50 エピローグ
「……ん…ぁ?」
「ッ! ヤット目覚メタ!」
『だから言ったでしょう。彼は気絶しているだけだと。』
…あぁ、気絶してたのか。アドガキの反動だな…
左腕が治っている… まぁ、不思議な力が働いたとでも思っておくか。ダンジョンだし。
「って… なんでお前が居るんだよ。大和。」
『今私はダンジョンマスターとしてあなたの前にいるんですよ。』
「ほーん。」
じゃあ戦闘することはないってことか。なんというか、前と違って聞こえ方が違う気がする。
「ヨカッタ… マタ死ンダカト…」
「俺はそうそう死ぬことはないっての。しぶといぞ? 俺は。」
『ほんとにそうですね。まるでイタドリのようです。』
「だーれが地下茎植物だ。」
心外だ!
…というか、この真っ白な空間なんだよ。
N・マテリアルの空間の真逆じゃん。
「で、ここどこなんだよ。」
『最深部で、まぁ、重要なんだなぁ〜 程度に思っといてください。』
「キューブが見当たらないけど、ここって配信されてない感じ?」
『そうですね。外では何もない入り江をキューブが徘徊していることでしょう。』
「ふーん。」
どんまい、キューブ。
『本題に移りますね。あなたには―――』
『―――この土地の統治者になってもらいます。』
「は?」
「エ…?」
何いってんの? いや、マジで何を言ってるの?
『ですから、統治者になってもらうんですよ。』
「いや、待て待て待て待て。どう考えてもおかしいだろ!? そもそも統治者ってなんだよ!?」
『異世界の住人と、この世界の住人の調和を保つ統治者として君臨していただきたいという話です。』
「…ん?」
異世界の住人…?
「涼ニ任セタラ、ソノ土地ガ崩壊スルワヨ?」
「おい。失敬な。」
『その心配はありません。貴方には私の一部…いえ、私そのものとも言える、〝神器 |大和| 〟を与えますので。』
「…なにそれ?」
『これがあれば、基本的に異世界…こちら側の住人は貴方に従うでしょう。』
…いや、俺ドパガキだぞ? 絶対崩壊するし日本の法律とかバチボコに破壊してるじゃん。
どうするつもりなんだ…?
「そもそも、こちら側の準備もなにもなしに押しかけるのは流石におかしいんじゃないか?」
『そうですね。なので、もう1段階挟んだ後に本格的に融合が始まるでしょう。』
「…融合?」
『えぇ。この世界と、異世界の融合を。』
…あー、頭回したくねえ…
「つーか、お前らの都合で押しかけてくるのはどういうことだ?」
『まぁ、言ってしまえば私達の世界はもう滅びているのですよね。』
「……え?」
……んん? 滅んでるの?
『今はシェルターに隔離されていますが、資源は有限なのです。なので、手土産を持ちながら、この世界に渡り、生き残ろうという話です。』
「…デ、ソレガダンジョンノ始マリッテコト?」
『そうですね。偵察隊が、この〝地球〟に来た時に、文化としてちょうどいいダンジョンが根付いている。という結果から、ここを選んだんです。』
「ふーん…?」
何言ってんのかわからなくなってきた……
「…わからん。簡潔に教えて。もしくは書類にして1000文字以内に収めて〜」
『……要は、やっべぇ世界滅ぶ! じゃあ別の世界行こー! お、この〝地球〟ってとこいいじゃん! ダンジョンって言葉と存在があるんだ〜 創作物でいっぱい言われてるじゃーん! それ使って緩やかに融合していこうぜ! って感じですね。』
「あー 大体わかった気がする。」
『気がするでは良くないんですが…』
俺はあんま興味ないんだよなぁ…
統治者とか言われてもあんまり実感湧かないし…
「要は、お前らの都合でダンジョンを作ったってことか?」
『えぇ、そういうことです。』
ふーん。
「そういや、前々から言ってた器ってなんなんだよ?」
『統治者としての器ですね。圧倒的強者として君臨できる者こそ、統治者としての素質を持っているのですから。』
「えぇ〜 もしかしたら俺悪代官とかやるかもしれんぞ?」
『人間性を見るのも私の仕事です。』
変に信用されてるなぁ…
「で、じゃあさっき言ってたもう一段階ってのは何なんだ?」
『住人がこの世界に浸透するための段階ですね。』
「具体的に何が起こるの?」
『ダンジョンの個性が強くなりますね。文化を吸収して、階層数が変化したり、もっとモンスターにバリエーションが生まれます。』
へぇ〜 なんか面白そうだな。
なんか、こいつらって結構文化ってものを重要視するっぽいな。
「…へぇ。じゃあ、あのダンジョンの異変も、何かしらの前兆だったってことか?」
『そうですね。ダンジョン内での死者数が一定数を突破し、人々の文化を吸収し、再構築可能なほどのデータが集まったので、第一進化を起こしました。』
「………死者数?」
『えぇ。死者の使われない記憶を吸収し、解析することで、ダンジョンに反映するためのデータにするのです。合理的でしょう?』
…なんだか、不穏な空気になってきたぞ。
『死ななければ、報酬を得られる。死ねば、私達の今後の糧になる。良いギブアンドテイクの関係じゃないですか。』
「話し合い、という手はなかったのか?」
『さぁ? どうでしょうね。もっと、上の存在に聞いてみてください。』
「…ちっ…」
だぁ〜くそ。合理的なんだろうがなぁ…
なんだか、闇みたいなところを感じるんだよなぁ…
…上って存在も気になる。こいつが最上位じゃなかったのか…
「…というか、俺が通常ルートでクリアしてたら、どうなってたんだ?」
『レプリカの神器を与えていましたね。それに、段階が進むこともなかったでしょう。』
「……こっちが正規ルートとか狂ってんじゃねぇの…?」
『それぐらいじゃないと本物の神器なんて与えられませんよ。』
…そうなのか。 それだけ強いってことなんだろうな。神器とやらは。
『では、神器を与えます。』
「おう。」
そう言って、大和は大太刀を出現させる。
「…これお前が使ってたやつじゃねぇか!」
『あれはレプリカですよ。見た目が同じの。…では、どうぞ。』
「…っ」
ブワッ
手に持った時、全身がなにかに包まれたような感覚の後に、周りに光の粒がまう。
[パパーン! 神器【大和】を獲得しました!]
[ワールドアナウンス:神器を初めて獲得した探索者が現れました。ダンジョンが一段階進化します。詳細は、〝こちらをタップ〟]
「ワールドアナウンス…?」
『初めての試みでしたが、成功したみたいですね。』
「初めてだったんかよ…」
『私達も日々進化するのですよ。』
…なんか、だんだんゲーム感が強くなってきてるんだよな…
これも、文化吸収の影響なのか…?
「これで… 俺はダンジョンマスター…もとい、統治者になったわけか」
『いいえ。ダンジョンマスターは継続して私が行います。そして、このダンジョンをもう一度クリアすることは、異世界の住人の一部を、この呉に迎え入れることを受け入れるということになります。それは、どこのダンジョンも共通化されています。…ですが、神器を持っていない者が攻略したとしても、住人が移住してくることはありません。ちなみに、難易度は増加しています。』
「長々と言われすぎてちょっとよくわからないな。」
『…はぁ。とりあえず、貴方が異世界の住人を受け入れる準備ができたら、ダンジョンを攻略してくださいということです。わかりましたか?』
「…多分」
無闇矢鱈に攻略すんじゃねぇボケってことか。
…めんどくせっ…
『…とまぁ、神器に関しては後で見てください。そろそろ、進化が起こりますので、屋外の好きなところにテレポートさせてあげます。どこが良いですか?』
「あっちょっとまって。配信切ってからで。」
家って考えたけど、流石にこのままだと家の場所が配信される可能性がある。
…それだけは絶対に避けたいから、配信を切ってからにする。
ステータスを開いて、配信を終了する。
…こっからでも出来るんだ。
仮面と大和と…
「…エスリル、アイテムドロワーに入れるか?」
「ヤッテミルワ。」
最悪の場合、一番小さい長門形態になって俺の服の中に入ってもらうことになる。
鞘があるから俺が切られることはないけど、変な膨らみがでて怪しまれる可能性はあるからな。
スッ
「入るのか…」
まぁ、これで一安心だがエスリルが今どんな感覚なのかが少し気になるな。
…俺が入ることは出来ないけど、出てきたときに感想を聞かせてもらうか。
「…じゃあ、家の前で頼む。」
『わかりました。テレポートを行います。』
地面に、魔法陣が生まれる。
…既視感あるな。戦艦からの移動のあれと似てる。
スッ
「…っと、流石に服がぼろぼろなうえに、汚れまくってるからまずは風呂からだな。」
…なんだか、家の前に着いたらいつもの日常の感覚に戻ってきてしまった。
これにて、第一章終了です。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
閑話を挟んだ後、第二章が始まります。
エピローグの書き方とかよく分かってないんですよね…
まぁ、世界の根幹とか、ちょっと闇っぽいところを見せてこの章は終了します。
今後、どんな展開があるかは… 実は、作者自身あんまり分かってません。
そんな作者のこんな拙い文章で酔狂な小説をここまで読んでくれている心優しい読者のおかげで、ここまでモチベーションが続きました。
今後とも、半目でも脳死でもいいので、読んでいただけると幸いです。
ぜひぜひ、ブックマークや評価での応援をしてくれると、作者のモチベーションとドーパミンにつながりますのでおねがいします!
それでは、第二章でまたお会いしましょう




