こいびととして
あけましておめでとうございます!
ムーンライトに書いている本腰作品をたまにあげるのに手一杯でなかなか更新出来ずすみません><
本年もよろしくお願いしますm(_ _)m
カーテンを開けると限界まで眦を下げ愛しさを全面に出した笑顔に迎えられた。
「マナ、凄く似合ってるよ!本当に何を着ても可愛いね!」
シーザー様に連れられて入った奥の部屋の中でも一等広いという個室で仕切りのカーテンの中、隅々まで女性店員数名に採寸された後、その採寸に合う衣服の中から次々にシーザー様が全身トータルで選び合わせたものを渡され、着替え、お披露目して満面の笑顔でべた褒めされ、また手渡され、着替え…を繰り返している。
恐らくもう20回は余裕で着替えた気がする。
色んな光沢や素材のシャツたち。パフスリーブの半袖で丸襟のボタンが綺麗な細工のされたものや、詰襟のボタン周りが繊細なレースで飾られた肩口と袖口のタックで膨らみのある長袖のもの、シースルー素材を上に重ねた少しモード感を思わせるものまでシャツだけでもよくこんなに形があるものだと関心する程着せられた。
それに合わせ渡されたボトムスたちも、ショートからハーフ、足首上のものに完全に足首も隠れるものまで丈だけでも一通り履いたし、シルエットも細いものから太めのもの、所謂かぼちゃパンツのような丸く膨らみのあるシルエットのショートパンツまで。
その上にジャケットやベスト、セーター。
靴はシンプルな革靴からレースアップのもの、ショートブーツ、ロングブーツなど、
小物もスカーフ、サスペンダー、クラバット、リボンタイ、ループタイ、ボウ·タイ、アスコットタイ、太ネクタイ、細ネクタイ、宝石のあしらわれたブローチなどもう目まぐるしく着せ替えさせられた。
ショートパンツの時は絶対ニーハイだったのには強い執念的なモノを感じる。
シーザー様に見せたあと、私にも全身鏡が向けられ全部見たが、流石というかなんというか、全部の合わせがとてもセンスが良い。
色使いもオシャレ。形の組み合わせも絶妙。小物も使いもさり気ないのにとても目を引く。
お店に来られる時もいつも品よくオシャレだとは思っていたけれど、本当にセンスがいいのが伺える。
今までお店でも着たことの無いようなものもあったが、この黒髪天使フェイスにとても似合っていた。
「今日はこれを着て一緒に過ごそうか。たくさん着替えさせてすまなかったね。疲れただろう?こちらに来て少し休もう。おいで。
さっきまでの分は彼が着ていた物と一緒に包んで私の車に。
マナ、飲み物は大丈夫かな?飲むかい?」
私を手招きして今日の所定地なのか当たり前のように隣に座らせた腰を引き寄せられる。そのあと初老の男性店員に指示を伝えてからこちらを向いた。
この場合の大丈夫かは、摂取許容量の事だろう。
「はい、少しなら問題ありません。」
「そう、よかった。好みの飲み物はあるかい?」
「…シーザー様と同じものを頂いてもいいですか?」
直ぐに用意されたのはティーカップに入った琥珀色のもの。
この世界で、お店の外の世界での初めての食べ物…いや、飲み物。
口に含むと豊かな香りとほのかな甘みが鼻から抜けていく。
希少な蜜を落としたハーブティーらしい。シーザー様のお気に入りなんだそうだ。個人のお気に入りがお店に置かれている所にお店にとってシーザー様が特別なのだと感じる。
お店の中で一番の部屋に案内されているんだから、特別なのは当たり前なのかもしれないけれど。
「あの、シーザー様、あんなにたくさん頂いてもいいのですか…?」
さっきの言葉で私が着たものは全て包まれてるのだろうと思うととてつもなく気が引ける。
「勿論だよ。マナ、僕が君に贈りたいんだ。僕の楽しみを奪わないで?
でもそうだな。気になるなら、お店でも休みの日でもいいから、一緒に過ごせない日も身につけてくれたら嬉しい。」
私の顔を覗き込み、甘すぎる微笑みを浮かべながら右手人差し指で私の鼻の頭にチョンッと触れる。
それが何だか今日イチバンで恥ずかしくて顔から耳から首まで熱くなる。逆上せそうになりながら何とか震える声で「…はい、ありがとうございます」とだけ言い切った。
「シーザー様、準備が出来ました。」
お茶を飲みながらしばらく、恭しいその言葉にシーザー様が頷いてから私を促し店を出ると既に車が店前に止まっていた。
万能ハイテク過ぎる!と心の中で呟きながら、当たり前のようにエスコートされ車内に入る。
見送りに出ていたお店の人達の深い礼に浅くだが会釈し返しながらお店が後ろに流れるのを見つめる。
見えなくなってからシーザー様に振り返ると眩しいものを見るような目で見つめられていた。
軽く首を傾げると、「何でもないよ」と言って更に腰を引き寄せられ、瞼に軽く口付けられた。
驚いたけれど、今日は『恋人』だ。
特に抵抗もせず、それでも恥ずかしさに少し俯く。
私の顔は言うまでもなく真っ赤だろう。今日は火照りすぎてだんだん感覚が麻痺してきた。もしかしてずっと赤いままなんじゃないかと思ってしまう。
シーザー様はクスクスと笑いながら腰を抱いてるのとは反対の手で私の髪を優しく梳きながら、更に旋毛、額、顳顬、耳輪上部、頬に、また瞼にと唇で触れてくる。
軽く、少し擽ったい位の触れ方。
繰り返されるそれにだんだんと心地良さを感じてくる。
力の抜けた私をシーザー様はそっと抱き寄せてきた。
髪を梳いていた手に優しく頭を撫でられながら、その心地良い体温に身を預けた。
ストックないのでしばらくは不定期不定時間更新です><