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騎馬戦記⭐︎ガールズナイツ  作者: mutsu!(=むったん)


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本編再開23 答え合わせ

「黒姫ぇぇぇぇえええっ!!」


 絶叫。


 それでも夏華は。


 一人。


 前へ出た。


 半泣きになりながら。


 後ろには下がらない。


 薙刀を構える。


「わかったわよ! もう! 六人!?」


 一歩。


「だから何ですの?」


 夏華が半泣きのまま。


「全員まとめて――」


 踏み込む。


「ぶっ飛ばして差し上げますわ!!」


 最後の鋒矢。


 その切っ先が、最後の戦いを始めた。


 ◇


 薙刀。


 長い柄を持ち、対剣武器として優位性の高い近接武器。


 対する結女の前に立ちはだかる六人は全員剣盾装備。


 武器の相性だけなら、夏華に分がある。


 夏華が右手の薙刀で空を切る。


 軌道は結女から見て『7』の字。


 エンジンをかけたのだろう。


 呼吸を、捨てる。


 一気に左足を踏み込む。


 左手で顔の位置をガードし、右斜め下からの掬い上げ。


 死角からの攻撃。


 だが、結女の最終防衛、近衛兵である。


 盾と剣を交差させ、なんとか受け止めた。


 夏華は反動をそのまま後方へ流す。


 踏み出した足が大地を踵側に蹴る。爪先が地面を離れると同時に足を畳み込む。


 神速。


 そのまま右足を軸にして、時計回りに身体を捻る。


 半身。


 後ろ側に運んだ左足でもう一度大地を蹴った。


 右脚を大きく踏み込む。


 武器を両手持ちに変え、左斜め上からの袈裟斬り。


 叩き込む。


 右から二人目の近衛兵が、ガードごと吹き飛んだ。


「なっ……!」


 ドボン!


 リタイア。


 だが、そこへ両サイド二人が同時に斬り掛かる。


 バックステップが僅かに遅れた。


 胴体へヒット。


「くっ!」


 だが、浅い。


 センサーはまだ反応しなかった。


 夏華が、振り抜いた薙刀をくるりと逆手に持ち替え、背中側で左手へと受け渡す。


 そのまま。


 横薙ぎの一閃。


「うわっ!」


 中央右側の一人が右脇腹に一撃を受けてリタイア。


 そのまま1番右、最初に夏華の攻撃を防いだ近衛兵に渾身の突きを叩き込んだ。


「かはっ!」


 デスポイント。


 喉。


 リタイア。


 一気に三人が落とされた。


 郁佳が焦る。


「うっそ!」


「嘘ではありませんわっ! 結女さん! その首頂戴します! ですわ!!」


「あらー。コレはちょっと予想外ー。夏華ちゃん強いわねー」


「今更ですわ! 残念ながらあの遥の(バカ)と従姉妹ですのよ!」


「ちょっとこら、夏華! 誰がバカよ!」


 遠くから遥のつっこみが炸裂する。


 牛島の血筋は地獄耳がデフォなのだろうか?


「バカはバカですわ。アホかもしれませんけど」


「よし、コロシに行くから待ってろ夏華」


 夏華の戦闘力が想定以上に高い。


 そう判断した残る三人の近衛兵は、即座に方針を変えた。


 専守防衛。


 もう、夏華を倒す必要はない。


 結女に触れさせなければいい。


 遥。


 瑠衣。


 和音。


 よしお。


 誰か一人でもここへ到着すれば、さすがに勝負はつく。


 だから。


 三人は攻めない。


 盾を前へ。


 剣をその隙間へ。


 結女の前に、もう一枚。


 小さな壁を作った。


「…………」


 夏華の眉がぴくりと動く。


 右。


 左。


 中央。


 三人。


 こちらへ踏み込んでこない。


 先ほどまでと違い、明確に距離を保っている。


「……時間稼ぎですの?」


「正解ー」


 背後。


 結女が楽しそうに答えた。


「まあ、わたくしでもそうしますわね!」


 夏華が薙刀を握り直す。


 分かっている。


 時間がない。


 後ろを振り返る必要すらない。


 遥と瑠衣に当てた五騎ずつ。


 外側で和音たちを受けている騎馬。


 中央で郁佳の四十騎に捕まった本隊。


 全てがもう。


 長くは持たない。


 なら。


 ここを。


 今。


 抜くしかない。


「行きますわよ!!」


 夏華が踏み込んだ。


 薙刀。


 正面。


 大きく。


 振りかぶる。


「来る!」


 三人の盾が一斉に上がる。


 だが。


 夏華は振らなかった。


「え?」


 フェイント。


 踏み込んだ右足を軸に、身体を左へ。


 薙刀の石突を低く。


 左端。


 盾の下へ。


 ガッ!!


「っ!?」


 跳ね上げる。


 盾が浮いた。


「もらいましたわ!!」


 薙刀を引く。


 左端の近衛兵が身体を縮める。


 だが。


 そこにも。


 振らない。


「なっ――」


 二度目のフェイント。


 空いた隙間へ。


 夏華自身が。


 身体ごと飛び込んだ。


 中央。


 右。


 二人が即座に寄る。


 三人の間隔が狭まった。


「そこですわ!!」


「え?」


 狙いは。


 それ。


 薙刀を。


 横、一閃。


 ブオンッ!!


「うわっ!」


 三人。


 まとめて盾を構える。


 ドンッ!!


 衝撃。


 止めた。


 だが。


 三人の身体が。


 同時に。


 僅かに。


 右へずれた。


 ほんの一歩。


 だが夏華にはそれで十分だった。


「抜け――」


 足。


 一歩。


 二歩。


 結女。


 近い。


「させない!!」


 中央の近衛兵が、盾を投げ捨てた。


 剣。


 両手。


 夏華の胴へ。


「っ!」


 薙刀の柄で受ける。


 ガンッ!


 止める。


 そのまま柄を滑らせ、剣を外へ。


「甘いですわ!!」


 石突。


 みぞおち。


 ドンッ!!


「ぐっ!」


 センサー。


 点灯。


 リタイア。


 残り。


 二人。


 そしてそこへ後ろから飛び込む影が一人。


「させるかぁぁああっ!!」


 郁佳だった。


 完全に脚を失った背水乃陣高校の危険度は低い。


 結女の防衛に回った。


 鋭い一撃が夏華の背中を斬りつける。


 だが。


「ちぃっ!!」


 ズバンっ!!


 一瞬で向きを変えた夏華が薙刀の柄でその攻撃を受けた。


 攻撃を受け流すようにバックステップする夏華。


「惜しい!」


 郁佳が悔しがる。


「あっぶな!!」


 夏華が衝撃を逃すように後ろへ飛ぶ。


 結女の横五メートルの位置。


 二人の総大将の間には、近衛兵二人。


 そして。


《鉄壁》長谷部郁佳。


 援軍は見込めない。


 絶望が夏華に襲いかかる。


 だが。


「こじ開けますわ!!」


 折れない。


 だがその時。


「夏華ぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「…………」


 夏華の動きが止まった。


 遠く。


 聞き覚えしかない声。


「誰がバカですってぇぇぇえええ!!」


「……げっ」


 夏華が振り返る。


 背水乃陣高校。


 後方。


 そこにあったはずの二人騎馬、五騎。


 あ。


 いない。


 そして反対側。


 あ。


 もう、玉ない。


 愛刀、バスターソードを肩に担いで。


 迫る災害。


 牛島遥。


 ドドドドド!!


 迫る男子の天敵、天使な悪夢。


 山ノ井瑠衣。


 シュタタタタ!!


 走る。


 走る。


 走る。


 遥の方はその背後に土煙が舞っている気がするのは気のせいだろうか。


 玉狩姫、遥なる災害、共に到着。


「本当に来ましたの!?」


「来た」


「来ないで!」


「待ってろって言ったでしょ!!」


「待つわけないから!!」


 即答。


 夏華が薙刀を構え直す。


 遥が。


 にっ。


「よし」


 笑った。


「じゃあ――」


 バスターソードを、肩から。


 下ろす。


「六枚置いてけ」


 ピキッ!


「こ……のバカ遥ぁぁぁぁぁ!!」


 最後の戦い。


 その最後。


 牛島。


 対。


 牛島。


 従姉妹同士。


 スポチャン武器による殴り合いが始まった。


 瑠衣が一歩下がる。どうやら観戦するようだ。


 ◇


 その間にも。


 背水乃陣高校は、完全に限界を迎えていた。


 疲労。


 スタミナ切れ。


 崩れた陣形を立て直す脚も、もう残っていない。


 和音。


 よしお。


 縦島。


 元副部長。


 各所から瀬戸際高校が雪崩れ込み、背水乃陣高校の残存騎馬を次々と沈めていく。


 そして。


 最後。


 残ったのは。


 総大将。


 牛島夏華。


 ただ一人。


 もはや勝ちの目はない。


 結女の前には郁佳。


 さらに残る近衛二人。


 和音たちも次々と集まってくる。


 一応。


 全員。


 武器は持っている。


 だが。


「…………」


「…………」


「…………」


 誰も動かない。


 完全に。


 観戦モードである。


「なんで誰も手伝わないの!?」


 遥が叫ぶ。


「いや」


 郁佳が答えた。


「行くって言ったの遥だし」


「有意」


「何が有意なの!?」


「さあ! よそ見している場合ではありませんわよ!!」


「うおっ!?」


「せめて遥、あなただけでもローション地獄に道連れですわ!」


 薙刀。


 袈裟。


 夏華の一撃が遥へ襲いかかる。


 速い。


 ここまで戦い。


 ここまで走り。


 それでも。


 鋭い。


「今っ!!」


 夏華が踏み込んだ。


 遥の肩口。


 一直線。


 だが。


 ガンッ!!


 バスターソード。


 受けた。


「っ!」


 遥は真正面から止めない。


 剣身を僅かに傾ける。


 夏華の薙刀が。


 その斜面を。


 滑る。


「甘いっ!!」


「なっ!?」


 そのまま。


 遥がバスターソードを返した。


 薙刀を巻き込み。


 下から。


 斜め上。


 一閃。


 スパンッ!!


「きゃあああっ!!」


 夏華の身体が仰け反った。


 同時。


 胸部センサー。


 赤。


 点灯。


『牛島夏華選手――リタイア!!』


 アナウンスが響く。


 終わった。


 背水乃陣高校。


 総大将。


 牛島夏華。


 撃破。


 そして。


 試合終了。


 ――の。


 はずだった。


「…………」


 遥が。


 何かを見る。


「…………」


 郁佳も見る。


「…………」


 和音も。


 よしおも。


 縦島も。


 元副部長も。


 見る。


 結女。


 にこにこ。


 瑠衣。


 じー。


「…………なに?」


 夏華が嫌な予感と共に自分の胸元を見る。


 先ほど。


 遥が振り上げたバスターソード。


 その剣先が。


 不幸にも。


 本当に不幸にも。


 夏華の衣装の胸元へ。


 少しだけ。


 引っかかっていた。


「…………」


 ぽん。


「え?」


 ぽん。


「…………」


 ぽぽ。


「ちょっと」


 ぽん。


「待って」


 ぽん。


「待ちなさい」


 ぽん。


「待ちなさぁぁぁぁい!!」


 六枚。


 宙を舞った。


 ひらひら。


 ひらひら。


 全国大会。


 全国放送。


 大型モニター。


 高画質。


 あゝ。


 無情。


「い、いやぁぁぁあああ!!!!」


「…………」


 遥が数える。


「一、二、三、四、五、六」


「数えるな」


 瑠衣。


「六枚、見立て通り」


「お前も確認するなぁぁぁぁぁぁ!!」


 夏華の絶叫が会場に響き渡る。


 遥が。


 ぽん。


 夏華の肩を叩いた。


「やっぱ六枚だったね」


「あなただってぺったんこでしょぉぉぉぉぉ!!」


 そして。


『試合終了!!』


 無慈悲なアナウンス。


『勝者――瀬戸際高校!!』


『うおおおおおおおおお!!』


 大歓声。


 その中心。


 勝者、牛島遥。


 敗者、牛島夏華。


 そして。


 地面に散らばる。


 六枚。


「…………」


 夏華のお口が。


 ぴよ。


 顔に縦線も入る。


 一人だけ白黒になる。


 全部盛り。


 全国大会二回戦。


 背水乃陣高校。


 敗退。


 乙女の尊厳も。


 ついでに。


 崩壊した。

やっと決着です。


夏華が思いの外強くて、驚きました笑笑


まさかこんなに勝負がつくまでに時間がかかるとは思ってなかったです(=゜ω゜)ノ


これ、もしゲーム化とかしたら夏華ってかなり強いコマなんじゃないか?笑


四姉妹がURだとして、

指揮官としても、ユニットとしてもかなり強いSSRか、普通にURもありえる笑笑


三国志でいうところの趙雲か、張遼くらいのライン。

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