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第5話 パニック・パーティー②

 俺は多分、予想を外して間抜けな顔をしていたんだと思う。



「……いけると思ったんだが」


「正確に言うと、断るのは前半だけです。私も魔王になりたいですし」


「魔王にはなりたいけど、七人の皇子は生かすってことか? 何でまた? 兄弟だからか?」


「血縁があっても仲良くはないですよ。兄さま方も第八皇子(ハロルド)も性格悪いですし、常々(つねづね)()ねとは思っています。しかし、事情が少し変わってしまったようで。まあ、見てもらった方が早いです」



 リシェルはスマホの画面を見せた。



「ちょっと魔改造しました。遠い場所で起きた出来事の記録が見れます。はいそれではご注目、(ワン)(ツー)(スリー)



 リシェルの掛け声ともに、スマホに映像が映し出された。



 八王国の一つ、ヴァルグレイブにて。

 第二皇子アゼル・カーヴァンクルの侵攻に対抗すべく、王国は異世界召喚の儀を行っていた。


 王宮の中庭で、魔術師たちが陣に魔力を込めると、中空に白い光の輪が浮かんだ。

 そして、一人の男が降り立った。

 あちらの世界で言う背広(スーツ)姿のサラリーマン風の男が、ぼうっと空を見上げていた。


 王が告げる。


「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」




「助けてください!」




 王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。



「頼む……俺たちの世界は、もう……エイリアンに滅ぼされて」



 それが、勇者にとって最後の言葉となった。


 光線(レーザー)が勇者の身体を貫いた。

 光の輪の向こう側から現れたのは、円盤状の飛行物体の艦隊だった。



殲滅(せんめつ)せよ」



 機械的な声がした。円盤から放たれる無数のレーザーが、王国の民に襲いかかった。



 八王国の一つ、リュミエールにて。


 王宮の中庭で、魔術師たちが陣に魔力を込めると、中空に白い光の輪が浮かんだ。

 そして一人の男が降り立った。

 あちらの世界で言う背広(スーツ)姿のサラリーマン風の男が、ぼうっと空を見上げていた。


 王が告げる。


「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」



「助けてください!」




 王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。



「頼む……俺たちの世界は、もう……ギャングに滅ぼされて」



 それが、勇者にとって最後の言葉となった。


 銃弾が、勇者の身体を貫いた。

 光の輪の向こう側から現れたのは、髑髏(ドクロ)の装飾が施された改造トラックだった。トラックに続き、パンクファッションに身を包んだ男たちが、バイクに乗ってゲートから飛び降りてくる。



「ヒャッハァ! 骨の髄まで狩りつくせぇッ!」



 改造トラックの車両上に陣取った、顔面ピアスまみれの男が吠える。ギャングたちは王国の民に機関銃(マシンガン)掃射(そうしゃ)を浴びせた。



 八王国の一つ、カストレアにて。


 王が告げる。


「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」



「助けてください!」


 王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。



「頼む……俺たちの世界は、もう……隕石に滅ぼされて」



 それが、勇者にとって最後の言葉となった。


 ゲートを越えて降ってきた巨大な隕石が、勇者を押しつぶした。光の輪と隕石が衝突するたび、召喚陣は広がっていく。少しずつ、しかし確実に、召喚陣から降り注ぐ隕石は増え、被害をもたらす領域は広くなっていく。


 サイレンの警報とともに、録音音声が聞こえてくる。


「直ちに避難してください。重力異常による隕石群に警戒してください。私たちは生き延びなくてはなりません。せめて……二十四日後、月が(、、)この星に(、、、、)衝突する(、、、、)そのときまで」



 八王国の一つ、ノルディアにて。


 王が告げる。


「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」



「助けてください!」



 王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。



「頼む……俺たちの世界は、もう……怨霊(おんりょう)に滅ぼされて」



 それが、勇者にとって最後の言葉となった。


 包丁の刃が、勇者の胸を後ろから貫いた。


 うつ伏せに倒れた勇者の背中には、それまでいなかったはずの日本人形が座っている。


 光の輪をこじ開けて、巨大な髑髏(しゃれこうべ)が姿を現した。数十メートルはあろうかというそれが、ゆらりと王国の民を見下ろした。


 いつの間にか、着流し姿の(じじい)が立っていた。禍々しい瘴気に身を包んだその男は、恨めし気な顔で言う。



(ほこら)を壊したのはお主らかァッ!?」



 多分、人違(ひとちが)いだと思う。それでも悪霊は王国の民に襲いかかった。


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