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お嬢様はエクソシスト  作者: 地野千塩


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悪霊の同士討ち編(1)

 秋も深まる11月のある土曜日の事だった。


 直恵と桜は、近所の駅ビルに遊びに来ていた。土曜日は珍しく直恵のバイトもなく、桜の暇だった。という事で、カラオケに行き、駅ビルに入っているファミレスの中で昼ごはんを食べていた。


 ランチセットで600円もしないハンバーグセットを二人で頼んで食べる。お嬢様の桜だが、意外とファミレスの味に感動していた。


「ドリンクバーもこんなに安いなんて感動的よ」

「そうね。ファミレスは庶民の味方よ」


 直恵もそう言いニコニコ顔で熱々のハンバーグを頬張った。


「そういえば、うちの新作のマロンケーキ美味しかった? ご両親にもあげたんだよね」

「ええ。とってもおいしかったわ。養父も養母も気に入ってくれたわね」


 先日、桜からマロンケーキを貰った。桜の親の会社の新作ケーキだったが、うちに持ち帰り養父母と一緒に食べた。


 令美の一件で、やっぱり人に許さない気持ちを持ってしまうのは、改めて神様の違反していると感じた。自分も令美についた悪霊に飲みこまてそうになった一瞬があった。


 霊的にスキが無いようにしたいというのもあるが、養父母ともう少し距離を縮めても良いと感じた。


 そんな事を考えていた時、偶然桜からマロンケーキをもらった。これを一緒に食べるという口実ができ、久々と養父母と一緒にお茶をした。


 別段、距離が深まるような劇的な事はなかったが、別に養父母に意外とわだかまりを持っていない事に気づいた信仰では相容れない部分も多いが、別に根から悪い人でもない。自分も色々と間違えている事もあるんだろうと思うと、無闇矢鱈と養父母を嫌う事も出来なくなってしまった。


「ふーん、そっか。ご両親に喜んでくれてよかったね」


 桜は笑顔で微笑む。まるで自分の事のように喜ぶ桜は、やっぱり人が良い。


「ところで最近、陽キャ達はどう? いじめは無いわよね?」


 こんな無防備に笑う桜を見ていると、ネギを背負ったカモにも見えてしまい、ついついそんな事を口にする。


「最近は何も無いよ。無視してるし」


 確かに学校での桜は、ほとんど直恵と一緒にいた。陽キャでもいじめに関わっていないタイプなどからは、不思議そうに見られていた。確かに直恵と桜は一見共通点は見られない。


「本当、もしいじめがあったら今度は担任に言いましょう」

「えー?効果あるかな? 直恵によると、いじめは悪霊が原因っぽいんでしょ」


 確かに桜をいじめていた連中は、性的不品行や占いの霊などをくっつけていた。いじめも背後にいる悪霊が糸を引いていたのは直恵は気づいていたが。


「だったら、直恵と二人でいじめっ子達の悪霊祓った方が良くない?」

「それもいいけど、あの子達が福音を受け入れるかしら。結局悔い改めないと戻ってきちゃうのよねー」

「そっかー」

「うん、こういう時は現実的に解決するのも良いかもしれない」


 その後、直恵と桜はデザートのパフェを食べ、大満足でファミレスから出て行った。


 駅ビルの雑貨屋を眺めた後、駅ビル周辺の公園でぶらぶら歩いていた。


 まだ夕方ではないが、なんとなく今帰る気分にはなれず、公園のベンチに座り二人で下らない雑談をしていた。やっぱり公園は休日という事もあって人が多い。近所に神社もあるし地域に根付く悪霊もザワザワとしていたが、直恵や桜が祈ると、さーっと居なくなっていった。


「この公園にも地域の悪霊いるのね?」

「いるわよー。っていうかどこにでもいるし、連携とってるのよ」

「嫌だー」


 そうは言っても桜は呑気そうだった。幸田や令美の悪霊の件を解決し、少し余裕と自信が出ているのかもしれない。まあ、今のところはあくれを祓えそうな人も見つからず、エクソシストとしての活動は全くやっていないわけだが。


 そこのカメラを持った男性が数人話しかけてきた。一人はどこかで見た事がある顔だった。


「もしかして、YouTuberのミカチンですか?」


 直恵はよく知らないが、桜は男が有名YouTuberと言い、興奮したような声をあげていた。周りんのスタッフらしこ人によると、インタビュー動画を撮っているらしい。


「あ、メガネの君は出なくていいから。この可愛い子だけ出てほしんだ」


 こうして桜だけしばたくYouTuberの取材を受けていた。


 露骨な差別を受けた直恵だが、男達もYouTuberも悪霊まみれなので、あまり近づずに済んでよかった。悪霊達はザワザワと連携をとったり、仲間割れしてたが、直恵はそばらく無視しながら、取材が終わるのを待った。


「ミカチンの動画出演出来るかもって。超楽しみ!」


 意外とミーハーなのか桜は人気YouTuber動画にでられて嬉しそうだったが、直恵は嫌な予感がしていた。動画に関わっている連中も悪霊まみれだったし、何かトラブルを引き起こそうな予感もしてしまった。


「直恵はなんか機嫌悪くない? もしかして、ジェラシー?」

「そんなわけないわよ。ネットで顔出しなんてしたくないし。でも、嫌な予感がするのよね」

「嫌な予感?」

「うーん。ハロウィンは終わったけどそろそろクリスマスが近いしね。なんか嫌な予感がするのよ」


 そこそろ駅ビルやこの公園、学園にも大きなツリーが飾られる。一般的にはツリー、リースは良きものとされているが、悪霊を呼びやすい飾りでもある。もともとクリスマスは異教のお祭りだ。特にリースはイエス様の荊の冠を象った説もある。要するに馬鹿にしてるものだ。


 悠一の教会ではクリスマス礼拝はするが、ツリーやリースなどの飾りは極力避けていた。クリスマス礼拝は、近所の人にお菓子を配って普段のお礼をしたり、求道者を招く面も大きかった。別に特別に祝いたいという意図はない。神様を讃える事はクリスマスでなくても毎日できる。


「そっか。でも変な悪霊が来たら、また追い払えばいいじゃない」

「追い払えばいいけどね」


 楽観的な桜と違って、直恵の悪い予感は高まっていった。

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