聖なる獣
昔精獣は各地に居た。精獣は強い力を持ちながらも穏やかに暮らしていた。
精獣達は稀に気に入った人間と契約をかわし共に過ごした。契約を交わしている人間が他の人間より力を持つことに気がついた人間は精獣を捕まえ無理矢理契約を結ばせた。
そんな中とある精獣達が他の精獣を統べるようになった。その精獣達は人間の王たちに言った。これ以上無理矢理契約させるのであれば容赦しない。そして精獣達は固まり山の奥へ引きこもった。
暫くは大人しかった人間だがある国の王がこんなことを言った。
「あの精獣を統べるものと契約すれば他の精獣も従うに違いない。そうすればこの大陸の覇者になれる」
時は戦乱。どの国も戦力を欲した。1国が統べる精獣を求めれば他国も求める。
そして精獣が引きこもった山に多くの国が集まった。
これに精獣達は激怒した。警告を無視した人間に容赦はしないと多くの国を滅ぼした。
残った国は精獣の山に向かわなかった4ヶ国だけだった。
統べる精獣はその4カ国の王達に対して言った。
「我らは平穏に暮らしたいだけ。此処で滅ぶか共存するか選べ」
王達はみな共存を選んだ。そして統べる精獣に提案した。
「我らが結界をこの山に張りましょう。精獣達は自由に行き来でき人間は精獣が認める者でなければ入れなくする結界です。この結界は4カ国同時に解こうとしなければ解けません」
大地は荒れ果て人間は生きて行くのが困難になった。王が共存を決定しても力を求めてしまう者が居るかもしれない。国を立て直す間は気が配れないための提案だった。
また4人の王はそれぞれ精霊王と契約していた。
その精霊の力を使うため結界の解除も精霊王の力が必要になる。4カ国に精霊王と契約出来る者が揃うこともほぼ皆無なため結界が解かれることはない。
この事を統べる精獣に伝えた。彼らは他に条件を付けた。
「神殿を各国に置き陣を描け。我らと契約したいときはその陣で祈り魔力を流せ。我らのなかで其の者が気に入るものが居ればそこにおもむき契約を成そう」
王達は見せたれた陣を神殿に描いた。
そして約束通り精霊王の力を借り山に結界を張った。
これに納得した統べる精獣達は荒れた大地に緑を芽吹かせた。
こうして統べる精獣達は聖なる獣として聖獣と呼ばれるようになった。
その後4各国は山を中心に領土を割った。そして精獣達は約束通り気に入った人間が居れば契約をし共に過ごした。
「と、聖獣に関してはこんな感じですね。簡単に言えば聖獣達は精獣の王族なのです」
あの後説明のために神殿から神官が連れてこられた。
「建国の話に精獣関係の話が伝わっていないのはなぜですか?」
私もそこ気になる。お兄様の質問に陛下が答えてくれた。
「実はこの後王達が話し合い聖獣のことを黙秘とした。自分達の死後おなじように馬鹿な事を誰も考えないとは言えない。あと聖獣達が契約者を選んだ時争いになる前に王家が保護できるようにだな。山には結界があるから入れないが聖獣の契約者は違う。権力争いに簡単に巻き込まれてしまうし、1番厄介なのが契約者が権力を求めてしまうことだ」
「確かに厄介ですね」
「だろ?だから知ることができるのは契約者と王とその周辺の重要な者達と決められた」
「そうだったんですね」
「だからシャルネーゼが契約したのは精獣2匹と噂を流す。他国も上層部が見なくては聖獣とはわからないだろう。だが一応シャルネーゼはオブシディアンに幻術をかけ黒虎と見えるようにするように」
確かに聖獣と契約したってばれたら他国にいろいろ絡まれそう。うわ、めんどくさい。
「わかりました」
「なら我々が幻術の魔具を作りましょう。常に術をかけるのも辛いでしょう。魔具から魔力感じさせないものを作りましょう」
突然魔法騎士団の団長だ喋り出したからビックリした。
うん。ずっと黙ってたから忘れてたよ。ごめんね。
「ありがとうございます」
「他に聞きたいことあるかな?今なら纏めて説明するぞ?」
確かに各々のまた質問されるより今の方が楽だよね。なら遠慮無く。
「あの、なんで直ぐにディアが聖獣と解ったのでしょうか?」
「それは白いからさ」
「「「へ⁇」」」
事情を知らない組から間抜けな声が聞こえる。
「聖獣達はみんな白い色をしている。姿が違うがこれだけは同じらしい」
『精獣の種の中で稀に白い色が産まれる。白は総じて能力が高く王家とみなされる。白の中で1番強い者が王となる』
突然ディアが会話に加わり全員黙り込む。
「ねぇ、シャル。いまのはオブシディアンの声?」
「はい。そうですけど…お兄様にも聞こえたのですか?」
『我は聖獣だからな。契約者以外との会話も容易い』
ドヤ顔のディア。可愛いだけで聖獣の威厳ないよ?
「そう言えばシャルネーゼ様の精獣達は随分小さいですね。これからの成長が楽しみです」
気をとりなおしたレオナルド様が言った。
「精獣って成長するのですか?」
ずっとこの大きさじゃないの⁇
「はい。契約者の実力の成長と共に精獣が育つことも確認されております。シャルネーゼ様のお年と精獣の大きさから見ても成長されると思われます」
神官が丁寧に説明してくれる。
『シャル、僕は大っきくなると人乗せて飛べるんだよ』
アンが嬉しそうに伝えてくる。
「え?」
「どうしたのシャル?」
「アンは成長すると人を乗せられるらしくて…」
「まぁ、じゃあレインと同じくらいにはなりそうね」
お母様、やっぱり天然ですか?そのサイズをまぁで済ませるなんて。
「では、時間も時間だしこの辺でお開きにするかな」
陛下の一言でお開きに。
今は夜の10時。10歳の身体はもうお眠です。
「シャル、眠ければ寝ていいぞ」
馬車に乗りお父様の言葉に返事も出来ません。でも何か忘れてるような…?
「あ‼王宮の図書室行くの忘れてた‼」
いきなり叫んだ私に皆ビックリ。眠りかけてたもんね。
「シャル、学園にも図書室あるから諦めなね?明日から準備で忙しいんだから」
お兄様、呆れたように言わないで。地味に傷つく。




