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お嬢様はエクソシスト  作者: 地野千塩


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朝霧桜編(12)

 直恵と桜は、悠一の教会に直行した。


「おいおい、お前ら何の用さ」

「朝霧さんの悪霊の正体がわかったのよ。さっさと祓っちゃいましょう」


 夕食中であったため、最初はヤル気がなかった悠一だったが、事情を説明するとさっそく悪霊祓いする言葉になった。


 礼拝堂の信徒席に桜を座らせ、まず直恵と悠一は神様に祈った。


 教会に来た事で桜についている悪霊は少々大人しくなっていた。繁華街では中間の悪霊と連携を取る可能性もあるので、教会に連れてきて正解だった。


 教会はキリストの身体やキリストの花嫁とも言われる。やはり他の場所と比べてやすやすと悪霊は入り込めない。


 という事もあり、桜に憑いていたロックバンドの悪霊があっさりと祓う事ができた。もっともこれは直恵や悠一の実力ではなく、神様の力である。


 感謝の祈りも桜と含めて三人でした。


 桜は本当に憑き物が落ちた顔をしていた。指先の黒い爪が本当に違和感を持つぐらいだ。


「ごめんなさい、神様」


 直恵や悠一は何も言わなかったが、桜は自主的に悔い改めの祈りをしていた。こうして罪が清められれば、大丈夫だろう。直恵や悠一もホッとため息をこぼす。


 悪霊が祓ってホッとしたのか、三人ともお腹が減った。


 出前の蕎麦をとり、礼拝室の横にある部屋でみんなでテーブルを囲んで食べた。


 前来た時は桜は、あまり手をつけていなかったが、今日は天ぷら蕎麦を美味しそうに食べていた。今日の桜はダイエットサプリは飲んでいなかった。


「朝霧さんは、ダイエットしてるの?」


 悠一は無礼にも聞いてきた。まあ、20代の男性ならこんなもんだろう。


「してる。私、デブだもん」

「えー、見えないよ!」


 直恵の目からはとてもデブには見えない。


「直恵は痩せてるから」


 桜が口を尖らせる。ちょっと裏ましそうな口調だった。


「でも直恵は、女子っぽい色っぽさ皆無だしなー」

「ちょっと先生、無神経すぎません?」

「いやー、直恵は神経太そうだし。普通のJKにはそんな事は言わいよ」

「失礼ねー」


 歯に絹着せな直恵と悠一の会話を聞きながら、桜はくすくす笑っていた。


「俺は朝霧さんはデブに見えんぞ。っていうか男はぽっちゃり好きだし、意外と歳上も好きだし。俺は石田百合子が好きだな」

「ちょっと先生、頭の中でエロい事考えないでください。悪霊きますよ」


 頭の中で悪い事を考えるのも罪で、特に男性がエロい事を考えると悪霊はワラワラとやってくる。


 ただ、いまのところそんま気配はないので、きっと悠一は気をつかって冗談を言ったのだろう。隣人の心を和ませる冗談の場合は、別に悪霊はやって来ない。


「そう? 私デブじゃない?」

「むしろ可愛い系だろ。直恵より可愛いぜ」

「本当、先生は失礼ねー」

「いやいや、朝霧さんは欅坂にいそうな感じじゃん」

「先生、欅坂もチェックしてるん? 変態だ」


 この二人の冗談で桜は気が緩んだらしい。


 色々と過去の事を話してくれた。


 意外な事に桜はよくいじめられるらしい。桜は社長令嬢で美人となれば、確かにやっかむ人もいるだろうが、驚いた事にいまのクラスメイトからもいじめを受けているという話だった。


「えー? あの陽キャ達が? 信じられない!」


 ついつい直恵は怒ってしまった。


「うん。よく無視してきたり、ブスって言ってきたりさ……」

「それはやっかみだよ」

「先生の言う通りよ。朝霧さんが悪い事してる様子はないもの」


 クラスの中でも明るく、一匹狼ポジションの直恵にも分け隔てしない。どう考えて陽キャの嫉妬ややっかみとしか思えなかった。


「でも、私が悪いんだなーって思い詰めて。つらくて。そんなときも篝火の音楽に出会ったの。全く別の世界を魅せられて、夢見心地だった」


 そう語る桜は、あまり嬉しそうでは無い。


「でも、真澄先生が言っていたように現実逃避してたのよね。本当はいじめっ子達と距離取ったりしなきゃいけないのに、ズルズルやられ放題になりながら、逃げていたのかも」


 桜は下を向いていた。


「悪霊というのはね、心の傷を攻撃して、巧みに誘惑してくるのよね。でも、良かったじゃない。朝霧さんの心の傷は、いじめが原因だったのね。これを癒せば、悪霊もあんまり寄ってこないはずね」

「直恵の言う通りだ。さ、心の傷もイエス様の十字架に預けよう」


 悠一がそういい、再び三人で祈った。


 祈り終えると、桜は本当に憑き物が落ちたようにスッキリとした顔を見せる。さっきよりもちょっと晴れやかだった。


「そうだ、私、やっぱり桜と友達になりたい!」

「えー?」


 笑顔でそう言われて、直恵は戸惑う事しか出来ない。


「直恵、お前もそろそろ一匹狼やめて友達作れ」

「えー」

「反論するんじゃない。これは牧師命令。友達作って隣人愛を学びなさい」


 そう言われてしまうと、直恵はぐうの音が出ない。聖書は従順さが重視される。世の中の権威あるものも神様がたてたもので、牧師もそうだ。何の権威もない女子高生の直恵が逆らえるはずもなく、桜と友達になる他ないようだ。


 それに学校でいじめられている桜を放ってはおけない。また変なロックバンドにハマって悪霊憑けてしまうのは、問題がある。


「それから、私の事は桜って呼んでね」

「さ、桜?」


 下の名前で呼ぶのは、何となく恥ずかしくて普段クールな直恵の頬も赤くなった。

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