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4枚目…谷野サヤと言う名の仮面の少女

『…そんなわけで、私はこれから少し学業に専念しますので―』


「…」


たまたま入れたテレビには紫谷野…もとい、谷野サヤが出演していた。最近の彼女の知名度の上昇はものすごいものがあり、このように、バラエティーやドラマなどあらねゆる番組に出るようになっていた。…だが、今見ているテレビで紫谷野はとんでもないことを口走っていた。…事実上の休業宣言だ


『いやー、テレビ界も寂しくなるなー、サヤちゃんがいなくなるのはねー』


『それでも学業が落ち着いたらまた戻ってきますから、楽しみに待っていてくださいねー!』


『では、今日のゲストは谷野サヤさんでしたー!』


…番組が終わったのでテレビの電源を切る。…いったい何の風の吹き回しなんだろうか。前は学業とアイドルを両立させてたのに…


「…?」


そんなときに家のチャイムがなった。…時間はもう深夜になろうとしている。となれば…葵かな?俺はとりあえず玄関に向かい、ドアを開けると…


「よっ、元気?」


「…紫谷野?」


そこにはトランクを持った紫谷野がいた。…テレビ局からの帰りなのだろうか


「少し上がってもいい?疲れちゃってさー」


「…まぁ、構わないけど…」


とりあえず紫谷野を家にあげ、お茶を振る舞う。それを一口口に運んでから紫谷野は話を始めた


「いやー、やめちゃったよ、アイドル」


「…やめる?いや、テレビではお前…」


「あ、今日オンエアだったっけ?まぁ、テレビでは休業って言ったけど、実質は戻れるかわからないからねー」


「…干されたのか?」


「いや?私から休業をお願いしたんだよ?」


…となると言い回しがおかしい気がした。自分から休みと言ったのに戻れるか分からないとは…


「芸能界に安泰って言葉は無いような物だからね。私が戻る頃には凄く勢いのある子が出てきて、私の居場所はないかもしれないから」


「…へぇ、でもそうしたらお前はどうするんだよ。そのまま芸能界を引退するのか?」


この俺の質問に、紫谷野はテレビの中にいた谷野サヤの笑顔で答えた


「うん!そのときは普通の女の子に戻るだけだから」


「…それ、本心なのか?」


「そりゃあね。元々普通のOLとかにも憧れがあったし?谷野サヤも良いけど、紫谷野沙亜弥としても生きたいから」


「…」


…紫谷野沙亜弥は、谷野サヤという仮面を被るのを嫌がった、と言うことなのだろうか。…本当にこいつは気まぐれというか…掴めない


「…そろそろ、いい時間かな~?」


「…まぁ、元々来たのが深夜だからな。…外はまだまだ真っ暗だぞ」


「でも、間違ってもここには泊まれないからねー、帰るさ」


「…送るよ」


「んや、マネ呼んであるから。…さすが、もう来てる!」


「…あれか」


紫谷野が窓から外を見ていたので倣うと、外には白い軽自動車が止まっていた。…こういうのって、普通は黒塗りのりむじんとかじゃないんだな


「んじゃ、バイバイ!」


「…またな」


そして紫谷野は車に乗って帰っていった。…彼女は、いったい何が言いたかったのだろう…?




「…ご機嫌ですな、沙亜弥さん。久しぶりにクラスメートに会えたからですかな?」


「それもあるけど…私の目的は別にあって、ちゃんと達成できた自分が嬉しいの」


「ほぉ、目的…ですか。おそれながらそれは私には教えてはいただけないのですかな?」


「…私もようやく、一人の女の子になる、って宣言だよ」

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