精霊の咆哮、戦いの幕開け
最深部の扉が、ヴェスタの手によってゆっくりと開かれた。その瞬間、彼女の全身に、見えない壁に押し返されるような不快な違和感が走る。しかし、ヴェスタは構わず、その壁を押し破るようにして部屋の中へと足を踏み入れた。
扉の向こう側は、先ほどの洞窟とは比べ物にならないほど巨大な空間だった。中心には、燃えるような赤い巨大な結晶がそびえ立っていた。そしてそれを守るように、空島の根源たる力を司る、精霊が立ちはだかる。精霊は、単なる炎の塊ではなく、燃え盛る岩の心臓のように脈動していた。その表面には、複雑な回路が脈動し、キラが修復した回路と呼応するように光を放っている。しかし、その光は不安定に明滅し、心臓の表面を這うように、悲しみと怒りの炎が揺らめいていた。
ヴェスタの姿を見た途端、精霊は激しく暴れ出した。精霊の体から放たれる炎の波動が、部屋全体を震わせ、通路の岩柱がガラガラと音を立てて崩れ落ちる。
「なぜ…!」
長年、この島を守ってきた侯爵家の者として、精霊の反応にヴェスタは深く傷ついた。自分は、この島と精霊を守るために、ここにいるはずなのに。
「精霊は常に侯爵家との対話を維持してきた。原因があるはずだ。私とカイルで精霊を食い止める。君たちは精霊石へ向かって原因を突き止めろ!」
ゼノンの冷静で力強い声が、崩落の轟音に打ち勝つ。
「あの中央の巨大な結晶ですか?あの結晶と精霊は繋がっているんですね?」
「あぁ、あれが遺跡の力の根源だ。精霊は精霊石の力を制御しているのだ。」
「わかりました。行こう!ティア!」
傷ついた様子のヴェスタを横目で見ながら、キラとティアは精霊石へ向かう。その瞬間、精霊が咆哮を上げた。
「グォアアアアア!」




