朝霧桜編(13)完
それから平穏な日常を送っていた。
直恵はなぜか桜になつかれ、学校でもほとんど一緒に行動していた。一匹狼の名が廃るが仕方がない。
そして桜は部活も聖書研究会に入る事になった。
桜はクリスチャンだが、あまり聖書を読まないといい、直恵が教えていたりもした。まあ、カトリック教会に通う桜はそんなものだろう。
「真澄先生、遅いね」
桜は聖書研究会の部室の中をキョロキョロと見回す。まだ、顧問に真澄は来ていないようだった。
「たぶん、また婚約の事で電話してるじゃない?」
「まあ、そうかもね。ところで」
桜はそう前置きをして、口を開く。
以前より肌や髪の調子も良いようで、太った様子もない。
陽キャ達のいじめは相変わらず続いているようだが、直恵が「占いの霊が憑いてる」「彼氏作ったでしょ? 性的な堕落の霊が憑いてる」と軽く脅すと何も言ってこなくなった。どうやら陽キャ達のいじめも背後の悪霊のせいだった。
陽キャ達の祓ってもよかったが、どうせ反省も悔い改めもしないだろう。今のところ、直恵が目を光らせ監視しておくのが一番だろう。
「私もエクソシストになりたい!」
「は?」
すっかり忘れていたが、桜は映画の影響でエクソシストに憧れがあった。
「あの時の直恵、かっこよかったよ。私もエクソシストになりたい!」
「いや、別にいいけど……」
すっかり悪霊がいなくなった桜の霊的状態はかなり良かった
「でもエクソシシトは危険よ。一人でやるのは」
直恵も悠一と二人でしないと追い払えない悪霊がいる。
「だから、直恵と二人でやろう!」
「えー」
「いいじゃないない。私も悪霊祓いたい!そうね、コンビ名も決めましょう」
桜は聖書研究会の部室に置いてあるホワイトボードに黒マジックで何か書いた。
「コンビ名はお嬢様はエクソシスト! 略してOE! どう?」
「へー」
盛り上がっている桜とは対照的に直恵はクールな表情だった。
「私達、いいコンビになれると思うんだ!」
「どうかなー? っていうかそのコンビ名のセンスはいいの?」
「神様の為に頑張ろう!」
そう言われてしまうと直恵も反論できない。
「ま、いいか」
「やった! OE結成ね!」
呆れている直恵とは違い、桜は眩しい笑顔を浮かべていた。




