↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/20

9 出られない理由2



「この病弱スキルが、ルーナが一人で部屋から出られない理由だよ」

「どういうスキルなんですか?」

「その名の通り体が弱くなる、弱体スキルだね」

「しかも、固有スキルだから外せないクセモノ」

「こゆうスキル?」

「元々ルーナが持って生まれたものだな。一種の才能的な?」

「稀に条件が揃うと、後天的に付くこともあるみたいだけどね」


ヴァン兄様が大きく肩を落として見せる。

固有スキルにも色々あるようだ。


「そんで厄介なのが、この病弱スキルの効果なんだ」

「からだがよわくなるだけじゃ?」

「残念ながら違うんだよ。ヴォル、鑑定して見せてくれる?」

「はいよ。鑑定『病弱』展開」


*

展開魔法 使用者表示不可

鑑定『病弱Lv1』 

取得条件 親から受け継ぐ。稀に大病を患うと付くことがある。

効果 身体の弱体(正常状態でもHp-70%)病気になりやすくなり、状態異常を起こしやすい。また、子を成しにくくなる。

*

 

「正常でもルーナはHpがいつも3割なんだ。しかも流行り病とかに凄く、すごーくかかりやすい」

「だからHp2しかないんですか?」

「そうだよ。3だよ?!3しかないんだよ!何かあったらすぐに瀕死だよ!部屋からホイホイ出せるわけないよね?!…って、えっ、2!?」

「ヴァンにいさま、ち、ちかいです」


興奮ぎみに顔をグイグイ寄せてくるヴァン兄様。

いくらイケメンでも、そんなドアップは少し引きます。



*

使用魔法 ステータス

使用者 代理使用ヴァンフリード


名前 ルーナ=フェルト・レィリレース  Lv1

性別 女

歳 3歳

職業 幼女Lv1

配偶者・恋人 なし


Hp 2(・)/10

Mp 550/550

状態 重(・)傷(・)


物理攻撃 3

物理防御 4

知能・魔法攻撃 5

精神・魔法防御 4

器用さ 6

素早さ 5

幸運 146


固有スキル 病弱Lv1 病弱の加護(子)Lv1 方向音痴Lv1 愛される者LvMax

使用可能スキル なし

使用可能魔法 なし

転職可能職業 なし

*

 


「本当だ。もしかして、さっき転けたから…」

「おいおい、呑気に考える場合か?とっとと回復しないと、重傷だぞ」

「あぁっ、そっか。そうだよね。…ヴォルお願いできる?」

「任せろ」


そう言うと、ヴォル兄様は私の目の前に移動して早速詠唱を始める。


「ラ・ルーラ、我ヴォル…の名の下に命ずる。」


回復魔法を詠唱しだすとヴォル兄様の体から、ポウッと白い光がいくつも生まれる。これが魔力というものなのだろうか?

だいぶ格好いいな。


「我の声を聞けし者、かの者に癒しの祝福を与えよ」


詠唱が終わると、ヴォル兄様は手をかざす訳でもなく

そのまま私の前で膝を折った。


「ヴォルにいさま?」

「我が姫(ルーナ)に癒しの祝福を…」

「!?」


チュッ

鼻の頭に優しくキスが落とされる。

すると、パァっと私とヴォル兄様を淡い光が包み込んだ。

他にも一瞬だけだったが、私のHpが10と表示された。

…まぁ、直ぐに3と表示されてしまったんですけどね。

状態も重傷から正常になってるんで回復完了って所でしょうか


「…ヴォル、なにもキスして回復することないだろ」

「ヴァン、お前も習っただろ?回復魔法は口で紡ぐ。だから口同士の接触が一番効率が良い回復だって」

「あぁ、習ったよ。でも今は口と鼻だったよね?」

「俺は口同士でも良かったんだけどな」

「消す(おこる)よ?」


笑顔でそう言うヴァン兄様。

その顔は表面上笑っているのだが、実際少しも笑っていない。

兄弟であっても『消す(おこる)』時は本当容赦ないんで、ヴォル兄様注意して下さい。

そして、ごめんなさい。

ヴォル兄様が消されるルートもあるんです。


「まぁ、回復はきちんとしたみたいだから大目にみてあげるけど」


ヴァン兄様はおもむろにハンカチを取り出して、私の鼻の頭をゴシゴシ拭く。

いっ、いた、痛いです!そんなに力入れて拭いたらもげる、もげるから!


「嫉妬は醜いぞ、ヴァン?」

「その言葉はそのまま返すよ、ヴォル」


バチバチバチ

何だか私、二人の間に見えない筈の火花まで見えてきました。


「とにかく、そのびょうじゃくスキルがわるいんですね?」

「まぁ、病弱スキルが無ければ一般的なHpか?」

「いやいや、それでもHpはかなり低いんだからね?」


前にも言った通り、私はRPG設定なんて付けていない。

Hp?Mp?これは乙女ゲーだって言ってんでしょ!!

しかも自分が不利になるようなスキルなど、誰が好き好んで付けるだろうか?

病弱スキル?

Hp70%カット?

そんなのいつも死にかけじゃないか。

今のままだと3回転けたらそれで死ぬぞ?

ルーナとして生きていこうと覚悟を決めた矢先、エンディングも見えてきた。



ルーナ、不慮の事故に因り此処に眠る…

死因は石に躓いて死亡か?





いやいやいや。

…そうだ、Hpが低いならそれを上げれば良い

何だ、簡単な事じゃないか!弱いならレベル上げすれば良い


「なら、Hpをそこあげしたらそとにでられますよね?」

「Hp底上げしたら確かに出られるけど、ルーナはまず無理だよ」

「なんでですか?」

「Hpは、まぁ簡単に言えばレベルアップで上がるんだ。でも、レベルアップするには勿論経験値が必要な訳」

「で経験値は、主にモンスターを倒す事で稼ぐ」

「おもに?」

「ルーナの名前の横にあるレベルは、モンスター等を倒し貰える経験値で上がるレベル。で、職業の隣にある職業レベルは特殊条件が設定されていることが殆どで、モンスターを倒しても経験値はまず増えない。」

「ルーナが必要なHpが上がるのは、ほぼ前者のモンスターで貰える経験値の方のレベルアップな。んで、それを踏まえてよく考えて見ろ。躓いて重傷になるような娘、それじゃなくっても貴族の娘がモンスターに会う確率は?」

「……100%?」

「んな訳あるかっ、0だ0!」

「ルーナ、よく聞いて。一般的に貴族の令嬢はレベルアップなんて考えないんだ。守られるのが令嬢(ルーナ)の仕事なんだよ?」

「えっ?」


守られるのがお仕事?

兄様達に話を聞き進めていくと、この国の貴族の女性は家を守り(勿論、敵やモンスターからではなく)主人の帰る場所を安心、癒しのある家にするよう努力するのが主な仕事らしい。

また、その中でも特に見目麗しい貴族の女性は『国の宝』と言われ、今ではその称号を手にするのが貴族女性の憧れとなっているそうだ。

『国の宝』はその存在自体が国の庇護対象だと言われていて、貴族の女性のみならず、今ではこの国の女性全体の憧れの的なのだという。

どうしてそんな事になったのかというと、理由はなんとも言えないものだ。

一時、女性が主導権を握り家長になる率が上がっていた時代、女性達の結婚、出産率が著しく減った。その理由は女性達の線が太くなったことが原因だった。(簡単に言えば、女性達のムキムキマッチョ化だ)

その彼女達の硬い胸には癒しがなく、鍛え上げられた肉体に男性陣がついてこられなかったのだ。

彼女達は、鍛え上げられた肉体を手に入れた代わりに『いきおくれ』の称号を

も手にいれてしまったのだ。

そんな『いきおくれ』達には当然縁談の数も激減。たまたま上手くいったものも、会えばお断りされる始末。

いくら肉体を鍛え上げようと、心は乙女。

傷付かない筈はなく、国は『いきおくれ』の縁談がある度に荒れていったという。

それを危惧したのが、我が王国『アイアン・ローズ』

傷心を紛らわす為、自らのLvを上げまくる『いきおくれ』達。

そんな彼女達に武器使用による重税、一時的に全国縁談の禁止令を出したのだ。

嫁ぐこと、体を動かすことまでも奪われた女性達が、次は『食事』に走ることを予想して。


そして、国の狙い通り『いきおくれ』達は暴飲暴食に走ったのは言うまでもない。

また、予想通りの変化が現れたのもすぐのこと。

鍛練を止めた体はその強靭だった固さを失い、暴飲暴食によって柔らかい肉が付きだしたのだ。

そして、彼女達に程よく肉が戻った頃、一時的に出した縁談の禁止令も解除

その結果は、言うまでもない。

元々見目が良い彼女達の元には、掃いて捨てる程の縁談が舞い込んできたのだ。

それこそ『いきおくれ』にはあり得ないほどの好条件もあったという。

その後、運良く結婚した彼女達は自分の子供達に同じ思いはさせたくないという思いから、息子には『男性が女性を守るもの。Lvを上げて女性を守るのが当たり前。美しい女性は国の宝なの。』と。

また娘には『女性は家で夫を待つもの。女性は守られれば守られるだけ美しくなるの。Lv上げなんて無意味な事、ナイフやフォークより重いものなんて持つべきじゃありません。幸せになりたいのならなおのこと』という教育を徹底した。

それこそ自分の経験、女が武器を持ってもろくなことがないを教訓として。


そして今現在、この国はその風潮が色濃く残っているという。


また、生まれた時からそんな教育を受けてきた現在の女性の達には、まずLv上げなんて概念は一切ない。なので勿論Lvは1のまま。

多少の教養でモンスターと戦った事がある者でもせいぜいLv2、3が限度

先人達の教育の賜物か、か弱い細腕に心引かれる男が殆どなのだから、親だって自分の可愛い娘に剣をわざわざ持たせ、筋骨粒々の肉団子にしようとはまず思わないだろう。それこそ相当変わり者でない限りは。

勿論、家を守る以外にも社交界等での横の繋がりや、家同士の繋がりを作るのも妻の仕事だと言われた、が…

あのっ、兄様?

その説明だと私、将来的にも軟禁生活を続ける羽目になるんですが?

守られるだけじゃ私の人生一瞬で詰んじゃうんですけどっ

Hp3のままで私が生きていけると思ってるんですか?!


「だから、父さんと母さんが今出掛けてるんだよ」

「えっ?」

「将来的にもHp3じゃ色々、そう色々と困るからね。一時的にHpを上げるマジックアイテムを買いにいってるんだ」


父様ナイス!!

それを使ってHpを上げ、Lvアップを図るのですね!

私、経験値稼ぎ頑張っちゃいますよ、自由の為にも。

…となると、私の軟禁生活も一週間の辛抱か。それならなんとか耐えられそうだし、うん。この世界(ゲーム)の事をもっと他にも思い出しておこう。

私が作ったイベントとか、設定とか。

だいぶ勝手に作られている設定も数多く存在してるが、(設定が甘かったり、作っていないところは適当に作られているみたいだが)まぁ、元は私の作った世界(ゲーム)だ、問題ないだろう。




きっと。




…大丈夫、だよね?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。