そのゲームは、切り離すことのできない序曲に過ぎない

主人公・凝里（ギョウリ）は、仲間たちと共に人気RPGをプレイする平穏な日々を過ごしていた。
だがある瞬間、突如として異変が起こり――
彼らは見知らぬようで、どこか見覚えのある世界へと呑み込まれてしまう。

そこはまるで、今まで遊んでいたゲームの延長のようでいて、決して虚構ではない。
数値やクエストで構成された舞台ではなく、独自の法則と歴史、そして意志を持つ「現実の異世界」だった。

目を覚ました凝里（ギョウリ）の傍には、緹雅(ティア)と芙莉夏（フリシャ）の姿だけ。
他の仲間たちは行方知れず、三人は選択の余地もなく、この危険に満ちた地での生存を強いられることとなる。
これまでただの設定に過ぎなかったスキルや武器、職業が、今や命をつなぐ唯一の術となるのだった。

次々と現れる不可解な現象の中で、凝里（ギョウリ）は徐々に気づいていく――
この転移は、単なる偶然でも冒険の始まりでもない。もっと深く、複雑な意味を孕んでいるのだと。

失われた仲間を探し出し、目の前に広がる異変の真実を知るために。
そして、何よりも「なぜ自分たちはこの世界へ導かれたのか」を解き明かすために。
凝里（ギョウリ）は歩き出す――陰謀と運命が交差する、行き先の見えない旅路へと。

誰もこの旅の結末を知らない。
そして、ゲームから現実へと踏み出したその序曲は、今、静かに奏でられ始める。