表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルノと旅する吸血鬼  作者: 立木ヌエ
プロローグ
PR
1/85

ある姉弟

 黄昏。木の下。草の上。心地いい風に吹かれながら、黒い髪の青年が古ぼけた日記帳にペンを走らせる。


 風でページがめくれないように親指で押さえながら、時々眉間を押さえたり、首を傾げている。目元もまた、光の灯る濃紺の瞳が大きく丸くなったり、小さく細くなったり忙しそうだ。


「うーん……ここは……って暗くなってきたな……」


 青年が空を見て低く喉を鳴らした。気づけば日が沈みかけて、空が橙色に焼け付いている。

 青年は栞を挟み込むと、立ち上がり服をパンパンと手で払った。


 青年が背中を伸ばしていると、背後からカサカサと草を踏む音が聞こえた。

 振り返るまでもない。青年は安心しきったように優しくその名を呼んだ。


「メルト。ちょうど良かった。宿に戻ろうと思ってたんだ」

「ふふん、うちもそうだろうと思ってたよ」


 足音はやがて青年の横に並ぶ。そして白い頭が青年の視界に現れ、真紅の瞳が目を合わせて微笑んだ。


 白髪の少女・メルトはすっと手を差し出し、察しろと言わんばかりにひらひらと揺らした。


「ルノ、ほらほら」

「もう繋がないよ。子供じゃないんだから」

「えー! いいじゃーん! つーなーいーでーよー!!!」


 メルトが飛び跳ねながらみっともなく騒ぐと、黒髪の青年・ルノはため息をついた。


「はぁ……もう、町の外までね」

「ありがと!」


 メルトはさっとルノの手を掴むと、そのまま手を引いて歩き出す。

 ルノもまた、まんざらでも無い様子で笑うと、横を歩いた。


「ねぇメルト」

「ん?」

「次の町も楽しみだね」

「……そうだね!」


 メルトはルノの言葉に静かに頷くと、いっそう笑顔になるのだった。


 ――これは未来の話。一人の少年と吸血鬼が辿る出会いと成長の旅路の、ほんの少し先の話だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ