を一蹴する様は、観ていてとても気持ちがいいものです。皮肉なことに現実の自分が中高年であってもね。


 しかし、この物語を五話まで観た時点で得た感想としては、


「なるほど、今は若い鉄華団も、一つ道を間違えれば以前の連中と変わらない運命を辿るかもしれない」


 という危うさも兼ね備えているというのが、見て取れるわけで。


 ☆☆☆


 決して“生き残る”“生き抜く”ということが、生半可なことではないという、現代へのアンチテーゼとして語られるなら、この作品は面白くなるな、と思うわけでして。


 それに気づいてしまった金髪のお嬢さんもいい味を出していますし、今は主人公よりキャラが立っているリーダーの“オルガ”に多分視聴者は期待が高まっているはず。


 じゃあ、主人公の三日月くんはどうなるかと予測しますと、


「生き抜くことを目的としてきたために、現代的な情緒とでも申しますか、ヒューマニズムが欠けている。しかしそれを、これからの成長過程で形成してゆくのだろうな」


 という感じかな。


 ☆☆☆


 そういう、作り手側の作品動機が伝わってきて、面白い作品であることは間違いないでしょう。今のところは。


「難しいことは抜き。ただ、生き抜くよ!」


 という姿勢が特にいい。


 前にも言いましたが、昨今は言葉をこねくり回しているだけで、結局何らかの経典とか啓発本発想で帰結してしまう、そんな作品だらけなのはいかんせん耐え難い。


 それならば、そういう難しいのは別のキャラにやってもらって、主人公たちはひたすら真っ直ぐに生き抜いて見せる、という姿勢を醸し出しているのは原点回帰ともいうべき発想の転換ですね。


 とてもいいです。生きる力にみなぎってます。


 若いとき特有の怖いもの知らずで、しかも先行きは全く不透明という現状でも、それでも何とかしようとする姿勢を描いているところに、僕は共感を得ています。


 






 


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