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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
11/158

ばらのちょうせんじょう ①


「今日は用事あるから、僕先にあがるね。六花も仕事が終わったら、できるだけ早く帰って来て?」


15時悠人は英国行きを間近に控えて、六花にそう伝えて仕事を切りあがる。


「用事?大事なのね、早く帰るように頑張る」


「無理せず、普通に帰ってくればいいから」


ポンポンと頭を撫でて、帰る悠人の背中を見送った。




「お久しぶりでございます」


ノンフレームメガネに切れ長の目、悠人とは正反対の容姿と雰囲気のスーツ姿の青年が笑う。


「ずっと仕事任せて悪い、そろそろこっち(家)に戻って貰おうと思ってね。」


和奈城の家のリビング、ユルリと座った悠人の前には書類が積まれており、確認しながらチラリと青年を見る。


「そうですか、微力ながらお手伝いさせていただきます。」


「それと、家政婦を通いで2人手配して欲しい。口が堅いのと、家事が大好きな性格で中年女性ね。」


カリカリと青年は手帳に書き込む。


「あと僕は近日中に、あっち(英国)に行くから留守の間は頼んだよ?道場は残った人間が、仕切ってくれるから心配ないし。」


「了解でございます、あの…気になっていたんですが?どなたかとお住まいになってますか?」


ニーッコリ、青年は悠人がこんな笑い方をするのを知らない笑みで、頷くと微かに笑う。


「もう帰ってくるよ、彼女が逃げない限り僕はあの子を、妻にする。」


「和奈城の家も、安泰ですね。」




カラリと玄関の開く音がして、トタトタ足音が消えてくるとヒョイと六花が顔を出す。


「ただいま♪」


「おかえり」


「おかえりなさいませ」


六花を席に促し、青年がお茶を出し横に立つ。


「お客様ですよね?座ってください~」


慌てた六花に、2人が笑う。


「大丈夫 青山は、これが仕事だから。六花、前に執事はいないか聞いてたでしょ?執事の青山よ。」


間をまんまるに開き、驚愕の表情で青山を見上げるその顔に青山がブハッと噴き出した。


「くくくくく…駄目、もう駄目。悠人様、可愛い彼女見つけましたね」


「青山…笑いすぎだから、六花…この笑い上戸が青山あおやま かなめって言う、仕事好きな秘書兼執事。」


「初めまして、斎藤 六花と申します」


涙を溜めてまだ笑う青山が、ペコリと長身を半分に折り挨拶をする。


「青山…まぁ、僕は要って言ってるのだけど。以前話した、ウチの不動産関係の管理を任していてね、今回ウチに戻って来てもらうので六花に顔合わせしようと思って。」


「悠人様とは、子供の頃からのお付き合いをさせていただいています。もちろんこちらに居付いている赤鬼アーネスト白熊レオンも、腐るほど存じております。」


「執事さんて、燕尾服とかじゃないんですねー?」


残念と、小首を傾げるその仕草に2人は大笑いした。


「笑いすぎー」





「いやいや、可愛らしいお嬢さんで。」


「今ね、要はこんな堅苦しい喋り方だけど次きたらフツーに、フランクに喋るからね。それと、執事の全部が全部そうだとは思わないけど…な?」


「はいはい、執事の格好するとこのお宅では浮きますからね。スーツで失礼しますよ、それとお嬢さん明日から家政婦さんが入りますから、またご紹介させて頂きますね」


それと…と、青山がごつい封書を何通か差し出す。受け取った悠人は、眉をひそめて全部目を通した。


「これらはどこ?」


「分家筋のお嬢さん方ですね、悠人様は見た事無い筈ですよ?半分に裂いて、返却しますか?」


意地の悪そうな顔で聞く青山に、悠人は苦笑する。


「普通に返却しておいて、…そうだねぇ僕は婚約したから邪魔するなって分家筋に挨拶状でも送っておいて」


かしこまりました…と笑って、楽しそうに青山は部屋を出て行った。


「なぁに?あの封書。」


「ん?僕のお金目当てのお嬢さんとその親が、送って来たお見合い写真。」


「大丈夫?」


安心しなさいと、笑って頭をなでる。


「多分あっち(英国)に行っても、ばーさまがなんだかんだ言うかも知れないけど。僕は、六花しか見てないから大丈夫。婚約を少し早くしたのは、今のような事が起きないように邪魔が入らないようにする意味もあるから…。」


いよいよ英国にいきますy

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