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エターナルリプレイ  作者: ドン
リプレイ1回目~剣士への道
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リプレイ1回目(16)

建物の隅でいじけているグレイと合流して、二人で相談した結果まずはグレイが王都の案内をしてくれるということになった。


「そういえばサイズナー伯爵って知ってるか?」


シュンの質問に、グレイは首を傾げると知らないと言った。

「なんで貴族様のことが知りたいのか知らないが、まぁ貴族だったら貴族区に住んでるんじゃないか?」


なんでもグレイによると、王都内でも貴族の居住区だけは分けられておりかつ周りは壁に覆われ簡単には入れないとのことだった。後で寄ってみるかというグレイの問いに、シュンはただ頷いた。早く会いたい気持ちはあったが、既に王都にいるのだからそこまで急がずとも会える機会はあるだろうと言い聞かせた。


「アリシアは俺のこと覚えてるのかな」


既にアリシアが養子に貰われてから数年の月日が経っており、かたや貴族、かたや未だに依り代のない根無し草である。まだ覚えていたとしても、未だにアリシアがシュンのことを好きでいる保証はどこにもないし、二人が将来一緒になることはほぼ可能性がないことと言えた。しかしシュンにとってアリシアが幸せであればそれはそれで良かった。


「アリシアって誰だ?」


耳聡くシュンの独り言を聞きつけたグレイは、シュンの肩に手を置くと興味津々といった様子で聞いてきた。なんでもないと言葉を濁すシュンをみて、余計に興味が湧いたのかグレイは引き下がらなかった。


「アリシアって名前からして女の子だよな?なぁ可愛いの?どんな関係?」

「関係ないだろ!」


しつこいグレイにシュンは痺れを切らせた。あまりのシュンの反応の激しさになにか感ずくところがあったのだろう。


「ま、まさか恋人なのか?な、なんでこんな餓鬼んちょに恋人がいて俺にはいないんだ。。。世の中間違ってる!死ね!呪われろ!もげろ!」


この世の終わりだ!と言った風に嘆くグレイに、シュンは付き合い切れないとため息をついて、さっさと歩きだした。それをみたグレイはグチグチ文句を言いながらもシュンの後をついていった。



◇◇◇


「ここがウルサ帝国一の蔵書数をほこるウルサザール学術院の付属図書館さ」

あれからグレイの機嫌が直るのも早かった。後ろでグチグチ言っていたかと思うと、急に「そうか!シアちゃんに誰か紹介してもらえればいいんじゃん!」と聞こえてきたかと思うと、「ビバ俺の逆玉ライフ!」と叫んでやたらと機嫌がよくなったのだ。


「中の本を読むの自体はタダなんだが、最初入るときに補償金代わりに金貨一枚預けなきゃいけねぇから貧乏人にゃあ使えないのは変わらん」


金貨一枚で一人が贅沢をしなければ半年は食べていけるほどの価値がある。それを考えればかなりの値段だとわかる。昔無断で本を持ち出して転売する輩がいたとかでそうなったらしいとグレイは教えてくれた。


「だからあんな商売が流行るのさ」


グレイの目線の先をみると、図書館に入る人の半分ほどは受付の前で立っている男にまず話しかけ、お金らしきものを渡している。そうするとその男は受付で代わりに手続きをしてその人間をいれる。


「あれは保証屋さ。銀貨1枚払えば、代わりに金貨一枚の補償金を立て替えてくれるんだ。ボロい商売さ」


銀貨30枚で金貨一枚であることを考えれば、なかなかの暴利である。しかし、帝国一の蔵書量と聞いてシュンは少し興味を持った。


「さ!次にいくぞ!って言ってもすぐ隣なんだけどな」

そう言って悪戯っぽくグレイが笑うと、すぐと隣の建物を指した。

「付属図書館ってぐらいだから、当然学術院はここだ」


そう言って学術院の説明をしてくれた。学術院は主に各種文官育成のために国が建てたもので、政治学、経済学、異文化学、言語研究など教えている科目は多岐に渡る。


「そしてさらに向こう側にはウルサ魔術学院がある。名前の通り魔術研究のための学び舎さ。」


グレイによるとここは魔導師の育成を目的に建てられたものだという。そもそもある水準以上の魔法使いというのは少ない。というのも魔術学院の学費が他より抜きん出て高いからである。


魔術の習得にはそれを行使しうる魔力量だけでなく、熟練の技術も必要である(使い慣れていない魔法は莫大な魔力を消費する)ため指導を受けずに独学の者はほとんどいない。帝国の魔術学院で学ぶ以外に熟練の魔導師から指導を受けるという方法もあるが、そういった実力がある魔導師は基本的に国に囲われており、要職についていることが多いため不可能であることが多い。



本当の魔導師というのは戦術級の魔法が使え、一個小隊を殲滅することもできるため戦争時にはかなり重用されるとのことである。そのため昔戦時に軍功を立て貴族に取り立てられた人ぼ中で魔術が使えるものが多く、未だにその名残で貴族は子供に魔術教育を施すものが多い。



「年間で金貨20枚以上っていう噂だ。考えただけで寒気がするぜ」

では魔術学院において学費が高い理由はどこにあるかというと、魔術研究自体に媒介として"魔物由来"の素材が必要不可欠であり、その魔物自体が実はあまり数がいない。魔物の子供は魔物とならない場合が多く、魔物自体が突然変異種であるというのがもっぱらの定説である。魔物は体に大量の魔力を蓄えており、なにかしらの魔法を使うものが多い。一方で魔法が使えないものもその分かなり身体能力が高い。つまりは数が少ない上、討伐難易度はかなり高いのである。だからこそ魔物素材はかなり高額で売買され、そのことが学院の学費の高さに繋がっている。



「グレイって見た目とは違って博識だな」


思った以上に解説をしてくれるグレイにシュンは目を丸くする。普段いい加減としか思えない態度のグレイがこれだけ博識だとしれば誰だって驚くだろう。思わぬシュンの賛辞にグレイは照れながらその理由を語った。


「いや、実はよ冒険者になる前はこの街でガイドやってたんだ」

「知らなかったよ」

「まぁお前には初めて話したからな。俺が初めてこのウルサザールに来たのは13のころでさ。」

昔のことを思い出しているのか、グレイは語りながらぼんやりと前の方を見ていた。

「最初は騎士になりたくて村から飛び出してきたんだ。よくある話さ。でも現実は厳しくてね。今まで剣術の練習なんてろくにやってこなかった俺が騎士団に入れるはずもなく、食っていくために始めたのがガイドの仕事ってわけさ!」


お前はタダで俺のガイドを受けられるんだから運がいいぜと言ってグレイは笑った。


「15の頃までガイドやってたんだが、そんな日々にすっかり慣れてしまってたんだ。でもある日俺はなんのために村を出たんだっけって思い返してね。急に情けなくなってそれからは剣術の鍛錬に力をいれ始めたよ。」そう言って力こぶを作って見せるグレイ。


「自分でいうのも何だが15で始めたにしては筋が良くって師匠には褒められたよ。だから去年から冒険者始めて今に至るって感じかな。言っとくけどまだ騎士は諦めちゃいないぜ!」


そう言ってグレイは魔術学院とは逆の方向にある建物を指差した。



「そしてあそここそがおいらの憧れ、騎士学院さ!」

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