表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

第三話

第一話から第十話まで毎日更新

朝。




村の裏手、森の奥にある小さな広場。


昔から、僕たち姉弟がよく使っていた場所だ。




最初は――僕がひとりで魔法の練習をしていた場所。


それが姉さんに見つかって、叱られて。


いつの間にか二人で並んで魔法を撃つ場所になって、


気づけば、姉弟喧嘩をすると必ずここに来るようになった。




今は、僕が張った結界に包まれている。




木々の間に、薄く揺れる透明な壁。


魔力を流し込むと、空気そのものが「ここから先は通さない」と主張するみたいに、ぴんと張りつめる。




――これなら、多少派手にやっても大丈夫だ。




「待たせた?」




背後から、聞き慣れた声。




振り返ると、姉さんが立っていた。


いつもと変わらない笑顔。だけど、どこか楽しそうで、少しだけ緊張しているようにも見える。




「ううん、今来たところ」




「ふふ。じゃあ、ちょうどいいわね」




姉さんは、僕と同じように広場の中央に立つ。




「ねえアトラ。昨日の話だけど……やっぱり、一度ちゃんと確かめさせて」




「確かめるって?」




「決まってるでしょ」




姉さんは、軽く拳を握った。




「あなたが冒険者になりたいって言うなら――その“覚悟”見せて」




……なるほど。




言葉で止められないから、こう来たわけか。


姉さんらしい。




「分かった。」




お互い、少しだけ距離を取る。




空気が、静かに張りつめた。




姉さんの魔力が動く。




「《氷弾魔法(アイスショット)》!!!」




氷が一直線に飛んでくる。


僕は一歩横にずれて、即座に返す。




「《風刃魔法(ウインドブレード)》!!!」




風が氷弾を切り裂き、砕け散った破片が地面に落ちる。




――次は、お互いに同じ魔法を連続でぶつけあう。




「《アイスショット》!」




「《ウィンドブレード》!」





一発一発の精度が高い。姉さんの魔力操作が、以前よりずっと安定しているのが分かる。




(……うん、上手くなってる)




自然と、こちらも力が入る。




「《風大鎌魔法(ウインドサイズ)》!」




先ほどより威力の高い魔法を放つ。




「《氷槍魔法(アイスランス)》!」




大きな槍が迎撃するように突き出され、互いの魔法が空中で弾ける。





結界の内側で、魔力の衝撃が何度もぶつかり合う。


それでも、結界はびくともしない。




遠距離の応酬が続くうち、


いつの間にか――距離が縮まっていた。




同時に、踏み込む。




身体強化を重ねた足が地面を蹴り、


風と氷の残滓を切り裂きながら、互いの間合いに入る。




――互角。




魔法も、動きも、読み合いも。




(……本当に、強くなったな)




そう思った、その瞬間。




姉さんの動きが、一瞬だけ鈍った。




(……?)




――フェイント。




次の瞬間、姉さんが僕の懐に飛び込んできて、


そのまま、軽く――本当に軽く、僕の胸に触れた。




同時に。




淡い金色の光が、姉さんの手から溢れ出す。




空気が、震えた。




魔力が――“流し込まれる”感覚。




()()()()()()




次の瞬間。




「――っ!?」




身体が、急激に軽くなる。




僕自身がかけていた身体強化に、


さらに別の強化が“重ねられた”。




それも、乱暴じゃない。


ぴたりと噛み合うような、精密な魔力制御。




(……なに、これ……!?)




理解するより先に、身体が前に出る。




速すぎる。




自分の感覚が、追いつかない。




「――うわっ!」




自分の体を制御しきれずそのまま結界に――




顔面から激突した。




ぱぁん、と澄んだ音。


結界が光り、衝撃を吸収する。




地面に崩れ落ちながら、僕は思わず笑ってしまった。




「……参ったな」




姉さんが、すぐそばに立っている。




少し不安そうで、でも――どこか誇らしげな顔。




「……これが、今の私」








「……すごいよ、姉さん」




心から、そう思った。




「でしょ?」




姉さんは、くすっと笑ってから、続ける。




「だからね。冒険者になるのは――もう止めない」




一瞬、胸が跳ねる。




「ただし」




指を一本立てて。




「私も一緒に行くこと。これが条件」




……やっぱり。




「……ありがとう、姉さん」




そう言うと、姉さんは少し照れたように、でも嬉しそうに笑った。



技名がありきたりなんだよなあ

なにかいい技名ないかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ