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第十五話~ああ、主想いな執事長~

「これは、予想外の展開ですね」


 セルシリア様も、まさかバハム執事長が犯人だとは思っていなかったようだ。

 私的にも犯行動機が全然分からないから、犯人だとは思っていなかった。

 クリスティラ、グッジョブ。


「私は、もうだめなのです」


「っは! 吾輩はいったい何を……」


 どうやらベルトリオ様が目を覚ましたようだ。


「あの堕落の象徴ともいえる腹を見てください」


 バハム執事長はベルトリオの腹を指さした。泡拭いてまだ気絶しているディールライト様を除いた全員が、ベルトリオの腹に視線を向ける。

 豚だ、堕落の象徴だ、実に最悪だ。


「私は…………あれをどうにかしたかったのです。あの豚ともいえるあの腹を、どうにかしたかったのですっ!」


「ま、まさか、犯行動機がベルトリオの豚体質を直すためだったなんて、私は信じないっ! どう見たって無駄よっ! 手遅れなのよっ!」


 私は声をあげて言ってやった。

 無駄だよ、もうぶよぶよだよ。豚さんになっているんだよ。それを今更更生させようなんて無駄なんだよ。


「皆さんが思っていることはわかります。ですがね、私はあきらめられなかったんです

。あのぶよぶよしたおなか。きっといい筋肉に育つことでしょう」


「私も協力しますわ、バハム執事長。私も筋肉ムキムキになったベルトリオ様が殿方といちゃいちゃしているシーンが見たいです」


「いや、クリスティラよ。私はそんな目的でやろうと思ったのではない。ただ、豚トリオ様が人間らしい姿になってさえくれればそれでいいのだ」


「ええ、そして豚トリオ様は……むふふふふふふふ」


「ぶ、豚トリオだと……」


「「その姿ならそう言われても仕方ありませんって」」


 この使用人二人は、主を何だと思っているんだろうか。

 まあ、あの不健康そうな体を見たらそう言いたくなるのもわかるけど。

 あ、ロディとセルシリア様は腹を抱えて笑っている。もうだめだ、キャラが崩壊してら。


「わ、我を豚というなっ!」


「「「「「いや、自分の姿を見なさいよ」」」」」


 ベルトリオは無言になり、部屋に唯一ある鏡の前に立った。

 そして自分の体をまじまじと見る。

 肌色をした、オークのような体、ぶよぶよに出たおなか、その目で見つめられただけで妊娠してしまいそうな気分になる不健康そうな目、どっからどう見ても最悪だ。

 きっと今まで無自覚だったんだろう。それに、ベルトリオのスイーツ情報は確かに役に立っていた。国民、特にスイーツ大好き女性に対しては。

 だけどそれだけだ。見た目に関しては、誰もが最悪だと言っている……と思う。

 さて、今まで気にしていなかっただろう

 自覚した今、あいつは……。


「ああああぁぁぁぁぁあぁああああぁぁぁぁあぁぁ」


 発狂した。




   ◇◆◇◆◇◆◇◆




 さてさて、今回の事件がどうなったかというと、誰もお咎めなしとなった。

 いや、一人だけ、犠牲者が出たといいかもしれない。

 私はブルガスト家の屋敷から街を眺めた。悲鳴をあげながら走る一匹の豚が見えた。


「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃ」


 そう、豚トリオである。あれからというもの、ダイエットに勤しんでいるらしい。

 自分の醜い姿を自覚して、その姿を恥じて、「醜い姿は嫌だ」とわめきだした。

 そして始まった豚さんダイエット生活。

 うん、今日も頑張っているらしいね。


 んで、私はというと……。


「これは絶景ですな」


「あ、うん、そうだね」


 私の目の前に広がるはスイーツの山。これは、先ほど王城から送られてきたものだ。

 どうやらベルトリオが集めていたスイーツたちらしい。

 いらなくなったからって、私に送り付けるのもどうなんだろうか。

 こんなに食べられないよ。今度は私が豚さんになっちゃう。


 まあそんなことは置いておいて、どうやら私は破滅の運命を回避できたようだ。

 よかったよかった。


「どうしたでござるか、主殿」


「半蔵……あんたは……」


 今回マジで役に立たなかったな、こいつ。問題しか起こしていなんじゃないだろうか。

 それもしょうがないか。


「半蔵ばっかり食べないでよ。私も食べるってっ!」


 私も半蔵と一緒に、大量のスイーツを食べ始める。

 このまま、破滅なんて来ないで、幸せな生活が出来ればいいなと思いながら。



読んでいただきありがとうございました。

とりあえず、この作品は完結させます。

よろしければ新作を始めましたのでどうぞ。

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