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海獣達の野球記(ベースボールライフ)  作者: Corey滋賀
4章 王座奪還
47/65

44 青きスプリンター

受験おわった

受かった


※青木視点


去年のドラフトでシーレックスに入団した俺だが、小中はサッカー、高校は陸上と昔は野球の「や」の字もなかった。


そんな俺が大学から野球をやることになったのは当時の大学の野球部の広田監督スカウトだった。


「俺がお前を足のスペシャリストにしてやる。サッカーでもなく陸上でもなく野球のな」


最初は野球はやる気はないと断った。でも広田監督はしつこくアプローチしてきた。何度も何度も断ったがそれでも食い下がる。


俺はそのしつこさに諦めて入部することにした。


単純な足なら圧倒的だったが走塁、盗塁の技術、その他諸々は言うに及ばず、だ。そもそもちゃんとしたバットを握ることすら19年の人生で初めてだった。


それでも広田監督は「打撃は当てられるようになればいい。それより守備走塁を磨け」と言い続け、俺を代走から守備に付かせるというケースをやり続けた。


3年になる頃には守備、走塁、盗塁が並以上にまで成長し、代走の切り札としてチームメイトの皆からも厚い信頼を得ていた。


社会人では足を活かすために三遊間へのゴロを狙うバッティングを身に着け、苦手な打撃でもなんとか打率を2割台にもっていけた。多くの球団スカウトも俺の足を評価してくれたことからプロへの自信がついた。


そして4位で横浜シーレックスからの指名を受け入団となった。俺の才能を見出してくれた広田監督には感謝しかない。



一軍に初昇格した俺は今、代走として横浜スタジアムの一塁ベース上に足を踏み入れた。


観客から歓声が上がる。優勝が決まってなお、この盛り上がり。これがプロなのか…


ベンチからのサインはグリーンライト。自分の判断でやれってことか。


七回裏三点ビハインドの二死一、三塁。走るには絶好の場面だ。


対戦相手の広島の下内(しもうち)の初球、いきなり仕掛ける。


ストレートだったが初級から行くと決めていたためスタートが上手く決まり悠々と二塁セーフ。初出場で盗塁を決めてポストシーズンの枠入りへのアピールができた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


※和人視点


レギュラーシーズンが終了して日程が空き、美波ちゃんとデートすることになった。


この子といると安心するし疲れなんて軽く吹っ飛ぶ。


今カフェでパンケーキを食べているのだが彼女の幸せそうな顔に僕までニヤけそうだ。いっぱい食べて幸せそうな女の子ってすごくいい。


「…私の顔になにかついてますか?」


不思議そうな彼女を見てはっ、となる。傍から見れば女子の顔を見てニヤニヤしてるやべぇ奴だ。


「いや、なんでもないよ。ちょっと可愛い美波ちゃんに見とれちゃっただけ」


そう言うと少し赤く頬を染めてジト目で僕を見る。


「か、からかわないでください…」


そうやってちょっと照れてるところも可愛い、と言いかけたが流石に怒られると思い、やめた。


「そういえば和人くん。今年の活躍お見事でした!見ててハラハラしないくらい安定してましたね」


「ありがとう。自分で言うのも何だけど今年はかなり良かった。オフの下半身強化が効いたかな?」


今年は68試合に登板し防御率0.62 4勝1敗 52HPという成績で最優秀中継ぎのタイトルを獲得。


相手との対戦が楽しくて仕方なかったなぁ。ポストシーズンが待ちきれない。


「でも、活躍する度思うんです。本当に私なんかが彼女でいいのかって…なにも力になれてないし…」


そんな悲しそうな美波ちゃんを見て咄嗟に彼女の言葉を否定する。


「なってる、なってる!僕は君が好きだからこんだけ頑張れてるんだ。僕は君の何が好きとかじゃなくて君という存在が好きなんだよ。だから無理しないで美波ちゃんは美波ちゃんでいてほしいな」


彼女の手を両手で握って微笑む。


それを見て彼女は半泣き。うぉ、この破壊力はエグい。


「か、和人くん…」


僕らを見て向こうの店員が店員同士でニヤニヤしながら話している。なんだよ、オフくらいイチャイチャさせろ。


しかしなんだか申し訳ない。


僕が有名になればなるほど優しくて謙虚な美波ちゃんはプレッシャーを感じてしまう。


もし結婚したら他球団に移籍する時、彼女と一緒に引っ越さなければならないし、かなり迷惑をかけてしまうかもしれない。


そんな事を思っていると僕がずっと美波ちゃんの手を握っていることに気がついて急いで離す。


「…ご、ごめん!ずっと握っちゃってて」


24で未だオタクで童貞の僕は彼女の細くてキレイな手に触れるだけでドキドキする。


「い、いえ!嫌ではないので…」


んー、やっぱり美波ちゃんは喜怒哀楽の中でも今みたいな笑顔のときが一番可愛いなぁ。


僕達プロは彼女含むファンの笑顔を守るためにも全力でプレーしなければいけない。


改めてそのことを心に刻みつけた日だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シーズン成績


シーレックス打線


(センター) 梶 .314 18本 53点 ops.880 20盗塁

(セカンド) 芝田 .266 2本 20点 ops.703

※併用 ニ遊外 太郎 .259 4本 18点 ops.680

(キャッチャー) 浪川 .338 49本 130点 ops1.174 31盗塁

(レフト) 矢野 .310 22本 70点 ops.872

(ファースト) ソス .261 38本 94点 ops.903

(サード) 宮坂 .286 19本 48点 ops.791

(ライト) 細山 .232 26本 61点 ops.723 5盗塁

(ショート) 倉木 .301 1本 24点 ops.707

※併用 遊二 山戸 .253 2本 26打点 ops.672 3盗塁


主な控え

伊東翔 .244 4本 18点 ops.688

山田 .230 2本 7点 ops.670

小鳥遊 .305 3本 8点 ops.950

青木 .175 0本 1点 ops.450 9盗塁

仲井 .250 2本 7点 ops.653

神城 .284 2本 12点 ops.746 7盗塁

乙見 .264 4本 18点 ops.701 4盗塁


主な先発陣


今長 14勝 6敗 2.42

ウォン 16勝 3敗 2.68

小貫 11勝 5敗 2.70

浜川 9勝 4敗 3.15

伊能 10勝 7敗 3.72

東山 13勝 4敗 2.59


主なリリーフ陣

佐々城  68登板 4勝 1敗 52HP 0.62

エスター 71登板 3勝 3敗 39HP 2.78

三島 54登板 5勝 2敗 10HP 11S 3.07

國吉 45登板 2勝 1敗 8HP 4.14

川畑 33登板 1勝 2敗 7HP 2.53

山崎 48登板 2勝 1敗 7HP 30S 1.02


獲得タイトル

MVP 浪川

首位打者 浪川 .338

本塁打王 浪川 49本

打点王 浪川 130打点

最高出塁率 浪川 .467


沢村賞 ウォン

最多勝 ウォン 16勝

最多奪三振 今長 192個

最優秀中継ぎ 佐々城 52HP


B9

捕手部門 浪川

一塁手部門 ソス

外野手部門 梶

      矢野


GG

捕手部門 浪川



おまけ

新人達の成績

瀧内 3.24 6勝 2敗 ※二軍

   3.00 0勝 0敗

稲地 3.57 5勝 4敗 ※二軍

   4.25 1勝 1敗

アレン 6.12 2勝 4敗 .211 5本 11点 ops.703 ※二軍

宮村 24登板 7.02 0勝 3敗 7HP 1S


沢 .241 2本 18点 17盗塁 ops.604 ※二軍

カレラス .260 23本 53点 ops.821 ※二軍

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