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転生したら少女退魔師になった  作者: †九葉† 瑠璃
第二章 ―― 再会 ――
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第四話 私の過去の話 Ⅱ

ごめんなさい、凄く間が空いちゃいました。

艦これのイベントの最後の追い込みがっ! 徹夜がっ! 勉強が!

結局バケツが足りなくてE-5を半分削った所で終わりました。

バケツ30なんかで突破できるわけないよ……。

今回、準備の大切さという物を学びました――って何言ってるんだろう?

でもこれからこの程度間が空くのは普通に有りそうです、と先に言っておく。

エタる時はそう言うので、そこは心配しないで(?)ください。


あと、前話のサブタイトル変更しました。

予定していた所まで行かなかったという……

「うーん……その前にさ。差し支えなければ、君のことを詳しく教えて欲しいな」


「え? わ、私のこと?」


 何を聞こうと言うのだろうか。

 残念ながら、あまりいいことをして来た記憶はないんだけど……。


「うん。そもそも僕、君の名前すら知らないなー……とか、思ったり」


 そう言えば。

 こっちは東城君の名前を一方的に知っていたから、頭から抜け落ちていた。


「あっ、ごめんなさい。私は――」


 名乗ろうとして、そこで止まる。

 名前、まだ決まってない……。


 引き攣った顔の私に「な、名前すら駄目なの?」と、流石に驚きを隠せない様子の東城君。

 違うんだ、ただ名前がまだ決まってないだけなんだ。


「決まってない?」


「うん。その……悪魔と契約した時に、過去の自分とは別の自分になったから、名前を変えようと思ったんだけど……」


「ま、待って。悪魔と契約って?」


「えっと、私が退魔師になった理由なんだけど……丁度良いわ。

 私が魔物と戦う理由も知っておいた方がこれから先の話もわかりやすいでしょうし、話しておこうか。

 少し長い話になるかもしれないけど……――」





 そもそもの始まりから言うと、転生について話す事になるのだが。

 悪魔の話と前世の話はそこまで関係ないので、転生についての話は今回しないでおく。


 最初に目を付けられたのは、ただ私が生まれ変わる時に私の魂が世界の外に居た悪魔を通り抜けたからだった。

 本来魂は同じ世界を廻るのだが、私は別の世界から移ってきた魂だったから、悪魔と接触したようだ。

 それでも、相当に低い確率だったようだが……。

 何故悪魔がこの世界の外に居たのかは詳しくは聞けていないが、仲間に裏切られた結果らしい。

 千年の時を、魂を削るだけの何もない空間を彷徨っていたようだ。

 悪魔は言った。


『苦痛なんて生易しいものじゃない。

 死ぬことも、眠りにつく事も出来ず……。

 あれは、実際体験してみなければ分からないな。

 敢えて言うなら、唯恐怖だ』


 だから、私が偶々彼の側を通った時――彼は最初、救いの女神か何かだと思ったらしい。

 悪魔のくせに。


 本当なら魂を喰らい、自分の傀儡として話し相手にするつもりだったらしい。

 だが、私の魂は悪魔が想定していた以上に強かった。

 悪魔は考えた。

 ――このまま喰らうより、こいつを道標に顕世へと戻る方が良い。

 そして、自分の一部を楔として私に埋め込んだのだ。


 私の身体に入り込んだ状態で生まれ落ちた悪魔は、私が死ぬまで少しずつ私の命を喰らい死ぬタイミングで魂を頂いて――

 つまり、私を生贄として、この世界に顕現するつもりだったらしい。

 しかし、そこで誤算が生じた。

 悪魔の気配が馴染みすぎて、私から外へと漏れていたのだ。

 それに気づいた魔物が私の居た町を襲撃。

 宿主が死んでは困るため、悪魔は仕方なく私へ真名を渡し、力を貸すための契約を結んだ。


 基本的に、霊的な契約と言うのは真名を握っている方が有利だ。

 私は殺されること無く、悪魔の力をそれからも借りることにした。


 こうして、家も家族も奪われた私と、千年の恨みが有る悪魔との復讐の人生が始まったのだ……――





「――と、言うわけ」


 ふと話し終えて東城君を見ると、呆然としたような顔をしている。


「……聞いてた? ごめん、長いだけで説明下手だったかも」



「…………」


 東城くんは変わらずポケーとしていた。

 思わず、フリフリと目の前で手を振ってみる。


 大丈夫聞いてたから、と言った後、彼は立ち上がった。

 つかつかと私の前まで歩いてくると、両手を私の肩に置く。

 な、なんだ急に。


「なんて言ったら良いか分からないけど……大変だったんだな」


 今の話のどこに彼の琴線に触れるものが有ったのかよく分からないが、何やら感動しているようだ。


「うん。良いから肩を離して」


「俺……舞い上がって、ちょっと軽く考えすぎてたかもしれない」


「うん、何となくそんな気はしてたから大丈夫。それより、肩を離して」


「凄いなぁ……やっぱりそんな経験をしてるから、あの狼男にも立ち向かえるんだろうなぁ……」


 自分の世界に入り込んでしまったらしい東城君は、それから暫く、うんうんと一人頷いていたのだった。

 ……ウザい。





 思ったよりも私が退魔師になった理由について話すのに時間がかかってしまた。

 時計を見ると、既にお昼を食べるくらいの時間だ。


「もうこんな時間なのね。魔物やの話は後にして、まず昼を食べた方がいいかも」


「あ、そうだね。言われたら僕もお腹すいてきたかも。母さんいないし……外で一緒に食べる?」


 元々外で食べるつもりだったので、頷く。

 母親の様子を見たいと言う東城君に付いて、駅前の方へと向かった。


「どこに居るか分かるの?」


「うん、いつもこういう時は父さんの所へ行ってるから」


「あ、そう」


 気配が分かるのかと思ったが、ただ家族だから分かったのか。

 まあそこまでの能力だったら、もっと早くに魔物と会って死んでるか。



「家族、か……」


 私が「羨ましいな」と言う目でもしていたのか、彼が少し気まずげな顔をする。

 良い感情では無いし、彼の言葉が原因の一旦でもあるのは確かだが、そんな顔をされるのもそれはそれで嫌だ。


 サラッと流してくれればいいのに……という気持ちと、私が雰囲気を暗くしちゃった……と言う自己嫌悪がせめぎ合う。

 気にするなと言った所でこの気まずい空気を更に重くしそうな気もして何も言えない。


「…………」


 お互いの沈黙が更に気まずい。

 三年前の私なら、どうしただろうか。

 もう少し、人と上手く接することができていたと思うんだけど。


 あのさ、と彼が話し始めて私はそちらへ顔を向けた。

 どこを見ているのか分からない目で、彼は言った。


「僕の家に泊まらない?」


「は?」


 思ったより低い声が出た。

 それはあれか、魔除けとか番犬とかの代わりにしようと言うのか。

 確かに護ってあげるつもりでは居るけど、四六時中付いて護ってあげられる程暇ではない。

 それに昨日の内に来なかったと言うことは狼達は彼を見失っているのだろうから、家に居れば安全だと思う。


「い、いやっ変な下心とかじゃなくて!

 少なくともあの狼男を……退治・ ・するまでは、この街に居るんでしょ?

 ホテルとかに泊まるとしても、5000円なんてすぐに無くなっちゃうと思って」


 成る程、私の金欠っぷりに同情したわけか。


「いいえ」


「え?」


「あの狼男をしても……暫くはこの街に居るつもり」


 狼男はこの街が生贄だと言った。

 ならば、私の町に起きたような事がまたこの街で起こる可能性がある。

 もし出来るのならば、それを止めたい。

 そのためには、例えMASDの奴らに見つかる可能性があったとしても暫くこの街に残る必要がある。


 ――とは言えないので、適当にごまかす事にした。


「この街にいるのはあの狼男だけじゃなさそうだしね」


 私の目的の一つでもあるから、全く違う理由だとも言えない。


「そうなの?」


「全部殺しておいた方が、安心するでしょう?」


「そりゃあ……まあ」


 しかしそうなると、長期のバイトを探したほうがいいのかもしれない。

 彼をチラッと見る。


「?」


 確かに、もし泊めてもらえればその方が良いのかもしれないが。

 ――あの母親の目を思い出して、止めた。

 彼女の中でどういう解釈になったのか全く分からないけど……きっと、歓迎はされないだろう。


「……だから、隠れ潜んでいる彼らを探すために、君に役立ってもらおうと思って」


「僕に? それが、僕が君に協力できることっていうこと?」


 少し腑に落ちていないようだ。

 何が疑問なのだろう?


「そりゃあ手分けして探したほうが効率は良いと思うけど……」


『(彼は君が魔物を目視以外で探せない事を知らない。まずそこを話さねばなんともならないだろう)』


「あっ……」


 悪魔に言われてようやく気づいた。

 当然の事として話していたが、そもそも私に何が出来て何が出来ないのか、魔物とは何か、の話はこれからする予定だったのだから、彼が意味分からないのも当然だ。


「えっと、その話はこれからしようと思っていた話なんだけど。そもそも私はどこに魔物が居るのか、見るまで分からないのよ」


「分からない……? だってほら、なんか魔法とかで探したり、そういうのは?」


「えっと……その、言い難いんだけど……」


 私、魔術とか全然使えないの。

 なんて恥ずかしい言葉だ。

 モニョモニョと口の中で言うだけの私を見て、彼は納得した。


「ああ、成る程。魔法とか使えないっていうパターンか」


「……なんで分かったの?」


 それも能力だろうか。


「いや、こういう話ならよくあるお約束かなって」


「…………」


 私が睨みつけたのも無理はないだろう。

 いや、空想フィクションのヒロインと同じ扱いをされたこの気持、されてみなければ分かるまい。


「い、いやっ……さ、最近偶々見た漫画の話ね! 同じようなシチュがあったから! べ、別に好きとかじゃなくて、偶々!偶然!見たんだけど!」


 一生懸命に言い訳しているが、その態度は逆に怪しい。

 勿論すでに彼がこういう一種のファンタジー系のお話が好きなタイプの人間オタクだと言うことは分かっている。

 それに、確かに能力が使えない系はお約束かも……と、思ってしまったのだから私も大概だろう。


「あ、そう」


 特にそれには突っ込まず、興味無さそうに言ってあげるのが私の優しさだった。

悪魔の傀儡にする理由が可愛すぎるって?

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