魔法
ドス。
「★*£☆」
口から声にならない音が漏れるし。あまりの激痛に、お腹を抱えてそのまま轟沈した。こんな華奢な外見からは予想だに出来ないパンチ力だ。
「ちょっと、軽く叩いたくらいで大袈裟にしないでよ」
腹痛に耐えながら『ないない』手を横に降った。
見た目が普通の女の子だから、忘れていましたが怜奈さん。貴女が剣士だってことをさ、筋力はそのまんまじゃない。
少しでもお腹に力を入れ遅れたら内臓、いっちゃてますよ。
(マジで!)
「……。
ねぇ、大丈夫。
ヒ、ヒール」
俺が演技じゃなくマジで苦痛に堪えているのに、気付いたのか慌て出したが――聞き捨てならないセリフを言いましたね。
あの怜奈さん、ヒールてなに? もしかして、回復魔法なんて使えるの?。
背中から暖かい温もりが腹部へと伝わり痛みが柔いでいく。
「怜奈」
「よかった。
もう大丈夫、よね」
「怜奈。
いまさ、ヒールって言わなかった?」
「言いましたよ?」
疑問に疑問で返さないでくれないか、しかも不思議そうに、だな『私、なにか悪いことしました』じゃない。
「なに、さらっと回復魔法なんて使ってんだよ」
「そんな事、言われても……。
あ……」
自覚無しで唱えた上に、気付くの遅くないか。あの怜奈さん、俺に訴えかけるのやめてくれませんか。
「そんな顔をしても、俺は知らないぞ」
「それも、そうですよね……」
私が魔法を使えるのはどうしてか説明して、と聞かれても。
(知るわけねぇだろ!)
「納得するくらいなら、最初から聞くなよ」
「……」
プルプル震えて、涙目で黙らないでくれるか、俺は決して悪くないぞ。
「あのさ。この紙に書いてあるだろ。
治癒の知識って」
『ああ、そうでした』て納得するんじゃない。
「怜奈、頭の中に浮かんだことを教えてくれないと、俺は分からない」
「えっと……。
ポーションの作り方は、ポポヌツテ草、シシ草、ホーラ人参に女神の雫を少々と聖水ですよ」
聞いた事と違う答えが返ってきたぞ。
「あの怜奈さん、俺が言ったのちゃんと聞いていましたか?」
「だから、ポーションの作りか……。
ああ!」
気がつくの遅いわ!。




