第17話 むちゃくちゃバトル2
二百人の内、五十人程がリミクを追い、残りがヨルルとネネアの妨害に入る。
(どうしよう……数が多すぎる……!!)
リミネネも考えてくることだろうが、カミツという敵は具体的にどんな能力かは分からないが、とにかく物量で押してくる。
流石にこんなに少人数で対処するは初めてである。
でも弱音を吐くより先になんとかリミクを進ませばなければならない。
「霊魔を大量に使うよ!!」
体内に入れられる霊魔の容量は人によって違い、基本的には本人とって強力な攻撃程、霊魔の消費量は多くなる。
まだカミツの能力が分からないので消耗は避けたいが、今はそんな状況ではない。
「分かった!!」
ネネアも理解していていた。
なのでヨルルは手の先、足の先まで集中させて、体内の霊魔をコントロールし、大鎌に流し込む。
ネネアと共に一瞬目を閉じて、カミツたちを蹴散らすビジョンを明確にする。
──そして、ヨルルは巨大な斬撃でカミツたち百五十人を切り裂き、妨害する者が居なくなった瞬間を狙いネネアが鉄鞭を蛇のように自在にくねらせてリミクを追うカミツたち五十人を一度に貫いた。
リミクは後ろを振り返らず、そのまま能力を使いながら敵を追っていく。
ただ、敵はリミクと同じレベルのスピードを持っているようで追いつくには時間がかかりそうだ。
ヨルルとしてはリミク頼みなのが、なんとももどかしいが今は目の前の敵に集中しよう。
まあ、カミツたちは出現して、すぐに百人程は居た。
「はあ……はあ……!」
「……ふぅ……ぅぅ……」
姉妹二人して、冬とは思えない程大量に汗をかきながら肩で息をする。
あれだけの敵を一度に倒すのに使った霊魔の量は多過ぎる。
吸血鬼としては速く決着をつけて血を補給しながら一息つきたい。
「──つーかよぉ……お前ら死霊狩りなのよぉ……なんでひとを殺すぅってことにためらいがねぇんだよぉ……?」
その言葉を紡いだのは道路に立つ一人の武器を持たないカミツだった。
あまりにも重要であまりにも根本的な質問。
「──こんな地獄みたいな世界じゃ敵は死霊だけじゃない……それに殺してもいい人を殺すことにためらって、罪の無い人が死んじゃいけない」
彼には自分が思うありのままのことを告げた。
「へぇえ……案外ぃ……正義感あるんだなぁ……まぁ俺としてはぁ……お前らの思想も知れたしぃ……スペアも次々ぃ到着したしぃ……一石二鳥だよなぁ……まあ、あのガキは進ませちまったけどよぉ……」
もう流石に驚かないが、また二百人まで増えている。
(…………スペア)
絶対、カミツの能力を暴かねばジリ貧で死ぬのは目に見えている。
まあ、それにはスペアという言葉が関わるのだろうが……予備か。
それにさっきからカミツを切り裂きながら感じていたが……いや、もしそうなら……。
──やってもデメリットは無い。
ならやろう。
「……ふぅ」
一息ついて、目を閉じて、踏み込み……一瞬で道路に立つカミツの首筋を血を吸うために噛みついた。
「て、てめぇ!!」
「……!!」
雑にそのカミツを大鎌で切り裂く。
それよりも予想は的中していた。
「ネネア、コイツらはアンドロイドだ!!」
「え……? ええ!?」
驚くのは仕方ない。
人造とは気付かない程に肉体の感触が同じだったし。
ただ、ほんの少しだけ倒していく時に人間の肉体よりも硬い気がして、スペアという言葉が引っ掛かった。
血を吸ったのはアンドロイドであることを決定付けるため。
吸血鬼にはホンモノの人間と天使の血しか傷や体力の回復と栄養になる効果はない。
いくらホンモノの血に似せても、カミツの血が吸血鬼にとってはホンモノの血から感じるステーキのような味をしても、ニセモノである限り体力の回復は無い。
そして、カミツの血を吸っても体力が回復しなかった。
スペアという言葉を合わせたものが意味するのは人間と間違う程に精巧でニセモノの血が流れている肉体を持つ、本体にとってはなんならかの意味を持つアンドロイドのスペアだということ。
問題はスペアの残り数と本体がどこに居るのかだが……もしかすると本体は車に向かったヤツ?
いや、地下とか安全な場所に隠れているとか……というか、コイツらが本体にとってはスペアにしか過ぎないアンドロイドなら、能力はまだ披露していない?
……むしろさっきよりも考えることが多くて憂鬱だ。




