Osb.12:上昇する奈落なのです!――逆流する滝と、胃袋の叛逆
【場所】クライン・ヴォイド・サンクチュアリ・中央連絡路『逆流の回廊』
ここは「海上レイヤー(L1)」から「海中レイヤー(L0)」へと向かう下降路。しかし、散布された『上昇湯』の影響で、視覚優位係数αが臨界点を突破。全員、物理的には深海へ「落ちている」が、視覚的には「垂直に登っている」と誤認している。
新平
「(絶叫)あああぁぁ!登ってる!僕は今、全力で絶壁を駆け上がっているんだな!?なのにどうして、胃袋の中身だけが喉元までせり上がってくるんだ!重力は下にあるのか、それとも僕の口の中にあるのか!!」
アリシア
「(平然)新平さん、それは脳が感知している高度と、実際の加速度ベクトルが矛盾している証拠です。いわば『内臓の迷子』ですね。非常に効率的なエネルギー代謝です」
咲姫
「にゃうにゃ!見るのです新平!横を流れる水路の滝が、空に向かって『逆流』しているのです!これが至高のレイヤー、物理に逆らう青春の飛沫なのです!!」
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【逆流のパニック:うさちぁんの終焉】
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うさちぁん
「ひぃぃ……!逆さまだよぉぉ!お酒が……樽からこぼれずに、空に向かって吸い込まれていくよぉぉ!!待って!私の命!物理法則に従って私の口に落ちてきてぇぇ!!」
果林
「あらあら、うさちぁん。このエリアでは液体も『錯覚』に従います。お酒を飲みたければ、逆立ちをして『下に向かって登る』しかないですよ?」
うさちぁん
「もうやだぁぁ!22NkQトンの絶望だよぉぉ!!」
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【放送席(垂直移動中):未生の執着】
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未生
「(壁に吸盤で張り付きながら)はぁ、はぁ……!先輩!逆流する水しぶきの中で、髪の毛が『下に向かって立っている』先輩!この物理的なパラドクス、1フレームごとに愛の重みが変わります!重力ベクトルなんて、先輩の美しさの前ではゼロに等しいです!!」
猫二
「にゃ……。僕のヒゲが、上を向いたり下を向いたり忙しいにゃ。……だめだ、考えるのをやめたにゃ。僕は今、空を飛んでいるプリンの一部になったにゃ……(意識消失)」
琴子
「……聞こえる。重力と視覚が殴り合っている音。……不快な重低音。……でも、この逆流する水の音だけは、完璧な『シ』のナチュラル。……この街、狂っているけど、音の構成だけは合理的。」
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【狂気の再点火】
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咲姫
「ふふふ……。そうです、この混乱こそが新シリーズの栄養なのです!次はもっと深く、もっと高く……。『視点固定』を解除して、全方位から脳をシェイクする『多層迷宮』へ突入なのです!!」
アリシア
「計算通りです。次の区画では、右に曲がると『過去』へ、左に曲がると『時給が減る未来』へ繋がります」
全員
「(叫び)そこは曲がらせろよ!!(または)行かせないでぇぇ!!」
物理と精神の境界線が溶解し、クラインの壺のように出口のない絶望が加速する。
逆流する滝の向こう側に、咲姫は「誰も見たことのない青春」の残像を見た。
咲姫
「サクッ!三半規管を捨てて、次へ進むのです!!」
(Osb.13へ続くのです!)
新章突入後の第2話、三半規管だけでなく「内臓の迷子」まで描き、さらに「メキシコの街」的な異常性を高めました。




