表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

1

「どういう事なんでしょうね?」


 メールの送り主である白木洋子はそう言って困り顔と共に小首を傾げた。


「不気味ですね」


 俺は正直な意見を口にした。

 

【世の中に残されたちょっと不思議なナゾを、体当たりで調査する番組――未解決ナゾハンター!】


 俺が今スタッフとして製作に携わっているこの番組には視聴者が抱えた様々な謎が送られてくる。


・自販機に必ず1円玉がおまけでついてくる

・駅前の銅像に毎朝マフラーが巻かれている

・やたら増えるスーパーの買い物カゴ


 ただ膨大な依頼の中からオンエアに繋がるものは少ない。こんな所に送らずとも自力で解決出来るだろうもの、あまりにも突飛すぎるものやくだらないものなど、ゴミ同然の依頼が実際は半分以上を占める。

 採用された残りも、実際紐解いていくと見せ場のないものであったり、依頼主の諸事情等が重なり調査続行不可能となり、所謂お蔵となる事も少なくはない。


「包丁なんてあんまり人に送らないですよね」


 彼女の言葉にとりあえず俺は頷く。最初はカメラに少し緊張している様子だったがさすがに慣れたようだった。


 謎の人物から五年間も贈られ続けている包丁。包丁の種類はそれぞれ異なっているが、どれもそれなりに高質なものではあるようだった。

 白木の依頼は非常に興味深くミステリアスだ。その先にどんな謎が隠されているのか。だがその答えには思いのほか簡単に辿り着けそうだった。何故なら贈り主である松林の住所が分かっているからだ。それなら自力で解決出来るだろうとなりそうな所だが、そこには彼女なりの事情が色々とあるようだった。


 現在五十三歳の白木は八年程前に結婚のタイミングで地元を離れ今の場所に引っ越してきた。しかし新しい土地は馬が合わなかったのか親しい人間関係を築くことも出来ず、そんな中数年前に旦那と両親は他界。地元の交友関係もすっかり途絶え、頼れる人間というものが白木の周りには誰もいなかった。

 

 謎の包丁に対して最初通報も考えたが、実質的な被害がないのでおそらく警察も頼りにならない。かと言って自分一人で松林という人間に接触する勇気もない。そこで行き着いたのが当番組への調査依頼だった。


「お願いできますかね?」


 もちろんですと俺は頷いた。この贈り物に込められた謎が単純に気になった。

 刃物を人に送るという行為は縁を絶つ事を連想させるのであまり好ましくないと考えられる一方、未来を切り開くといったポジティブな意味合いとして行われる事もある。

 ただどちらにしても、これが全く身に覚えのない人物からのものとなると話は変わってくる。

 果たして松林という人間は何を思って彼女に包丁を贈り続けているのか。俺達は早速その答え合わせに向かう事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ