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第十九話 第二形態が無いとはいっていない

「……悪く思うなよ」

「どうしてこんなにも正確に私の体に刺さるのよ……」


 ヤコウさんの状態異常を付与する中距離攻撃が、アルラウネの腕、背中、足にと、全身に渡って刺さっている。状態異常は毒と麻痺だそうだが、アルラウネは状態異常には苦しんでいる様子はない。しかし、的確に当てているヤコウさんの攻撃に困惑している様子だった。


「こっちを忘れちゃ困るなぁ!!」

「何度も突っ込んで来るんじゃないよ!アースシールド、ソーンウィッピング!」


 そう言ってアルラウネは、俺の前に地面を隆起させ、円を描くようにソーンウィップを放って近づく俺たちを牽制する。

 その策は間違ってはいないが相性は悪い。俺の攻撃力を舐めてもらっては困る。その気になったら壁を壊しながら突っ込める──そう思い、殴りかかろうとしたとき、オサムからチャットが飛んできた。


<待て!それは恐らく罠か布石だ!まだ壊すんじゃねぇ!>


 その言葉で思いとどまり、壁の下に滑り込んで、勢いを止める。そして、俺は手を壁につけ、何時でも壊せるように構える。


「何でいまは突っ込んで来ないのよ!?」


 アルラウネは苛立たしそうにしながら、植物を急激成長させていく。それは周囲の植物だけでなく、自身の体も──あれ、これはヤバくないか?


<今なら壊していいか、オサム!>

<頼んだ!>


 了解を得た俺は、一つ深呼吸して放つ。


「岩砕拳!」


 砕いた岩がアルラウネに降り注ぐ。あわせて、ヤコウさんの暗器の雨が降り注ぐ。今まさに、アルラウネは岩と暗器の雨嵐の中にいるのであった。

 だが、急激に成長している植物がクッションになっていて、中々俺たちの攻撃が通っていない。すると、アルラウネがいた位置から光が溢れてきた。俺たちはその光におもわず、目を閉じてしまった。


「はあぁぁぁぁあぁあぁあぁぁ!」


 そして、僅かな隙を残して、アルラウネが大声をあげた。眩しく光っており、中の様子はわからない。

 しばらくすると、光が収まり、俺たちの目の前に現れたのは──


「そう簡単にやられるわけにはいかないのよ!」


 体に纏わせた植物を急激に成長させ、自らの体長の何倍になるのだろうか、この森の木々のように大きな蔦や葉、花を咲かせた植物を背に、アルラウネがその場に立っていた。

 この状況を簡単に説明するならば。


「……第二形態、か。確かに、形態変化しないとは、言ってはいないな」


 迷いの森のボス、アルラウネ。彼女が第二形態に入った、ということだった。

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