10。
「幸せに、なってよね」
この友人は、私の本当の望みを判ったうえで、求婚者の形をとってくれていたのだ。
フィーリアの本当の味方は、ここにもいたのだ。
「パッシィにも、いつか本当の片割れが、唯一が見つかるように祈ってる」
ハイハイと片手を振りながらパーシバルは頷いてみせた。
「いつかそうなるといいって僕も思うよ」
そうして
フィーリアは、己の半身に目を合わせた。
フィーリアが望むそのもの。
そして、たぶん、今この手を取らなかったら、もう二度と手に入らない。
そう気が付いた。
失う訳にはいかない。
手に力を籠め、愛する人の身体を引き上げる。ゆっくりとそのまま腕に包み込んだ。
「私の心も受け取ってくれるかしら」
「是非。返せといっても、返しません」
視線を合わせ、微笑みあう。
欲しいものはこの手の中にある。
手に手を取り合い、二人で一緒に会場の外へと駆け出そうとして
この幸せをくれた人へ、気持ちばかりのお礼がしたくなった。
「サリオ殿下。私との婚約を破棄して下さってありがとうございます。
つきましては、明日からの就職活動がんばってくださいませ」
この国では王弟として公爵位を新たに立てることができるのは外交を担当することになる第二王子までだ。
それ以下はどこか後継者のいない貴族位へ養子に入ったり婚姻を結ぶなどして臣籍降下することとなっている。
これは富の分散を避けるために必要な措置だ。男爵位が名誉爵位として領地を持たない一代爵なのも同じような理由だ。土地は有限なのである。
こうして、第四王子であるサリオはフィーリア・デイマック伯爵家令嬢と婚約することになった。
年齢も同い年で丁度よく、すこしお調子者のサリオにはしっかり者の嫁が必要だろうと王妃自らが候補を探し、陛下がこれを裁定した。
しかし、サリオは、そのフィーリアではなく、男爵令嬢であるリズベット・エネス嬢を望んだ。
男爵位には引き継げる領地も爵位もなく、エネス家には長男がおり商売は継げないし、このままではサリオは職すら持たない平民になるしかない。
つまり、就職活動をしなければならない、ということだ。
でもきっとそれでもいいのだ。真実の愛の為なのだから。
「進む道はわかれましたが、選んだ道は似たものになりましたね。
もうお会いすることもないでしょうが、お互いに頑張りましょう。どうぞお幸せに」
伝えるべきことは伝えた。
フィーリアとマリは、繋いだ手をしっかりと握りしめ会場の外へと駆け出した。
背後で
「ぎゃーー。王子が王子でなくて、貴族ですら……うわぁあぁぁーーー」
とかなんとか悲鳴が上がっていたけれど、
フィーリアとマリはもう振り向かなかった。
ついに手に入れた、宝物を手放さないですむように
やるべきことはこれから先にもたくさんある。
きっと二人は、これから大切な人をたくさん泣かすことになるだろう。
それでも絶対に諦めない。
この手を離さないと、決めたのだから。
タグ詐欺雪辱編にはできた気がするけど
タイトル詐欺というか
タイトルがまったくの意味不明になった気がする(負け戦




