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第25話 移動開始

 「それで、原因は?」


ラヴィエンヌが額の汗をぬぐいながらリリスに尋ねる。


「これ。」


リリスはラヴィエンヌが氷像にした夜狼の体内から小さな石を取り出した。


「魔石?それがどうしたのよ。どんな魔物にもあるじゃない。」


「よく見てみて。」


リリスはグイッと魔石をラヴィエンヌの眼前に持ってくる。

ラヴィエンヌはその瞳に魔力を込め、魔石を見つめた。


「これ、魔物の魔力ではないわね。」


ラヴィエンヌの横からひょこりとマルグリットが顔を出し、魔石を見つめてつぶやく。


「魔女の魔力ですか?」


「そう。これは人為的に仕掛けられた魔力。他の夜狼からも同じ魔力が感じられるわ。これのせいで反応が1つだと思ってしまったのね。」


「でも、なぜこんなことをする必要があるのでしょう・・・?」


「わからないわ。でも・・・。」


リリスは静かに、さらに下の階に続く階段に視線を向ける。


「下に、その答えがあるはずよ。下に行くべきだと思うわ。」


「でも、危険なのではないですか?」


その時、無言で下の階層へ続く階段の入り口を見つめていたラヴィエンヌが声を上げる。


「ここ、結界が張られてるみたい。・・・転移系か。」


ラヴィエンヌが近くに倒れている夜狼の死体を魔法を使って持ち上げ、結界の中に放り込む。

結界の中にその全身が入ると同時に、その姿がどこかに消えた。

彼女は確かめるようにそう言い、こちらへ体を向ける。


「この転移結界は一方通行。先に階段を下りた人は、戻れなくなってる可能性が高い。」


事務的な口調でそう告げるラヴィエンヌ。

マルグリットは眉を寄せ、心配そうな表情でリリスたち2人に向き直る。


「それじゃあ、全員で下へ向かうべきだということですか?」


「そうなるわね。」


「大丈夫でしょ。」


軽い調子でそう答える2人をさらに不安そうな表情でしばらく見つめ、そっと息を吐いた。

次の瞬間、顔をあげてにこりと笑みを浮かべる。


「行きましょう、下へ!」


3人は頷きあうと、踵を返して拠点へと駆けだした。




 ――2時間後。

リリスたちは拠点にいた受験者たち22人全員とともに階段の入り口の前に立っていた。

彼女らは全員、食料など必要な物資が入った袋を身体に括り付けている。

そんな中、マルグリットが彼女たちの正面に立った。


「みんな、怖いと思う。不安だと思う。でも、進むしかありません。・・・私たちと、一緒に進んでくれませんか?」


マルグリットの問いかけに、静かに頷く面々。

その顔には不安などみじんも浮かんでいない。

全員が戦場に赴く兵士たちのように覚悟を決めた顔をしていた。


これほどすんなりと受け入れられているのは、マルグリットのリーダーシップと彼女への信頼がなせる業であろう。

また、拠点に戻り、下の階層に降りると宣言した時は、数人の反対があったけれど、多くの者は賛成していた。

賛成していた者たちで反対派を説得し、今に至る。




 「それでは、下の階層に降ります。絶対に、班で固まって動いてください!」


マルグリットの言葉に反応し、5人で1つの班を作っていく。

この場にいるのは合計25人。

リリスはラヴィエンヌ、マルグリット、双子の少女たちと班となった。

双子の名前は、姉がリュシエンヌ、妹がエリーヌだ。


「それじゃあ、私たちが一番最初に入り口を通ります。次の班はそれに続いてください。」


こうして、リリスたちは下の階層に移動を開始した。

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