出発
第四話見直したら短すぎたので第五話もあげます!
「アトラーーー!!準備できたーーーー!?! いくよー!!」
いつもよりがらんとした家に、姉さんの声が響く。
昨日やっと片付けが終わり、旅に必要なものだけを収納魔法がかかったカバンに入れた。
最初は、家にあるものを全部持っていこうかとも思ったけれど、やめた。
いつか帰ってくる。
それがいつになるかは分からないけれど――ここは、僕らの家なのだから。
木の床。
壁に刻まれた小さな傷。
昔、姉さんが料理を失敗して焦がした跡。
ひとつひとつに、ちゃんと居場所の記憶が残っている。
……そんなことを考えていたら。
「ちょっとアトラ!! いつまで待たせるのよっ!」
鼻息荒く、姉さんの声が背後から飛んできた。
外で待っていたはずなのに、僕が一向に出てこないせいで、痺れを切らしたらしい。
「今行くよ。姉さんはせっかちだなあ……」
「違うわよ! あんたがのんびりしすぎなの!!」
そう言いながらも、姉さんは僕の手元をちらりと見て、
少しだけ声の調子を落とした。
「……それ、置いていくのね」
手に持っていたのは、父さんと母さんの写真。
「うん。帰ってきた時に、“おかえり”って言ってほしいし」
一瞬だけ、姉さんは驚いた顔をして、
それからふっと、柔らかく笑った。
「……そうね」
家の戸を閉める。
「「いってきます」」
ぎぃ、と小さな音がして、
次の瞬間、爽やかな風が一陣、僕らの頬を撫でた。
⸻
村の入り口近くまで来ると、
畑仕事の準備をしていたおじさんが、こちらに気づいて手を振ってきた。
「おう、もう出るのかい」
「はい」
「村のことは心配すんな。魔獣が出りゃ、ちゃんと依頼も出す。
お前らが背負い込む必要はねえ」
「ありがとうございます」
「でもな」
そう言って、おじさんはにっと笑った。
「帰ってきた時に、土産話くらいは聞かせてくれよ」
「はい。必ず」
その言葉は、約束というより――
“居場所”を残してくれる言葉みたいで、胸が少し温かくなった。
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もうほんとに他の作品読んでると素人過ぎて自分が嫌になります……




