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お嬢様はエクソシスト  作者: 地野千塩


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最後の冬休み編(7)

 ついに大晦日の日になった。


 篝火はどうせだからとしばらく別荘に泊まる事になった。


 その方が良いだろう。まだ篝火は福音を受け入れたばかりで隙がある状態だった。悔い改めていない罪もあるだろう。この状態で外に出すのは危険だった。


 できればこのまま牧師に繋ぎたいと考えた直恵は、別荘に悠一を呼ぶ事にした。


 悠一も年末年始の地域のあくれ祓いで忙しかったが、直恵が相談すると、篝火の方が重要そうだと言い、来てくれる事になった。


 篝火は元々歌詞を書くために聖書を勉強した事もあると言い、直也や羊野が語る聖書の話をよく聞いていた。


 見た目は悪魔的だったが、ジャージ姿ですっぴんで聖書の話を聞く篝火は、根は純粋そうに見えた。


 ただ、一つ気掛かりな事があった。


 桜の様子が変だった。


 いつもは食いしん坊な割にはご飯を全部残し、部屋に閉じこもっていた。


 さすがに昼も要らないと言い始めたので、直恵は桜の部屋に入って事情を聞く事にした。


 しかし、部屋にいた桜は直恵の想像とはるかに違った格好をしていた。


 いつもの別荘ジャージではなく、他所行きのワンピース姿で、濃いめの化粧もしていた。元々美人の桜は、濃いめな化粧もサマになっていた。


 バンギャやっていた時の桜を思う出し、直恵の頬に汗が流れた。


 桜の爪はバンギャ時代と同じほうに真っ黒に染めらられていた。


「ちょ、桜どうしたの? 別荘ジャージに着替えよう?」

「篝火様〜!」

「は?」


 黄色い声の桜の声を聞きながら、悪霊を知覚できた。


 桜に悪霊が戻っていた。しかも恋愛依存の悪霊をくっつけていた。前にくっつけていたロックバンドの悪霊よりタチが悪い。おそらく悪霊祓いをしている桜に報復に来たのだろう。


 直恵は頭を抱えそうになる。


 おそらく篝火に再会し、桜の中で何かが再燃してしまったのだろう。それで隙ができ、悪霊が戻ってきたようだ。


「さ、桜」

「篝火のこと、好きになちゃったの」

「あんな爬虫類顔どこがいいの?」


 そんな理屈言っても通じないだろう。さらにたちの悪い事に、恋愛依存の悪霊が別の悪霊と連絡を取り始めた。


 この別荘は基本的に悪霊がよってこない状態だったが桜のおかげで要塞が崩れた。運の悪い事に近場にスピリチュアルリーダーに施設もある。


 今までは大丈夫だったが、桜の恋愛依存の悪霊を入り口にして、わらわらと悪霊がやってきた。


「ちょっと、桜。昨日の夜とか、篝火の事を頭の中で想像したりした?」

「えー、うん。したかも? 夢の中にも篝火様が出てきた」


 桜は目をハートにしていたが、直恵が笑ってはいられない。新約聖書の中でイエス様は、頭の中で姦淫の想像も罪だと言っていた。そう、頭の中でちょっとでも異性を恋愛対象に見るだけでも罪になる。


 男性限定の話ではない。女性もイケメンを見てロマンチックな気持ちになる事は罪になる。もちろん、現実的な不倫をするわけではないので、人間的な感覚では罪に問えないだろう。ただ、神様の視点からすると心の中で思う事も罪になる。


 恋愛というのは不思議なもので、その事で頭がいっぱいになりやすい。


 神様よりも恋愛は優先しやすいのだ。恋愛にハマると気付くと信仰が腐敗していたなんて事珍しくない。


 恋愛も愛の一つだから良いんじゃない?という人もいるが、人間的な愛と神様の与える無償の永遠の愛は全く違う。恋愛は偶像崇拝になりやすいのだ。信仰心があったと思われる桜も恋愛の誘惑には勝てなかったらしい。たぶん、桜の弱点は恋愛だ。


 弱点をついてくる悪霊の嫌らしさに、ため息がでそうだった。


「篝火様ー? どこー?」


 おそらく篝火を探すために、桜はリビングまで小走りに向かっていた。


「ちょっと、桜!」


 すぐに追い払おうとも思ったが、この恋愛依存の悪霊はなかなか執念そうだった。一度悪霊を追い払った後に住み着く悪霊などろくなものではない。また大晦日の夜は悪霊は騒がしい。悠一がここに到着するまで待つべきか迷う。


 リビングに入ると、なぜか篝火も女装のような元の姿に着替えていた。メイクもしていた。


 篝火にも悪霊が戻ってきたようだった。


 桜をきっかけに悪霊が入り込み、篝火には淫乱の悪霊が憑いているのが見えた。おそらくホストをしていた過去があるのだろう。水商売をしていた人によく憑いている。


「篝火様ー!」

「よぉ、桜」


 淫乱の悪霊をつけた篝火は、やけに妖艶な笑を見せていた。


「羊野さん、直也さん、歩美さん。これ一体どういう事?」


 三人とも暗い顔をしていた。さっきまで聖書に話を平和に聞いていた篝火だったが、突然キレ始めて、聖書を投げつけたらしい。


 おかげで羊野のおでこにはアザができていた。聖書の角がぶつかったらしい。


「どうしたのー。篝火くんも桜ちゃんまで別人……」


 歩美はオロオロと落ち着かない。さすがに悪霊が憑いた篝火と桜に歩美も動揺していた。


「ど、どうしよう……」


 普段、クールな直恵もこの状況に冷や汗を流していた。

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