41 死に挑むラプソディ【呉】⑮
「エスリル、お前は見えてるのか?」
「エェ。ガーゴイルガ動イテコチラニ近ヅイテキテルワヨ。」
「お前に見られてないって勘違いしてんのかもな。そもそもお前生物じゃないし。」
「ソウネ。」
こいつずいぶん余裕そうだな。ジリジリと近づいてる感じなのか?
一応、長門を構えておく。視界を塞がないようにしながら。
…そもそもこいつの目ってどこにあるんだ?
「俺等の声聞こえてたら止まると思うんだがな。」
「聴覚ガナインジャナイカシラ」
「ふーん。後どんぐらい?」
「3mホドネ。」
だいぶ近いじゃん…
…まぁ、タイミングはエスリルに任せるけど。
……そろそろか?
「今ヨ!」
「セイッ!」
スカッ
……スカッ…?
完っ全に空振りした…!
「…ハズシタ…」
「待ってこいつ匍匐前進してたん!?」
石化したうつ伏せで匍匐前進の姿勢をしたガーゴイルがある。
……いや、無理があるだろ、騙せてないぞ。あとキャラ崩壊してるぞ。
ガーゴイルの本領ってだるまさんがころんだじゃないの…?
気づいたら少しずつ近づいてきてるっていう。
………見ててちょっとおもしろい
「…ふっ」
いい眺めだ。(?)
……だが、流石に倒さないとダメだからな。
俺は長門をガーゴイルに突き立てるように刺す。
ガキンッ!
「硬っ!」
「傷一ツ付イテイナイワネ…」
カッチカチじゃん。
…まぁ、これで死んだら拍子抜けでしか無いんだが…
「これは、長門の【傲慢】とは相性が悪そうだな。」
「相性ガ良イノハ【嫉妬】、モシクハ【強欲】……アトハ【憤怒】カモシレナイワネ。」
「むしろ良いどころか最高だろ。じゃあ陸奥形態で頼む。」
「ワカッタワ。」
短刀の形をしていたエスリルは、分裂して双剣の形を取る。
ちなみにこの形態で付いているのは、【嫉妬】のみ。
なぜなら、まだユニークウェポンの【陸奥】を持っていないからだ。
どこかで回収して、取り込むことで強化することが出来る。
……まぁ、再現するリソースが足りなかったから、妥協した結果なんだよな。
「確か左が〝妬み〟で、右が〝嫉み〟だったか?」
「ソウヨ。エンヴィーハ他人ガ持ッテイル物ヲ欲シガル感情。ジェラシーハ自分ノ物ヲ奪ワレタクナイトイウ感情ネ。」
「……まぁ、要はどっちも嫉妬ってことか。」
能力だけ覚えておけば良いんだよ。深い設定とかあんまり気にしなくて。
……俺が興味ないだけなんだがな!
「っと、エンヴィーで……ガーゴイルの硬さを模倣させるか。」
ガキンッ! ガキンッ! ガキンッ!
ガーゴイルに左の剣を打ち付ける。
3回ぐらい。
まぁ、ジェラシーは今回使うことはないかもな。
こっちの能力は完全デバフ耐性だ。
エスリル曰く、攻撃力、防御力、レベル、スキル。それらを奪われたくない。失いたくないという感情が現れているらしい。
「っと、そろそろか?」
「エェ。十分ヨ。………変化シナイワネ。」
「まだ足りないのか?」
「…イヤ、ソモソモ不壊ダカラ、コレ以上硬クナラナイミタイ。」
「そういうことか。」
…というか、このガーゴイル全然動かないじゃん。持久戦するつもりなのか?
石化中はダメージを受けない能力とかなのかもしれんな…
…うーん、なら…
「ネルソン形態で頼む。」
「ワカッタワ。【強欲】ネ。」
エスリルは三叉槍、もといトライデントの形になる。
こいつも陸奥と同じく、【強欲】しか付いていない。
…まぁ、能力がそれだけ狂っているんだけどな。
「オラッ」
ガキンッ!
槍を突き立てるが、刺さらない。
だが、これで十分だ。
「【爪術】ヲ奪ッタワ。」
「もっかいか。」
攻撃するたびに、ランダムで一つ相手からスキルを奪うことが出来る。
ストックできるのは一つまでで、攻撃するたびに交換することも出来る。
これで相手の手札を奪ったり相手の能力を推測することが出来るっていうぶっ壊れだ。
ちなみに毎回攻撃するたびに魔力消費する。交換しなくてもだ。
まぁ、妥当なデメリットだろう。
それに、面倒なことに乱数ゲーだ。酷ければ何度もガーゴイルを殴ることになりそう…。
ガキンッ!
「【遠視】ヨ」
「もっかい」
ガキンッ!
「【爪術】ヨ」
「クソっ!」
ガキンッ!
「【飛行術】ヨ」
「クソっ! ちょっと面白そうなもの持ってんじゃねぇか! もっかいだ!」
ガキンッ!
「【石像化】ヨ。」
「…ハァ…ハァ…粘りやがって…。それで固定だ」
「ギギャッ…!?」
あ、そっか。スキル奪ったから石像化も解けるのか。
「あっ、逃げんじゃねぇ!」
クッソ、遠くに退避されたじゃねぇか…
ヒットアンドアウェイしてくるのか…? めんどくせぇな…
「メリーランド…いや、コラルドで頼む」
「ワカッタ。」
今度は、三叉槍が剛弩の形になる。
こいつの能力は【暴食】…だが、今回は普通に武器の性能として使う。
魔力を消費し、1本の矢を生成する。最大8本だが、まぁこれで十分だ。
弓を限界まで引き絞り、ガーゴイルに狙いを定める。
「喰らいな! ガーゴイル!」
ドォン! ズドッ!
豪速の矢はガーゴイルの脳天に直撃し、その周囲ごとえぐり取る。
[ガーゴイルを討伐しました!]
[第4戦艦 摂津 攻略率1/5]
「ふぅ。倒したか。」
「終ワッタワネ。」
「ってかお前、あれって元同僚とかだったんじゃないのか?」
「ソウダケド、今ハ敵ヨ。ソレグライ割リキレルワ。」
「そういうもんか。」
案外精神が強かったりするのかもな。
「トイウカ、アレダケ攻撃シテヨカッタノ?」
「…え?」
……あれ? ん? ………あ。
「忘れてたぁぁあああああ!!!!!!!」
……あぁ…やらかしたぁ……
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