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赤炎島の危機、親子の絆

 地上に戻ったキラたちを待ち受けていたのは、安堵の光景ではなかった。遠くの空に、無数の黒い影が見える。それは、皇帝が付近に潜伏させていた艦隊だった。

 精霊の力が一度、破壊へと向かったことにより、島の結界は消滅していたのだ。精霊は沈められたが、新たな結界が完全に構築するまで、時間がかかる、その機を狙って皇帝が動き出したのだった。

「嘘だろ…」このタイミングでなぜ。」

 カイルが絶望に顔を歪める。彼の言葉通り、数十隻の巨大な軍艦が、赤炎島へと向かってきていた。

「ヴェスタ様、あくまで推測ですが。あなたを洗脳していたローという従者は、皇帝のスパイだと思われます。精霊の暴走を知っているのは、精霊の部屋に入った我々だけです。状況から、逃げたあの男が情報を漏らしたのでしょう。」

 ゼノンがヴェスタに礼を尽くしている。遺跡から出たことで、一旦、遺跡探索の作戦が終了したからだろう。


「ゼノン様、通信が復活しました!」

 部下の報告に、ゼノンは素早く侯爵へと通信を入れる。遺跡の奥深くでは途絶えていた通信が、地上に出たことで再び繋がったのだ。

「侯爵、こちらゼノン!たった今遺跡から出ました。」

「ゼノン、至急軍司令部に戻れ。状況確認後、現在進行中の帝国艦隊に対して作戦立案、指揮を取れ!」

 通信を終え、ゼノンは軍司令部へと急いだ。司令部では、侯爵が厳しい表情でゼノンたちを待っていた。

「精霊石の結界が完全に復活するまで、あとどれくらいだ?」

「おそらく、数時間はかかります。その間、奴らと戦わなければなりません。」

 侯爵は遺跡での出来事をおおよそ把握しているようだった。

 緊迫した空気が流れる中、ヴェスタは侯爵の前に進み出た。

「お父様、今回の騒動は全て私の不手際です。どうかわたくしに罰を!」

 ヴェスタは自分の行いを悔やみ、罰を求めた。しかし、侯爵は冷ややかに、そして厳かに告げた。

「今は一人の人材も無駄にできない。罰は後だ。島を守ることで、償いなさい。」

 ヴェスタは、侯爵の言葉にハッとする。顔を上げたヴェスタの目は力強かった。ローにより洗脳を受けていたなど微塵も感じさせない。与えられた機会と使命をまっとうするという強い意志が感じられた。


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