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「あ、ごめん。変なこといっちゃて」
自嘲をわずかに含んだゆかが慌てて二人に詫びた。
「へんじゃない」
突然美鈴が喋り、ペンダントを握る手をそっと自分の手で包んだ。小さな美鈴の手に包まれたゆかの手には、無数の縫い跡があった。それを労るように、美鈴は優しく抱いた。
「綿貫さん、わるくない」
うるんだ目でじっとゆかの目を合わせた。
「わるくない。綿貫さんのせいじゃない」
声はいつもと変わらないのに、今の美鈴の声はまるで胸にしみ込むように、じんと熱く響いていく。驚いて目を見開いたゆかに、美鈴は微笑を浮かべてみせる。
「だから、もう自分をいじめないで」
諭すように言いながら、その実美鈴の声はどこか祈りや救いを希うようだった。まるで美鈴が自身がその言葉を言ってもらえる日を望んでいるような、切迫したような雰囲気だった。慰めや無責任な励ましではない、本当に相手の為に送る言葉。
「綿貫さんは良い人だよ。優しいし、かっこいいし。わたしをたすけてくれたもん。だから、もう自分をいじめないで……」
切に願う美鈴を、ゆかは強く抱きしめて肩に顔をうずめた。
「ごめんね。ありがとう……」
鼻声でささやき、ずっと鼻を鳴らす。
「でも、だめだ。まだアタシは自分が好きになれないよ。守りたい人に、こんなに慰められてめそめそ泣く、自分を侮蔑しちゃうんだもん」
華奢な美鈴の体を抱きながら、ゆかは震えた。どれだけ願われても、それだけは変わらなかった。
「別に、今すぐじゃなくてもいいのよ」
そこに傍観していた薫が口出しした。美鈴が目だけを向けた。
「ぼくには、よくわからないけど、でもユカは悪い人じゃないよ。ぜったい!」
必死に賛同するシャルロット。彼女にはこの世界の事情は分からないだろうが、それでも分かる範囲でゆかを励まそうとしていた。
「だから、じっくり考えを改めていきなさい。卑屈な人は、そのうち周りにも害を与えだすわ」
ふっと笑みを浮かべて、薫はゆかに手を伸ばして、指先だけわずかに触れた。
「ここに三人もあなたを肯定する人間が居るわ。それでもあなたは自分を否定するつもり?」
ゆかはぐっと言葉に詰まって俯く。
「その思考は敵を過大評価し、己を過小評価し、作戦に支障をきたす。あなたは、自分を信じなさい」
彼女なりの精一杯の励ましの言葉だろう。言っていて妙に照れくさくなったのか、顔を背けた。
「自己を否定するのは、あなたを肯定する私たちまで否定することよ。己の思考、発言に責任を持ちなさい。そして、胸を張って行けばいい」
じんと言葉に、胸が熱くなる。
「ありがとう……」
「さ、あなたたちはもう寝なさい」
「はぁい」
「おやすみなさい」
「お、おやすみなさいっ!」




