醜いアヒルの子 最終話
冷たい世界の後にはきっと温もりがあると思いながら、自らの願いが叶えれる事が出来ればいいのに。
僕はそう思う…。
母は狂い、父は死に、祖父も死に、そして…。
僕は、余計に自らを責めるしかないんだ。どんな未来が待っていてもね…。
葬式の参列者は500人来ていた。
殆どの人が見た事もない人ばかり。
パッと見で、普通の立場の人じゃない人達の集まりだと感じた。
高級スーツに、時計。
僕の見た事もない世界の人達で、吐きそうだった。
威圧てい言うのかな?盛り籠も外まで出ていて、家の敷地に入れない人だかり。
恐怖なんてない。
あるのは悲しみだけ。
皆の目線が父に集まりながら、僕は崩れていく…。
あの時には理解出来ない大人の陰謀なんてある訳ないと思ってた。
それは大人の『法蓮』しか知らない事実。
葬式は続く、悲しい音で続く。
兄が喪主。14の『かおる』は座って隠れながら泣いている。
涙がポロポロ、自分のせい。
唇がプルプル、噛みしめながら震えを誤魔化している。
当時の知事も来ていた。
『かおる』の父の上司。
全てが滅茶苦茶になった張本人かもしれないね…。
死んだ父に賞状を渡して、記念撮影。
そんなのいらない、そんなのほしくない。
生きてる時に渡してよ、全てを崩壊させるじゃなくて、全てを返してよ。
お願いだから、お願いだから…。
そう心で呟きながら、葬式は続く。僕の孤独も続いていく。
悲しみに埋もれる姿は『醜いアヒルの子』
何も出来ない無力な子供の『かおる』
そして今の『法蓮』が創られる。
カチカチと『過去の記憶』を振り返りながら、涙する『法蓮』の姿が…。