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FileNo.0007 確認

 馬車に揺られて、帰ること1刻。その間、フィアと俺はICE談議が続いた。

 といっても、一方的にフィアが質問を投げかけてきて、俺が答えるという体だったが……。

 ただ、そこで色々わかったこともある。

 ICE自体は、やはり製造されている物ではないらしい。稼働している物は皆、遺跡などで発見されたものを使用しているそうだ。

 武器などは、あまり発見できないそうで、発見できたとしても弾がなかったり、どうやって使うものかわからなかったりと、あまり役には立たないらしい。

 ICEの整備については、技術が秘匿されているため、どのように行われているかは不明なようだ。

 そうこう話しているうちに、フィアの家へと着く。

 フィアは仕事があると言い残し、自室へと引き上げていった。

 夕飯まで時間もあるので、俺は「レバリー」へと向かい、明日以降の仕事のために、自機のチェックを行うことにした。

 コックピットに潜り込むと、いつもの手順で起動していく。

 

 「アイカ、現状の破損状況を教えてくれ」

 

 「損傷状況チェック、モニターに出します」

 

 アイカの音声とともに、中央のモニターに各部位の損傷箇所が表示されていく。一通り眺め見て、フライトユニットの全損以外は、重度の機材破損は無いようだ。

 

 「アイカ、現在の武装一覧を出してくれ」

 

 「イエス、マスター」

 

 先ほどの画面に、今度は武装の一覧表が表示される。

 

= 装備中 =

 - 頭部対人マシンガン 残弾×127

 - 腰部、MPブレード×2

 - 火炎グレネード×6

 - 対ICEライフル 残弾×6

 - マジックシールド

 - MPシールド


= バックパック内 =

 -頭部対人マシンガン予備弾薬×1200

 - 対ICEライフル予備弾薬×30

 - アサルトライフル×30

 - アサルトライフル予備弾薬×600

 - MPブレード×2

 - 対大型モンスターライフル

 -- 装甲貫通弾×30

 -- 爆裂弾×30

 -- 睡眠弾×30

 -- 対モンスター用SAM×16

  タワー・シールド

 

 飛ばされたタイミングが、出撃直後でよかった。フライトユニットに装備されていたミサイルやロケットの弾薬は吹き飛ばされているが、ほぼほぼ装備が残っていたのはありがたい。しかし、今後補給ができるかどうかも怪しい。できるだけ弾薬の使用は控えるようにしよう。

 そこで気になったのが自分自身の能力値だ。特にMPを消費するMPブレードや、マジックシールドがどのくらい使えるのか、確認しておく必要がある。

 

 「アイカ、ステータス表示」

 

 「イエス、マスター」

 

 メイン画面の右横にあるサブモニターに、今度はステータスが表示される。

 

 =ステータス=

 名前     : 広太

 LV     :60(NEXT 98%)

 スタミナ   : 600/600

 MP     : 720/720

 

 その下に続くのはスキル一覧だ。

 

 =スキル=

 機体制御 :B

 索敵   :S

 射撃   :A

 隠密   :S

 格闘   :C

 剣術   :B

 狙撃   :S

 探索者  :A

 整備士  :SS

 

 「ふむ」

 

 ステータスやスキルについては、ゲームの時と値は変わっていない。この世界でどう影響するのかはわからないし、他人のステータスが見えるわけでもないので、どのくらい他人と差があるのか判別はしずらい。

 とりわけ、スキルについてはどう影響するか、全く未知数だ。この辺は、実戦も踏まえたうえで、慎重に見極めていく必要がありそうだ。

 とりあえずMPについては、ゲーム基準に考えれば、よほどのことがない限り、戦闘中に枯渇することはないだろう。

 

 「とりあえず、機体の整備だな。アイカ、アイテムリストを表示」

 

 「イエス、マスター」

 

 今度は、左手にあるサブモニターに、表示される。


 『さて、ゲームと同じ様に使えるかどうか……』

 

 ゲームの時には、バックパック内のリペアキットを選択し、使用ボタンを押すだけだったが、今は異世界である。一応画面上に、使用ボタンは表示されている。俺は、祈りながらボタンを押した。

 

 「機体損耗率、回復します」

 

 アイカの音声とともに、メインモニターに映っていた損傷状況は、黄色から緑色になって行き、すべてが100%の状態に戻って行った。

 

 「ふうぅ……」

 

 俺の口から安どのため息が出る。何が起こるかわからない異世界に放り出され、頼れるのは愛機のみ。修理ができたことは、生命線がつながったのと同義だ。少なくとも、現在のリペアキットがなくなるまでは動かすことができるはずだ。

 ゆっくりと停止操作を行い、コックピットから降りる。

 俺は機体の傍らに置いていた、ギルドからもらった識別用フラッグを右手の手首の上に巻く。これで、明日はこのまま「レバリー」と共に街に入れるはずだ。

 いよいよ、本格的にこの世界で生き始めることを思いながら、「レバリー」を見上げた。その顔は、沈みゆく太陽に照らされて、オレンジ色に染まっていた。

 そろそろ夕飯の時間になるころと、その場で踵を返し、家のほうへ歩もうとしたとき、不意に高速で飛来する1羽の鳥が目に入った。その鳥は、一直線にフィアの部屋へと入って行く。何事かと思いつつ、家の中へ入った。

 

 「広太、すまないが私はこれから出かけることになった」

 

 「また、唐突だな……」

 

 俺が家に入ると、いきなりフィアは話しかけてきた。ある程度遠出をするのか、それなりに荷物を抱えている。

 

 「先ほど連絡が入ってな。王都へと出かけなければならなくなった」

 

 「さっきの、鳥がそうか?」

 

 「ふむ、よく気づいたな」

 

 「ちょうど、飛び込むのが見えたからな」

 

 「なるほどな……。とりあえず、夕食は台所に用意してある。たぶん3日ほど家を空けることになるから、その間は、すまないがこれで生活をしてくれ」

 

 というと、フィアは懐から巾着を取出し、銀貨を5枚ほど掴むと、俺へと渡してきた。

 

 「それは問題ないが……」

 

 「では、またな」

 

 「おい、ちょっ……」


 そう言うと、そのまま出て行ってしまう。止めようと言葉を発したが、既にフィアの姿は遠かった。というか、どうしたらあそこまで早く移動できる?俺は、そのまま途方に暮れるのだった。

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