↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/52

041 最悪が災厄を招く

―――海へ向かうまでの間に、騒動が起きるのか。


 それは誰にも分からなかったが、一つだけ言えることはあった。




「正直言って、この面子だと安心安全な旅路だよなぁ…」

【そうですよね。盗賊さんたちもなぎ倒せますし、魔物も従魔の力と聖女様の力でぶっ飛ばせますし…あれ、本当に脅威が無いですね】


 過剰戦力なのかもしれないが、旅路でここまで心強過ぎるのは良いことだと思いたい。


 道中が安心安全で過ごせるほうが、この世界にとって非常にありがたいのだ。



【他にも従魔はいるし、護衛もいるし、万全過ぎて、むしろ襲撃をかけようとする方々の方が哀れになりますわね】

「リリスの言う通りなのがなぁ」


 まぁ、そもそもの話として、こんながちがちの面子に喧嘩を売ろうとする輩がいるのかどうか。


 人であればまだ多少は理性があるから大丈夫だとして、生きとし生けるものを狙ってくる魔物たちであれば…これはこれで、本能的に逃げる方を選択するかもしれない。


 襲われる側のはずだと思うのに、襲う側の方がはるかにリスクが高いとはこれいかに。



【なんにせよ、これはこれで平和で良いですよ、主様。聖女様も、馬車の中でおとなしくしているようですしね】


 うふふふと笑うハクロだが、ちょっとだけ言葉に棘があるように思えるのは気のせいだろうか。


(気のせいではないですわね)

(他人事ではないのは分かるけどな)


 ぼそぼそっとリリスとギランがつぶやいているが、聞かなかったことにしよう。


 こういうことに下手に探りや深入りをすると、ろくでもない目に遭うのはなんとなく予感できるのだ。


 かつて賢者も、「藪をつついて蛇を出す、噂に首突っ込んで嫁にベアハッグされる」と言う言葉もあるからこそ…何されたんだろうか、当時の賢者。








 気になることはさておき、道中平和に時間が過ぎていく。


 元々二日程度の旅路のはずで、護衛のための馬車の移動速度に合わせたとはいえ、気が付けば夕暮れ時になっていた。


「それで、明日の昼前には俺たちの林間合宿の場所につくけど、その1時間ほど手前で聖女様の目的地でもあるわけか…」

【ええ、そのようですね。一応、その場所に付けばさらなる護衛騎士たちもいるようで、到着時点でしっかりとした防衛ができるので、私たちとも別れますよ】


 ほんのわずかな縁だったとはいえ、それでもこの道中で安全を得ることができたのであれば、彼女にとっても良かったのかもしれない。


「とりあえず、それでも夜中に魔物の襲撃がある可能性も否定できないし…油断せずに、警戒を続けておこうか」













「むぅ…明日でもう、終わりなのが悲しいですね」

「そんなことをおっしゃらずとも、道中無事に過ごせてよかったではないですか、聖女様」


…ルドラたちがゆっくりと話しているその頃、馬車の中では聖女やその護衛達も話していた。


「それにしても、あの蟻の大群を相手にして生き残って以降は、本当に平和に過ごせていいですな」

「ですが、馬車に仕掛けられていたものを考えると…最後まで気を抜けないですね」


 聖女の命を狙うような、悪辣な仕掛け。


 ほぼ全員が、その仕掛けてきた相手に心当たりしかないが、それゆえに最後まで油断できないこともまた理解しているのだ。


「一応、既に聖公国へマジックアイテムで伝達を行いました。すぐにでも粛清騎士団が動き出しそうですが、妨害工作をして動きが遅くなれば…」

「最後の機会、到着までのほんのわずかな間に仕掛けてくる可能性か……考えられるのはなんだ?」

「従魔たちと道中を共にしつつ、魔物をおびき寄せる危険な薬もあったことを考えると、『凶煙』あたりが考えられそうか」

「確実に、首が飛ぶものですね」


 『凶煙』、それは『魔吸引香』よりさらに厳しく処罰される、最悪の道具。


 世界各国の、どのような異世界から来た従魔であっても関係なく、その垣根を超えて暴走させることができるものなのだ。


 魔物から身を守るために召喚したのに、その道具によって自分たちが滅亡しかけるのもあって…敵味方を問わずに最悪の結果しか生まない代物ゆえに、所持するだけでも最悪即座に死刑が言い渡されるほどである。


「絶対に、あの大司教ならば仕掛けて来ておかしくない」

「ならば早めに、王国の者たちとは別れておいたほうが…」

「いえ、恐らく駄目ですね。…もしも使用された場合、離れても不味いのがいますよ」

「…彼女たちか」


 誰を示すのか、言わずとも分かるだろう。


 道中過ごしつつ、あの戦いの中で見た隔絶した高みにある従魔たちの姿を。


 万が一にでも、大暴走すれば…想像したくないほどの、大惨事になる可能性がある。



「その時に止められる可能性があるのが、聖女様の聖光ですしね」


 魔物たち相手に有効な、聖女の力。


 それは魔の付く存在にこそ効果があり…従「魔」たちも例外ではないのだ。



「でも、出来るだけ最悪なことにならないように、今は祈るしかないです」


 もしも、本当に最悪の事態になってしまった時に、止めることができるのか。


 厄災が起きることが無いように、心の底から祈るしかできないのであった…

あってほしくない事態

しかし、それは一刻一刻と迫りつつ…次回に続く



…さぁ、どうなるのやら

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。