最終話……渋谷が大ピンチ!!
最終話 世界の先導者
「ハレティだと!?」
ハレティは死んだはずだ。シフが存在を消したはずだ。なのに、ハレティだって?!
「えぇ。でも……様子がおかしかったわ。あれはまるで狂人よ……いたた」
「無理をなさらないでください」
痛みが残るのか、脇腹を押さえる姉ちゃん。すかさずスグリさんがフォローに入った。
「はん、ハレティはいつもおかしいじゃねーか」
「なんかそれすごい失礼なんだけど……」
「本当のことだろ」
「とにかく、ハレティからキーを受け取ったノートは迷わず月に行くと思うわ。それとも、もう行ったあとかもしれない。ヘラ、悪いけどノートを止めてくれないかしら?」
「そのつもりだよ……姉ちゃん」
月……宇宙か。まだシアエガは暴れているのだろうか。ノートが月に行かずに塔から起動できたら行かずに済むが、果たして……?
__________
「ここが例の塔か」
ライルに教えてもらった通り、くっっそでかい塔がそこにはあった。「地図あげるから、ここに行きなさい。近いから歩きでも行けるでしょ?」ということで地図を渡されたのだ。
「サメクン、塔の前に誰かいるよ?」
「敵か?」
「そこまではわからないわ……見た目は子供みたいだけど、ここは魔界だしヘラたちと同じような感じで行くと戦うこともあるかもしれないわ」
「そうか」
臨戦態勢で警戒しながら近付く。彼女はこちらに気付いたのか、姿勢を正した。
「ようこそ、神の塔へ」
「ここがノートの居城で間違いないんだな」
頭の先から足の先まで真っ白な女の子に話しかけた。この子一人らしい。ノートのヤツ、一人で済むと思ってるのか?ナメられていないか?悪魔。
「間違いありません。あなた方も先程の悪魔のお仲間でしょうか?」
「先程の悪魔?」
「はい。赤と黄色と黒の____おや、あなた方は……悪魔ではないのですか?」
「悪魔じゃないな。な、メリア」
「どちらかというと宇宙人?」
「……その、宇宙人がなぜここに?」
宇宙人でいくのか、この会話。
「宇宙は今大変なことになっている。だから助けを求めてここまで来た」
間違ってはいない。
「大変なこと、ですか……。では、あの悪魔たちとは関係がないと?」
「そういうわけでは……ないけど」
「……」
「わわわっ、無言で武器を構えるな!!」
魔界という場所を借りておきながら、徹底的に悪魔を排除しようとしているな、このノート関連の奴は……。
「私はノート神の巫女……悪魔の手助けをする輩は全て排除する」
「…………。俺は……あいつらに仲直りしてほしいだけなんだがな」
俺はその場で座り込んだ。隣にいるメリアはビックリしている。
「ちょ、サメクン!?」
「俺はお前が理解してくれるまでここを動かん」
「そんな無茶苦茶な!」
メリアが悲鳴にも似た声を上げるがお構いなしだ。
「サメ……と言いましたか?そんなところに居座られては困ります……」
「困るだろうな。だからこそだ」
「ーーっ」
巫女がやってきた。手を引っ張って立たせようとする。だが、ヘラたちより小さな体では到底無理だった。
「ははは、無理無理。ほらよ」
その手をグイッと引っ張る。巫女はバランスを崩し、あぐらの中心へと倒れ込んだ。
「ふにゃ!?」
「……ちょっと座って考えてみろよ。ここで。悪魔には悪い奴は……時にはいるかもしれない。だけどな、巫女さんよぉ。悪魔全てが悪い奴というわけではないと思うぜ」
「サメ……」
「……っと、柄にもないこと言っちまったな。すまん、忘れてくれ」
巫女の頭を優しく撫でる。大きな体でモサモサした髪の毛のせいで、傍から見れば巫女が埋まってしまっている。
「……っ」
巫女が俺のお腹に頭を埋める。白い髪がふわふわと俺の腕をくすぐった。
「……もし……もしもそうなら……私は……どうしたらいいの……?」
声が震えている。あともうひと押しだ。もうひと押しすればヘラたちがこの巫女と戦わずに済む。そうなれば平和的に事を進めることが____。
「……ボクの部下を誑かさないでくれるかな?」
「たぶっ!?」
不機嫌そうな男の声が聞こえ、急いで立ち上がり構える。もちろん巫女を庇ったままだ。
「お前は誰だ!」
「聞く前に自分が名乗るのが礼儀だろう?」
「……俺はサメだ」
「サメ?海の魚の、かい?」
彼の目が丸く見開かれた。髪の長いやつだが……片目が隠れているのに両方見える……変な気分だ。
「そうだ。惑星グランドゥプリュイから来た」
「宇宙人ということだね。ボクはノート……アストロ・ノートだ」
こいつが!?確かにヘラたちに言われた特徴が見受けられる。悪魔が一人もいない今、戦うのは非常に危険だ。
「お前が……ノートか」
「いかにも。……そちらのお嬢さんは?」
「私?私はメリア……惑星アルカディアから来たわ」
「二人とも宇宙人なのか。まずは魔界にようこそと言っておこうか」
「質問だ。なぜ下まで降りてきた」
「君たちをスカウトしに来たからだよ」
突然何を言い出すかと思いきや、スカウトだって?敵なのによくそんなことが言えるな……。
「断る」
「そういうと思っていたよ。ふふ、こっちも人手不足でね……本当は魔力を持った『魔女』を部下にしたかったのだけれど、そこの少女が「私がやります!」とうるさくてね」
ノートは俺の腕に目をやった。巫女のことか……。
「ならば仕方ない。ボクが何とかしよう……!」
ノートが光り輝く。いやいや、突然何なんだよ!?ベラベラ喋って急に変な事しだして!ヤバい奴だよ!?
「何だ!?」
「ノート神!!」
巫女が手を伸ばす。だが、強すぎる光によって前が何も見えない!!視界が真っ白だ!
「ハハハハハ……!!」
光の中、ノートの笑い声がこだまする。光が消え、前が見えるようになったがノートの姿はどこにもなかった。
「ノートは!?」
「消えた……」
「ノート神……あなたという方は……」
それぞれが呟く。何かが起こった。それは……あとからわかることだろう……。
__________
「師匠、見つかりましたか?」
ヘラたちに頼まれたことを調べるため、僕たちは図書館に来ました。海なんて普通に「あー海だなー」程度にしか思っていませんでしたが、魔界の悪魔たちからしたら特別な意味でもあったものだと思います。
「全然。海についてのことより、伝説とか伝記を調べたほうがいいんじゃねーか?」
「海についての伝説ですか……」
モーセの十戒くらいしかパッと思いつかない。
「……多分僕じゃ役に立たないかと……」
「………………」
あー視線が痛いなー。だって本当のことだもん……。
……と、その時だった。
グラグラグラッ!!
「わっ!?」
「地震か!?」
地震が起こった。積み重ねた本が倒れる。その光景を見て師匠はギャア!と叫んだ。
「師匠!大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……本が倒れただけだ」
図書館の机の下に二人で隠れ、揺れが収まるのを待った。
「地震……少し大きいですね……」
「ニュース見られるか?」
「つけますね」
スマホでニュースを開く。すると、気になる情報が出てきた。
「……軍事情報ですか?」
「今更軍事?」
「なになに?……『上空に謎の光源現る。人類への攻撃を確認したため危険なものと判断され、現在軍が対応に当たっています。現在アメリカ、日本の計二つ確認されています。周辺住民は速やかに避難してください。』……ですって」
そう言いながら画像を見せる。しかし僕と師匠は首を傾げた。
「……光源?」
「見えないですね」
光源なんてどこにもない。ただ、見えるのは……。
「人……でしょうか」
「拡大とかできないのか?」
「これが最大です」
小さなスマホではこれが限界だ。
「……揺れ、収まったな。出ようぜ」
「はい」
のそのそと机の下から出てくる。他の人たちも心配そうな顔で出てきていた。
「とりあえず僕はこの図書館の人たちを誘導します。師匠はスマホで調べてください!」
「わかった。警察の仕事だな」
僕はこの階の人の安否確認を始めた。怪我人はいないか、行方不明者はいないか、本棚の下敷きになっていないか……などなど。幸い連休だったので人は少なかった。
「よかった……あとは師匠を迎えに行くだけですね」
調べていたのは三階だ。僕は階段を駆け上がり、師匠を迎えに行った。
「師匠!」
「黒池、あれは恐らく魔界の誰かだと思う」
「やっぱりそうですか?」
「あぁ。悪魔は誰でも見られるとイリアから聞いた。なら、見る人によって変わるコイツは……」
「……アストロ・ノート」
「そうだ」
ノートがこんなところに攻め込んできたなんて。ヘラに早く知らさねば……!
「もしかしてノートのことを知らない人は光の玉に見えて、ノートの存在を知っている僕たちは人の形に見えるということでしょうか?」
「その説が濃いと思う」
二人で考察していると、電話が来た。……先輩からだ。
「上原から来てるぞ」
「……はい、もしもし」
『あっ、黒池ちゃん!ニュース見た!?』
「見ました」
『ウチの課に出撃要請が出たよ!警察として、攻撃部隊としてあの光の玉を倒してほしいだって!』
スピーカーモードにしていたため、師匠にも情報が届いた。二人で顔を見合わせる。
「わかりました。今からそちらに向かいます。場所はどこですか?」
『渋谷上空だよ!ビルがたくさんあって壊し甲斐があるんだろうね』
「東京か……」
そう言いながら師匠は窓の外を見た。僕たちから見たノートは人の形をしており、光っていない。なので見つけにくい。
今は東京中央図書館にいる。渋谷まで四十分くらいだろう。
『今は動きを止めている。今のうちにおいで、二人とも!』
「わかりました!」
通話を終了し、ポケットに入れる。僕は早足で本を急いで片付け、剣を手に取った。
師匠はその間窓の外を見続けていた。
僕も同じ気持ちだ。
とうとうこの時がやってきてしまった。僕たちでは歯が立たないだろう。しかし、アレを魔界に戻すわけにはいかない。終わりかけのこの人間界に留めておく、それが僕たちの使命だと思う。待っていろ、ノート……!僕たちが命をかけてでも、お前を止める!!
最終章に続く。
どうも、グラニュー糖*です!
現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!
こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。
本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!
なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!
ではでは〜




