30 見た目によらないようです。
今回はグルメ回突入前。
「ーーお腹すきましたね」
「そうね。透のお母さんお料理上手よね!」
「…母はお料理はできませんが?」
「「えっ」」
二人は勘違いしている。
あのご飯を作ったのは、お祖父様である。お母さんは、それを運んだだけ。
「母は、確かに何でもできそうに見えます。しかし、お料理だけはできません」
「そうだったのか…!」
とはいえ、お腹もすいてきた。実家に寄ってありったけの味醂や味噌、砂糖に醤油、白だしも仕入れてきた。
あの濃口醤油もどきだけだと、さすがに再現しきれない場所もある。
何か面白い食材はないだろうか?と二人に聞いたところ、この辺りではマンドラゴラが取れるらしい。
食えたのか?
某魔法学校では耳当てして植え替えしてたっけ。しかも石化解いてたなぁ…懐かしい。
ことが終わったら、帰って見よう。
「それって大丈夫なんですか?準備もなしに取って」
「うーん、そうね。私は準備らしい準備はしたことないけどね」
ルリエは参考にしてはいけない気がする。
「俺はあの叫び声がダメだな。半日は耳が使えねぇ」
やっぱり叫ぶのか。
「それも攻撃なら、スルースキル通用しますかね?」
「「それだ」」
斬を抱えて、僕は草原をさまよう。と、地面が不自然に動いている。
「えーっと、えい」
ザク。
シーン。
掘り出してみると、そこには絶命したマンドラゴラが刺さっていた。
きもい。しわくちゃの赤ん坊のミイラのようだ。そんなの見たことないけど。
「あの、一匹じゃ足りませんよね?」
「……そ、そうね、少なくとも五匹はいないと私は無理ね!」
胸を張らないでほしい。残念さが露呈する。
僕は次の獲物のマンドラゴラを探すべく、ざりっと一歩踏み出しーー
『み゛ゃああああああああああああ‼︎‼︎』
きぃぃぃん、という叫び声が耳を劈く。僕は顔をしかめながらスルースキルを発動。
一瞬だけ。
「あ、やっぱりこれも攻撃みたいですね」
「えー?何て言ってるの、聞こえない」
サクッととどめを刺して次だ次。
そのあとはすぐに三匹を掘り出さないようにしてサクサクとどめを刺していく。周辺に近づいてきた数十匹をモグラ叩きのようにとどめを刺しまくって、アイテムボックスへイン。
「ルリエ、これはどんな味がするんです?知らないと料理のしようがないんですが」
「そうね、一口切って食べてごらんなさい」
「?…まぁ、じゃあいただきます」
体を洗い流すと、しわくちゃの高麗人参のような皮膚が現れる。
うぅ、食べるには躊躇するな。
僕は斬で少し切り取った部位を、恐る恐る口にした。
「⁉︎」
みずみずしい味わい。さっくりとした歯ごたえに、野菜独特の甘みが効いている。
味は大根と、ほのかに人参といったところか。
美味しい。
「どう?見た目で食べない人も多いのだけど、透なら料理できるでしょう?」
「おいしい食材ですしね。無駄にはしません」
さぁ、どう料理してくれようか?
透「もぐもぐ、ごくん」
レイ「は、腹減った…」
現在午後1時半にもかかわらず現地調達を始めるマイペースさ。
次話から実食!




