Osb.14:クラインの胃袋なのです!――反転する平衡、泥の重奏
【場所】クライン・ヴォイド・サンクチュアリ・垂直階層『メビウスの吹き抜け』
上から下へ、あるいは下から上へ。
視界の端で、自分の影が天井を歩いている。
新平
「……っ、ぐ。右足を出せば空に沈み、左足を出せば地面が爆発する。アリシア……。さっきから僕が踏んでいるのは、本当に床なのか?それとも、僕の感覚が『床だと思い込んでいるだけの絶望』か?」
アリシア
「どちらでも同じです。あなたの脳が『床』と定義した瞬間に、それは物理的な実体となります。ただし、その定義を1秒維持するごとに、精神的コストが22NkQずつ消費されますが」
咲姫
「にゃうにゃ!見てください、新平。あなたの流した涙が、重力を無視して螺旋を描いている。これこそが、『至高の放物線』サクッ!そのまま、平衡感覚をゴミ箱に捨てて飛ぶのです!」
【放送席:反転する実況】
未生
「(上下左右にカメラを回転させながら)ああ……!逆さまのまま、重力の隙間に挟まった先輩……。レンズが捉える先輩の輪郭が、空間の歪みと一緒に波打っている。先輩、そのまま『無』になってください!私が全部、レイヤーに収めますぅぅ!!」
猫二
「にゃ……。……さっきから、僕の目の前を『昨日の晩御飯』が通り過ぎていくにゃ。……あ、逆流してる。……食べたはずのプリンが、未来に向かって戻っていくにゃ……(虚無)」
琴子
「……嫌な音。三半規管が、存在しない『ソ』の音を鳴らしてる。……空間が、無理やり和音を合わせようとして、ひび割れてる音がするわ。」
【今回の代償】
この区画を抜けるまでに「正気」を1%でも維持していた者は、『アリシアによる特別税率(1000%)』の対象となる。
うさちぁん
「ひぃぃ……!酔えない!酔いたいのに、アルコールが脳に届く前に『上昇湯』で蒸発しちゃうよぉぉ!果林!私の頭の中に、直接お酒を流し込んでぇぇ!!」
果林
「うふふ、うさちぁん。ここでは『酔う』という概念すら、アリシア様に買い取られています。シラフで、この地獄を、隅々まで味わってくださいね」
物理高度が消失し、知覚だけが無限に加速する。咲姫の瞳には、歪んだ空間の裂け目から漏れ出す「新しい青春」の残像がプリズムのように反射していた。
咲姫
「サクッ!全員、自分を『概念』だと思い込んで進むのです!!」
(Osb.15へ続くのです!)
こんな税務官はイヤだ!とか、こんな税徴収は地獄だ!というのを詰め込みました。




