第43話 両親との別れ
その後、4人はのんびりと大講堂内を歩く。
その最中に、Sクラスの見覚えのある顔を何度か見かけた。
会場中を忙しそうに駆けまわっているマルグリット。
ピンクブロンドの髪を揺らし、社交にいそしむクロエ。
なぜか女子生徒に囲まれているキリアン。
不機嫌そうに両親と思われる男女と話しているミレル。
窓際に立ってどこかを見つめているノワール。
4人が講堂内を一周したころ、エレオノール先生の声が響いた。
「静粛に願います。」
講堂内が一瞬で静まり返り、視線が正面にあるステージに向けられる。
「これより、本学年の担任の紹介に移らせていただきます。」
落ち着いた声でそう言い、エレオノール先生がマイクをしっかりと持ち直す。
「私、エレオノール・ロランはSクラスを担当させていただきます。」
柔和な笑みを浮かべ、丁寧に一礼する。
パチパチと講堂内に拍手の音が響いた。
続いて――
「Aクラス担任のセドリーヌ・ヴィオと申します。」
灰青色の髪をきっちりとしたひっつめ髪にし、細い縁の眼鏡をかけている。
いかにもきっちりしてそうな細身の教官だ。
「ミレイユ・アルシェだ。Bクラスを担当する。これからよろしく!」
快活な笑みを浮かべ、赤茶色のポニーテールを揺らしていた。
「ローラ・ヴェルティエ。Cクラス担任ですー。よろしくお願いいたしますー。」
のんびりとした口調の小柄な女性だ。
深緑の髪を肩で切りそろえている。
「Dクラス担任、イオレット・ノエです。よろしく、お願いします・・・。」
最後は長い黒髪を束ねた女性。
どこか疲れた様子でステージに立っていた。
再び、マイクがエレオノール先生に渡される。
「以上が本学年の担任です。皆様、なにとぞよろしくお願いいたします。」
その言葉を合図に、全員がそろって頭を下げた。
再び講堂内が拍手の音であふれかえった。
「じゃあね、リリス。」
「何かあったら、すぐに連絡するんだよ。」
「はい。」
担任達の紹介の後、私たちはそれぞれの保護者の元で別れの挨拶をしていた。
私の目の前には、珍しく柔らかく微笑んでいるお母様と、明らかにさみしそうなお父様が立っている。
「長期休暇には、家に帰ります。」
私は両親を安心させるように、そう告げた。
2人は静かに頷き、踵を返す。
私に手を振る両親に手を振り返した。
両親の姿が、人混みの中へと消えていく。
私はしばらくその背中を見つめ――静かに踵を返した。




