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チート問題児の異世界旅行  作者: 早見壮
第一章 そうだ冒険者になろう
19/26

プロローグ

 木漏れ日が差し込むウッドデッキでいっぱいの紅茶に口をつける。


「ふぅ~」


 一息入れたら、次は自分で作ったクッキーだ。まだ、朝ということもあり、甘さは控えめに作っている。


「やはり、朝食の後はほのかに甘いクッキーと砂糖もミルクも入れてないストレートティーにかぎr――グガァアアア!――うるさいなぁ」


 俺は、朝の優雅なひと時を邪魔してきたモノを一瞬で静かにさせて、あらためて紅茶を一飲みする。


 ――レベルが上がりました――


 やぁ、俺は風月楓。今はよくわからん鬱蒼(うっそう)とした森の中にいるよ。そして、俺の隣には無駄に牙が鋭い俺の倍くらいある真っ黒なイノシシさんがいるよ。

 すでに、遠い遠い世界に旅立ってしまったよ。ハハハッ!


「とおかしな思考はここまでにして、そろそろ動き出そうか」


 俺たちが異世界に転移してから一日が経った。昨日は拠点探しに数時間、拠点づくりに数時間かかり、結局そのあとは食事を食べて魔術で風呂を沸かし風呂で疲れを流して寝てしまった。


「いやさ、食事の時に魔獣が襲ってきて焦ったわ」


 結界張るの忘れてたんだよね。自分で思っていたよりも気疲れしていたらしい。まぁ、想定外の連続だったからな。


「魔獣自体もなんか強かったよな?」


 いかんせん、他の場所を知らんから基準がわからん。音速で移動し刃物みたいになった耳で首ちょんぱしてくるウサギのような魔獣だし、強いの分類でいいよな。一匹しか倒してないのにかなりレベル上がったし。


 あれ?ここってもしかしてかなりの危険地帯なのか?まぁ、大したこと問題はないだろ。倒せたし。

 ちなみに、そのウサギの魔獣は朝食としておいしくいいただきました。かなりうまかった。鶏肉ぽかったんだけど、単純に鶏肉よりも旨味が強くて噛むたびに肉汁があふれ出てくる感じだ。ウサギならではの臭みはあったんだが、昨日の夜のうちに香草を練りこんでおいたので気にならなかったな。


「うん?もしかして、魔獣ってうまいのか?」


 となると、このイノシシもか?血抜きして熟成させてみるか。猪も癖が強かったはずだから、やっぱり鍋で食べるか。だとしたら、夜だよな。


「と危ない危ない。思考が食事に偏ってたな」


 まずは、ステータスの確認と魔獣の調査だ。こいつらがどれほどの魔獣なのかはわからんが、少なくともこのあたりに出てくる魔獣で即死することはなさそうだな。最悪、逃げに徹すれば無傷で逃げ切ることも可能なはずだ。


「なら、ステータスの確認と魔獣の調査を並行して行っていこう。都合よく、レベルも上がったみたいだし。この調子でステータスが上がっていけば、より安全に目的を遂行できる」


 せっかくみんなと別行動になったんだから、観光ぐらいしていかないともったいないよな。


「今いる場所さえわかれば空飛んで向かえるし、遅れることはないだろ」


 まぁなんにしても、ステータスを見てみるか。


 ――フォン――


 おっ、考えるだけでステータスが開くのか。便利でいいな。さて、さっきもレベルが上がったがどれくらいステータスが伸びたかな?






 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 名前 風月楓

 性別 男(?)

 年齢 16歳

 種族 龍族

 Lv21


 HP 210000

 MP 460000


 STR 34000

 VIT 30000

 DEX 42000

 AGI 74000

 INT 49000

 LUK 12000



 〈スキル〉

 銃術Lv9・全状態異常耐性Lv11・成長Lv4・適応Lv15・威圧Lv13・解体Lv5 1up・気配感知Lv18・気配遮断Lv16・危険感知Lv16・索敵Lv7・直感Lv31・手加減Lv6・千里眼Lv4・念話Lv1


 〈レアスキル〉

 武人Lv22 1up・生産職人Lv13 1up・解析Lv21・超隠蔽Lv2・再生Lv4・予知Lv12・心眼Lv6 1up・超感覚Lv24


 〈異能スキル〉

 異能力感知Lv17(魔Lv34・呪Lv18・霊Lv26・妖Lv33・仙Lv21・竜Lv1・鬼Lv1・龍Lv1)・異能力操作Lv14(魔Lv28・呪Lv13・霊Lv24・妖Lv25・仙Lv16・竜Lv1・鬼Lv1・龍Lv1)・異能力遮断Lv11(魔Lv22・呪Lv10・霊Lv18・妖Lv20・仙Lv13・竜Lv1・鬼Lv1・龍Lv1)


 〈特異能スキル〉

 龍眼Lv1・神眼Lv1・妖眼Lv1・妖化Lv1・仙眼Lv1・竜眼Lv1・鬼眼Lv1・魔眼Lv1・魔法Lv5


 〈固有スキル〉

 想造Lv1・創世Lv1・時空操作Lv3・運命操作Lv3・虚無操作Lv1・眷族化Lv1・眷族支配Lv1・眷族召喚Lv1・全知全能(限定)・不老不死(限定)・龍化・龍召喚・龍真王ノ風格・龍真王ノ断罪


 〈称号〉

 龍真王・傍若無人・問題児・無自覚な努力家・神を超えし者・龍を創りし者・龍の頂点に立ちし者・全異能を所持する者・限界を超えし者・世界を創りし者・異世界から来た者・ジャイアントキリング


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆






 おおぅ、スキルはともかくレベルと能力値がえげつないほど上がってるな。たかが、魔獣を二体倒したぐらいでこの上昇値か。

 これで決定だな。この森は危険地帯だ。それもかなりのレベルの、だな。


 一応、今まであった二体は倒せたが、ウサギの方はどう見ても暗殺者っぽい能力だし気を付けたほうがいいな。イノシシは気配を感知してたからいいけど遭遇戦だと場所によっては危ないかもしれない。今回は、結界に突っ込んでくれたから楽に倒せたが次はどうなるかわからん。


「結界がどの程度通用するのかも、検証が必要だな」


 強力な魔獣相手だと破られる可能性もあるしな。結界の強化も視野に入れておくか。

 とりあえず、せっかく解析ってスキルがあるんだから隠れて解析使って倒せそうならスキルの確認しながら戦うって感じでいいかな。












「水風流、二之型・辻斬り」


「ピュイ……」


 すぐさま魔獣から離れて、残心を取る。周囲の警戒も欠かさない。わずかな時間の後に"ボトッ"っという音が聞こえて鹿型の魔獣の首が落ちた。


「……ふぅ」


 一息入れ、周囲の警戒を解かずに首のなくなった魔獣に近づく。

 なかなかに疲れるな。まぁ、どう考えても今の俺のレベルじゃこの森は早すぎるからな。どうしても、神経を研ぎ澄ませなくちゃいけない。ステータスは別にして。その分、休憩はこまめに入れているが、それでもいい加減疲れてきたな。

 日も傾いてきたしそろそろ帰るか。根を詰めすぎたら、何れ大きな失敗をするからな。


 今の俺のレベルは四一。あれから二〇レベルも上がった。これだけなら、大成長といえるだろうが、半日でこれだけ上がるということはそれだけこの森に棲む魔獣との差が激しいということだ。


 ちなみに、いま俺が戦っていた魔獣はボルテクスディアーというシカの魔獣でレベルは八一。どうやら、この森の少なくともこの周辺はレベル七〇~九〇までの魔獣が多いようだ。


「そりゃ、面白いようにレベルが上がるわけだよな」


 俺は、時空間魔法陣を発動してボルテクスディアーを亜空間にしまう。もちろん、亜空間の中は時間が流れない仕組みだ。地球にいたころに作った魔法でアイテムボックスと名付けている。安直とか言うなよ?わかりやすいのが一番なんだ。


 ちなみに、ボルテクスディアーも含めて今までに狩った魔獣だが血抜きも含めて一切の解体をしていない。

 どこが何の材料になるかわからないし、アイテムボックスにしまってあるから傷む心配もない。それに時間もないから拠点に帰ってらやるつもりだ。


「ほんと、この魔法作っといてよかったわ。帰りも獲物がない分だいぶ楽だし」


 そう呟きながら、帰り道を歩いていく。とりあえず、拠点のから一キロほどの外周を半分ほど回ってみたが、今のところ敵わなそうな魔獣は居なかったな。

 だが、八〇レベル後半以上の魔獣が拠点の東側に集中していたのが気になるな。もしかしたら、東側にはもっと強い魔獣がいるのかもしれない。


「まぁ、今は拠点の周辺の探索を完了しなくちゃな」


 まずは、生活基盤と安全の確保だ。本格的な森の探索はそれからにしよう。

 拠点に帰ってからすぐに魔獣の解体を始める。地球から持ってきておいた空き瓶に魔獣の血を一本分入れておく。一体で一本だ。

 ちなみに、空き瓶はそれほど大きなものじゃない。昔懐かしの〇ーラ瓶である。サンプル程度なのであまり多く確保しなくていいのである。使い道があるかどうかもわからんし。


 それから肉を各部位に切り分けて、探索中に見つけた大きな木の葉で包んでアイテムボックスに入れておく。内臓系は肝と心臓も同じようにアイテムボックスに入れておく。他は破棄だ。食えるかどうかもわからんし。残りは骨と牙、爪、そして角だ。骨は粉砕して捨てて牙と爪、角を数本確保しておく。


「ふぅ、なかなかに面倒くさいな。せめて、どれが何に使えるかわかっていればいらない部位も捨てられるんだけどな」


 まぁ、アイテムボックスは島一つ分くらいは入るし、入りきらなくなったら亜空間を広げればいいから大した問題じゃないが、だからと言って不良在庫が欲しいかといえば否である。


「まぁ、今は仕方がないか。地道に何に使えるか検証するか誰かに教えてもらうか。といってもこの森、人が住んでる気配とかしないんだよなぁ」


 やっぱりしばらくは我慢かな。ある程度森の調査と拠点の安全が確保できたら、森を出て村かなんかを探そう。もしくは、街に行って魔獣討伐を専門にしている人に聞くかだよな。

 冒険者とかいると胸が躍るよな!これだけ、魔獣が多く生息している世界なんだ。すべてを兵士が対処するなんて不可能だろう。冒険者じゃなくても、それ専用の組織があるはずだ。


「最終的には冒険者(仮)になって魔獣倒しながらいらない素材売って東京まで行くか。色々見て回りたいところもあるし、俺自身の強化もしたいし、お金も稼げる。一石三鳥だな」


 さて、まずは今晩の夕食作りからだ。明日も森の探索をしないといけないし、今朝のイノシシを使ってイノシシ鍋でもしようか。イノシシってボタンっていうんだっけか?ってことはボタン鍋?でも魔獣だし。……う~ん、まぁどちらでもいいか。


「とりあえず、飯だ飯!細かいことはあとで考えよう」


 風呂にも入りたいし、明日の予定も考えないといけない。パパっと準備済ませて早く食べよう!











 さて、一人鍋はなかなか寂しいものがあるが、だからこその贅沢という考え方もある。

 まずは、水を沸騰させて昆布で出汁を取って、良い感じに出汁が出たら味噌を入れイノシシ肉を入れる。

 このとき、味噌の味付けを濃いめにしておくといい。イノシシ肉だが、本来なら酒とショウガで味付けをしておくところだが、未成年のため酒が買えなかったので味醂で代用した。なぜ酒がダメで味醂がいいのかは近所の商店街のおばちゃんだけが知る謎だ。


 イノシシ肉は肉質が硬めなのでしっかりと煮込む。そして、ゴボウ、白菜、豆腐、ネギの順で鍋に入れてじっくりと煮込んでいく。すべての野菜に火が通ったら完成だ。


「ふぅ、ようやく完成か。ちょっと煮込む時間が長かったかな?まぁ、魔獣のイノシシの肉が硬いかどうかはわからんが、硬いよりは柔いほうがいいからな」


 まぁいいや。そんなことよりも早く食べよう。もうすっかり空も暗くなってしまった。いい加減腹が減った。昼は探索に出ていたから軽くつまんだだけだからな。


「それじゃあ、いただきます」


 まずは、白菜と豆腐からだ。ハフハフッ、んぐっ。……うめぇ~!豆腐は中までしっかり熱々だし、白菜は葉っぱの方はしんなりとしててタレがよく絡みつくし、芯の方は味噌の味がしっかりしみ込んでいる。


「やばい、体が熱くなってきた」


 お次はいよいよイノシシ肉だ。ふぅ~、ふぅ~、はぐっ、もぐもぐ……ごくん!やばい。やばいやばい、うまい!口に入れただけでほろほろと崩れていって、そのたびに肉汁が溢れてきて味噌だれと絡まって深い旨味が口の中で暴れている。


「これは、想像以上だ。いくらでも食べれそうだな」


 なによりも、白飯が進む進む。やっぱり、魔獣の肉ってうまいんだな。普通のボタン鍋じゃこの味は出せないぞ?それになんだか、心なしか力が漲ってきたような。魔獣の肉の効果かな?


「ふぅ~、あっという間に食べ終わっちまったな。少し休んだら風呂入れるか」


 もちろん、〆も食べたぞ。ご飯を多めに炊いていたので溶き卵を入れて雑炊にした。イノシシ肉から出た旨味と味噌が米にしみ込んでめっちゃうまかったぞ?おかげで、食べすぎたけどな!


 さて、少し休んだことだし風呂に入るかな。風呂を沸かすのは割と簡単だ。火魔法と水魔法の合成魔法を使えばいいんだからな。この世界の基準でやるなら魔術を使うべきなんだが、誰もいないし魔法を使ってもいいだろう。


 魔術と魔法の違いは簡単だ。数式のように魔術特有の法則に従って魔術式を組み、そこに魔力を込めるのが魔術。術式などなく、本人のイメージを魔力を用いて具現化させるのが魔法だ。


 魔術は術式さえ組めれば発動できるが、術式を組む時間がかかるし応用が利かない。魔法は発動速度が速く応用は聞くが、魔力を多く使いイメージが正確でないと発動しない。

 どちらも一長一短だ。


 今回は水ではなく、お湯だし。熱すぎてもだめだし冷たすぎてもだめだ。これを魔術で行おうとすれば、俺でも術式の構成に数分ほど時間がかかる。これが、魔法ならイメージさえできれば一瞬で発動することができる。


「っと、よし。お湯はこんなもんでいいか」


 それじゃあ、さっそく入りますかね。


「――ふわぁ~」


 極楽極楽。少し熱めのお湯が疲れた体に染み渡るなぁ~。ここら辺に温泉はあるんだろうか。拠点から東側に山があったよな。たぶんを森を抜けた先にあるんだろうけど、温泉とかでるんだろうか?森の探索が終わったら、山に温泉を探しに行こうか?


「いやいや、その前に人里を見つけないとな」


 ホントにここはどこなんだか、そして今はいつなんだかな。

 なんにしても、しばらくは身の回りからだ。明日からは森の探索に加えて拠点の改築もしようか。今日狩ってきた魔獣の素材が何に使えるかの研究をする施設も必要だし、そうでなくても武器の手入れとかができる場所も欲しいしな。


「それにできれば、手に入れた素材で武器とか防具とか回復薬とか。色々やりたいことが多いよなぁ。桜たちと合流するまでお預けってのもどうかと思うし、いろいろ研究して行こう」


 それぐらいはいいよね?

 となると、改築に必要な木材がいるな。探索ついでに伐採してくるか?……いや、持ってきた野菜や香辛料、お茶の木を育てるための畑も欲しいし、いっそのこと探索に行く前に拠点の拡張をするか?

 安全面から行っても拠点の周りの木を切って見晴らしをよくすることは大切だ。


「うん、そうだな。明日は午前中は拠点の拡張。午後から森の探索だ」


 さてさて、そうと決まれば風呂から上がって早く寝るか。

 テレビとかがないから夜にやることがないんだよな。まぁ、魔獣の研究が本格化したら寝る暇も惜しんで研究に没頭するとは思うが。


 まぁ、先のことだ。まだ見ぬ未来のために今日は早く寝ようか。

 そう思いながら、俺は布団に入った。……おやすみなさい。


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