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モニタールームにいるある男がいた。
モニターに映し出されているものを見ている。
「ふふふ・・・計画どおりだ」
その男はそうつぶやいた。
「今度こそ・・・今度こそサンプルが手に入るぞ!がはっ!がはははは!!!!」
そして笑っていた。
「わぁっ!!!」
岳は飛び起きた。
・・・。マネキンになってない?
「どうなってんだ・・・」
どうやらまた夢らしい。
身体が軽い。
岳ははっとなって右腕を見た。
あの十字架の模様がない・・・
「こんどこそ助かったのか?」
そうつぶやいた。
周りを見渡してみる。
いつもと同じ自分の部屋。何一つ変わらない。
その時下の階から声が聞こえてきた。
「岳ちゃんおきなさーい」
母の声だった。
「おきてるよー」
「じゃあ下りてきなさい」
「はーい」
いつもと全く変わらなかった。
時代以外。
「今日から学校でしょ?」
は?何言ってるんだ。
「もう中学2年生なんだから自分で起きなさい」
???
ますますわけがわからなくなった。
「中学2年生?」
そういいながら階段から降りた。
「なに寝ぼけているの、あたりまえじゃない」
「えっ?」
「ほらほらはやく朝食食べなさい」
「は、はい・・・」
まったく分からなかった。
とりあえず岳は朝食を済ませた。
「ねえ母さん」
「なに?」
母は洗濯物を干しながら言った。
「いやなんでもない」
言えなかった。言ったらまた夢みたいなことになりそうだからだ。
もうさんざんだった。
たとえ夢でもだ。
あんな恐怖2度と味わいたくなんてなかった。
岳は中学校に行く準備をしていた。
10年前がよみがえってくる。
「これも夢なのか?」
つい疑問に思ってることを誰も聞いていないのに口に出してしまった。
元の時代にもどりたい 岳の頭の中でそういう願いが芽生えてきた。
中学校に行くには確か自転車で10分ぐらい走らせたところにある。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
母はやさしい声でそう言った。
自転車を走らせながら岳は考えていた。
そして結果的にこんなことを考えていた。
俺はタイムスリップしたんだ・・・、と。
そう考えているとすぐに中学校についた。
ここはZ市立中学校だ。
今日は4月3日、始業式だ。
ここの時代では。