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07 私たちの冒険はこれからだ!

 魔王軍との戦いに参戦してから、1年が経った。

 この間に、獣人連合軍は魔王軍を次々と撃破していき、ついに敵は魔王城に籠もるのみとなった。


 うん。よくある勇者の魔王退治って、少数パーティーで魔王城を目指すけど、普通に考えたら、軍と軍のぶつかり合いになって、最後は城を全軍で囲むよなぁ。


「魔王は飲まず食わずでも百年以上生きる。魔王が生きていれば配下は魔王から生まれてくる。兵糧攻めは効果が薄いな。」


 軍議中、ペンギン女帝の声に、皆が頷いた。


「力攻めですか。」

「うむ。明日の朝、四方から攻撃を仕掛ける。マーマー殿の部隊は、南を担当してくれ。」


 私たちは南から魔王城に仕掛けることになった。



 次の日、


「地球割り!」


 ウドさんのヒノキの棒が魔王城の扉を打ちつけると、扉はバラバラに砕け散った。


「よし! 進軍するぞ!」


 獣人みんなで一気に突入する。


「移動速度強化付与、物理攻撃力強化付与、物理防御力強化付与、魔法攻撃力強化付与、魔法防御力強化付与、敏捷性強化付与、器用さ強化付与、自己治癒力強化付与、回避力上昇、毒耐性付与、魅了耐性付与、睡眠耐性付与、混乱耐性付与、石化耐性付与、痺れ耐性付与、皆、がんばってや!」


1年で成長した私の付与魔法をかければ、皆一騎当千の猛者になる。獣人たちは次々に城内の魔族を蹴散らしていった。


「雑魚は俺たちで持つんで、ウドさんと花子さんは奥の魔王を。」

「分かった。」


 私は移動速度を強化して、ウドさんを抱えて走った。途中に敵がいくらいても、私のスピードなら振り切れる。そのまま、玉座の間を目指した。


「魔王やな! 覚悟!!」


 魔王は2本の黒い触角と尻尾を生やした人型の魔物だった。肌はグレーがかった紫。うん。よくある感じや。


「ぐ……。ここまでくるとはな。勇者よ、もし、ワシの味方になれば世界の半分を……」

「問答無用! ウドさん!」

「うん!!」


 私は部屋の入り口から玉座の魔王に向けてウドさんを思い切り放り投げた。


「恒星破壊撃っ!!!」


「な!? ぐああっ!!!!」


 ウドさんの一撃で、魔王は砕け散った。しかし……、


「あかん、これ、あかんやつや!」


 ウドさんの攻撃は魔王を貫通し、城の床を突き破った。

 城中の床と壁に亀裂が走る。魔王城が崩壊する!


「やばい! 皆、中におる。あかん、皆、死んでまう!!」


 私はパニックになり、頭を抱えた。

 しかし、次の瞬間には、城全体を魔力が覆い、崩壊が止まった。


「ウドと花子の戦い方は熟知している。こうなることを予想して、準備はしてあった。城に時間停止魔法をかけた。皆、急いで避難するように。」


 拡声器を使ったらしいペンギン女帝の声が聞こえた。

 クインペン様、流石やわぁ。

 私たちはほっとして、城の外に出た。




 魔王を倒して、獣人連合軍は解散した。

 参戦していたウサギ族たちは里に戻る。しかし、ウドさんは帰らない決断をした。


「戦いながら旅をしていて思ったんだ。世界は広い。僕、色んな場所を見て回りたい。」


 ウドさんは旅に出るつもりだ。


「花子、一緒に来てくれる?」

「勿論。ウドさんと私は、運命のゴールデンコンビやからね。」


 私はウドさんのもふもふの手をギュッと握った。




 後日、人間の国、ルルガルでは第一王子と聖女候補が失脚した。

 第一王子には婚約者がいたのだが、召喚した聖女候補に一目惚れ。婚約者を差し置いてイチャイチャした挙句、公衆の面前で婚約相手の公爵令嬢に婚約破棄をつきつけた。ところが、相手の公爵令嬢の方がやり手で、魔王軍との戦いに従軍している私の存在をつきとめ、王子の隣にいる聖女候補が聖女でないと証明。召喚した聖女を逃がした上に関係のない女に予算をつぎ込んだとして、第一王子は廃嫡、さらに王族の籍から出されたそうだ。聖女候補も平民に落とされ、今まで贅沢した分を労働で返済させられるらしい。


 人間の国からは、私を返還するようにとの使者が何度も来たが、全てクインペンさんが却下した。


「全く。魔王討伐に何も協力しなかったくせに聖女を渡せとは、厚かましいにも程がある。」


 ペンギン女帝が憤ると、


「そうです! それにしても、使者の人間たち、気持ち悪かったっピ。」


 ニワトリさんが相槌を打ち、


「そうそう。やたらと顔が小さくて。花子の顔の方が大きくて親しみやすいニャ。」


 と、三毛猫さん。


「手足もやたらと長かったなあ。花子の方が短めで綺麗です。」


 と、上半身にだけTシャツを着て下半身は……なクマさん。


「うむ。花子は人間の中では絶世の美女なのだろう。絶対に人間に渡してはならんぞ。花子は魔王を倒した聖女だ。獣人の国なら、どこを回っても大切にされるだろう。」


 と、ペンギン女帝。皆の好意が嬉しい。皆、ありがとう。私は胴長短足顔デカ美女やで。


 

 なんてやってたら、聖女を帰さなければ実力行使に出るとか言って、人間の国が攻めてきた。

 魔王討伐の連合軍は解散していたが、人間の国と国境を接する獣人中心に防衛軍が結成され、私とウドさんも協力を求められた。


 結果……、


「地球割り。」

「恒星破壊撃。」

「皆の力をオラに集めてぶっ放す的最終奥義。」


 戦争はウドさん無双で幕を下ろした。

 最後にウドさんが放った攻撃で、人間の国と獣人の国々との間の大地には巨大な亀裂が走り、簡単に行き来ができなくなってしまった。獣人たちの国はそれで丸く収まったのだけど、獣人との貿易に一部の資源を頼っていた人間の国は大混乱に陥っているらしい。


 相変わらずウドさんは単独で攻撃を当てることが難しいのやけど、最近の彼は世界最強の勇者ということになっている。それで、風格がついたのか、


 ウド 17歳 ウサギ族

 HP:満タン MP:余裕

 ステータス:うすのろい

       ウドの大木

       馬鹿力

 スキル  :いい人

       武器術(棍棒)

       格闘術

       勇者の風格


 スキルが増えて、雑魚敵は威圧だけで行動不能にできるようになった。

 試しにお化けニンジンを狩ってみたら、威圧だけで全部倒れてしまい、ウドさんは人生初めての大猟に大喜びしていた。

 ずっと一緒にいる私からすると、あのもふもふプリチーボディーのどこに風格がついたんか、よう分からんのやけど。


 そんなこんなで、私とウドさんは、聖女と勇者として色んなところで歓迎を受けながら世界を旅している。


 そして、最後に……、





 人間どもめ、イケメンも、美少女も、カースト上位も、みーんなまとめて、



 ざ ま あ w w w

 ざ  ま  あ  w  w  w

















  お わ り 。

お読みくださり、ありがとうございました。

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